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第132話 合格祝い

今回は春菜ちゃん視点でのお話になります。


時系列的に1回だけ挟ませてください!

先輩の合格がわかったその日、当然のように私の家に泊まった先輩は、そのまま私に学校を休ませた。


攫うだなんだと訳の分からない話をして来たのは…うん。断ったけどさ。

先輩は自由登校だったし、合格したからもう学校に行く必要がないのだと…。


私が休まされた理由は…合格したから1日ベタベタしたいと…。

いつもベタベタしてるくせにね〜!


「良いじゃんか〜。私も少しくらい癒されたい訳ですよぉ〜」


「何言ってるんですか…。大体、私も学校が――」


「1日くらい休んでも大丈夫だって〜。それよりほら!もっと甘やかして!」


それで今、朝ごはんを食べた後から続いている私の膝枕で甘えているわけで…。

なんか可愛いから許しちゃってるけど、私も来年受験だからあんまり悠長なことできないんだよねぇ…。


ていうか、温泉旅行一緒に行こうって思ってたのに…こんなに甘えられると少し怖くなってくる。


温泉なんかに行ったら…すごく暴走しそう…。

それはそれで可愛いかもだから凄く複雑だしさぁ!


「そう言えば、昨日言ってた攫うとかいう話は、結局なんだったんですか?」


「ん〜?いや、合格したし春奈が良ければどこか旅行に行こうかな〜って」


「それ、私の同意がある前提だから攫うって言わないのでは…」


「良いじゃん別に〜!攫うって言った方がカッコよくない?」


「子供じゃないんですから…。ていうか、なんで私が同意すると思ったんですか…」


「春奈の性格的に、私が合格したらお祝いにわがままくらい聞いてくれるかな〜って!」


満面の笑みでそういう先輩に、私は反論ができなかった。

いや実際その通りだし…。長期休みとかだったら間違いなく攫われてたけど…。


ただこの先輩は、私ならなんでも言うことを聞いてくれると思っている節がある…。

実際、上目遣いとかで可愛くお願いされたら断れる自信ないけど!


今こんな状態になってるのも、断ったら一緒に寝ないとか言われたからだし…。


「じゃあ先輩…。その件は今週末にでも出かけるってことで良いですか?」


「え〜?どうせなら長くいこ〜よ」


「1泊2日じゃダメなんですか…?」


「初めての春奈と2人旅行なんだし、3泊とかしたくない〜?」


「いや、気持ちは分かりますけど…どこに行く気ですか?」


「ちょっと行ってみたいところがあるんだ〜。広島の方に」


「広島ですか…」


なんとなく先輩が行きたい場所っていうのが想像できる…。

私と先輩がまだ小学生だった時、1回だけどこかのお土産をもらった事がある。

確か、それが広島の…どこかの島とか聞いた気がする。


ていうか、広島まで行くんだったら私の全額奢りは…厳しい。

広島に行くまでの往復で平気で貯金の半分持っていかれるし…。

お土産とか諸々含めると…う〜ん。


「なんでそんな渋そうな顔してるんだ?嫌か?」


「いや、行く事自体はいいんですけど、金銭面がちょっと怪しくないですか?私も先輩もバイトはしてないですよね?それに3泊となると…」


「大丈夫!私が全部出すから!」


「いや先輩の合格祝いなのになんで先輩が全部出すんですか…。それじゃ意味ないでしょ…」


「でも私は問題な--」


「ダメです〜。そんなこと言うなら、近場でどこか探します〜!」


頭を軽く撫でながらそう言うと、納得してなかった先輩もあっさりと折れてくれた。

気持ちは嬉しいけど、それはまた別の機会にしてもらおう…。

それこそ、大人になってからとかさ…。


高校生2人で行くのに、1人に全部背負ってもらうのは…。

私も全部背負おうとしてるとかいう文句はこの際知りません。


ていうか、話は変わるけどそろそろ足が痺れてきたから降りて欲しい…。

朝8時過ぎからこんな状態で、もう2時間近くこんなことしてるし…。


「え〜?じゃあ何する〜?」


「今からでも学校行けばいいじゃないですか…」


「それは嫌〜!あ、せっかくだし何か買いに行かないか?」


「何がせっかくなのか全くわからないんですけど…。行きたいんですか?」


「行きたい!」


「はぁ…。じゃあ準備するのでちょっと待っててください」


子供のように目をキラキラさせていた先輩に抗えず、止むを得ず出かける準備をする。

そもそも、皆は学校に行ってるのに…という感情はあるけど、可愛いから仕方ないと自分に言い聞かせてる節はある。


当然のように手を繋いで家を出た私たちは、そのまま近くの洋服屋に直行した。

なんでも、旅行に来て行く服が欲しいとのことで…。


別に今じゃなくてもいい気がするのは気のせいかな…。


「あ、これとかどう?春奈に似合いそう!」


「いやこれ…着させたいだけですよね!?大体、先輩の服を買うんじゃ…」


「私のも買うけど!どうせなら春奈のも買おうって〜!」


「そうだとしても!これは却下で…」


さすがに肩とか胸とか…露出が激しいのはちょっと…。

やっと手を繋ぐのが大丈夫になったばかりの私には、ハードルが高すぎる。


それこそ、私にはもっとこう…目立たないものの方が似合うというか…。

旅行にパーカーは変だろうし、普通のやつを選ぶつもりだけどさ…。


そんな時、隅の方にかけられていた赤いニットに目が止まる。

一目見た瞬間、先輩にすごく似合いそうだな…って思ってしまった。


「あ、先輩。これどうですか?」


「え〜?どうなんだこれ?」


「今寒いですし、ちょうどいいじゃないですか!ちょっと着て見てください!」


「え〜?じゃあ春奈はさっきの――」


「せめて別のにしてくださいよ…。良いから!はい!」


とりあえず着てもらうと、思ったよりも微妙だった…。

けど、今履いているのがジーパンということもあって少し微妙なだけかもしれない…。


少し探すと、これまた似合いそうなロングスカートを見つけた。

ちょっと高いけれど、合格祝いってことでプレゼントしよう!


旅費を全額出すとか言えば、私が断ったのと同じ理由で断られる可能性もあるし…。


「ど、どうだ…?」


「可愛いです先輩!めっちゃ似合ってます!」


「そう、かな?」


「はい!ちょっと買ってきます!」


限界化したヤバいやつみたいになっちゃったけど、恥ずかしがる先輩の表情と相待って信じられないくらい可愛かったんだもん!

居ても立っても居られないっていうにはあんな状態のことを言うんだと思う。


先輩に止められながらも、半ば強引にプレゼントした形になっちゃったけど、可愛いから許してもらおう。


そして結局、私はカーディガンとチェックのロングスカートをプレゼントされた。

洋服は…本当に恥ずかしかったから必死にお願いして諦めてもらったけど…。


その後、近くのお店でお昼を食べた後、当然のように私の家に帰宅する。


思わず週末までいる気ですか?と尋ねると、ドヤ顔で頷かれてしまった…。

私はため息をつきながら、弟に帰ってこないでと連絡するはめになった…。

次回のお話は2月6日の0時に更新します。


時系列順視したので、次回はメインの方?を進めます。

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