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第127話 最終準備と決断

今回のお話は凛ちゃん視点でのお話になります


私の1日は、基本ゲーム部屋の中から始まる。

毎回寝る前はゲームの練習をして寝るから、大抵この部屋で生活している。


この前美月達が泊まりに来た時は…この部屋を立ち入り禁止にされて死にそうになったけれど、今じゃその障害はない。


時々お兄ちゃんが勉強しろって注意しにくるくらいで…。

でも私思うんだけど、世界ランク1位とかのテニスプレイヤーは全く勉強しなくても生きていけるじゃん?


それと同じで、ゲームで世界大会入賞したんだし、私も勉強なんかしなくても生きていけると思うんだ!

最悪、将来は皐月に面倒見てもらって…うん。どうにかしようかなって…。


皐月に甘えすぎるのもどうかと思うけれど、私たち3人の中だと1番頼りになるのは皐月だし、美月はデザイナーにでもなるんじゃないかな。


今紅葉ちゃんの取り合いしてるみたいだけど、個人的に美月は皐月と結ばれて欲しいと思っていたりする…。


「あの頃はもうちょっと楽しかったんだけどなぁ…」


ボソッと独り言を呟いた私は、部屋の隅に飾ってある3人の写真を見て懐かしく思った。

中学の頃、まだ美月が紅葉ちゃんを好きになる前かな?


多分この頃から皐月は美月の事が好きだったんだろう。でも、あの時は深く考えずに笑いあえていたなぁ…って。


「凛。起きてるか?学校行かないなら俺は出るぞ」


そんな感傷に浸っていると、部屋の外から聞きなれたお兄ちゃんの声が聞こえた。


もちろん学校に行く気等あるわけないので、返事はしない。

勉強よりゲームしてた方が幸せになる人が多いんだよ…お兄ちゃん。


玄関の扉が閉まった気配を感じてリビングまで降り、冷蔵庫から栄養ドリンクを取り出す。


変にお腹に入れると眠くなるから、お昼以外はこれで済ませることにしてるんだよね〜。

これも、美月達が来た時は禁止にされたけど…。


そこからお気に入りのアニメを1時間くらい見て、ようやく自分のスマホをチェックする。

すると、案の定美月から学校は休み?と連絡が入っている。


返さないってことはそう言うことだと察してくれているのも長年の付き合いだからだ。


「皐月が熱ね〜」


メールには、皐月が熱を出して休んでるから暇ならお見舞い行ってあげて。とも書いてあった。


皐月の熱に関しては、前に美月の事で思いつめて熱を出した事があるから…少しだけ心配なところもある。

あの時、少し言い過ぎちゃったし…昨日もなんだか微妙そうな表情だったからなぁ…。


皐月がまだ美月のことを好きなのは、態度から見ても分かる。

ただ、最近はまたその気持ちを表に出さないようになった。


前まで、美月を表立って狙わないまでも、美月と紅葉ちゃんが失敗したら狙いに行くってスタンスだったはず…。

それが、今は完全に諦めているようにも見える。


まぁ、結局は本人の意思だから私がこれ以上何かを言うのは間違っているような気もするけど…。


一応どういう考えなのか、聞いておいた方がいい気もする。

お見舞いに行けるほど暇じゃないから、皐月に何があったかのメールを打っておく。


「皐月を応援したいんだったら緑川さんと紅葉ちゃんを早くくっつけないとだけど…。そしたら美月を傷付けないかなぁ…。いや…でもそれだと結局皐月が報われないんだってば!あ〜も!」


ゲーム以外の事を長時間考えるのは苦手だ。

ゲームが関わっていれば物覚えも物凄く早いけれど、勉強となると全くダメな人いるでしょ?私も例外なくその人種なんだよね。


こういう場合って、どうするのが正解なんだろうね。

私は、努力した人はできるだけ報われて欲しいと思う人だ。


そりゃ、報われない努力もあるけれど親友の1人が物凄く頑張っているのに、それが報われないっていうのは、気分の良いものじゃない。


皐月が美月のことでどれだけ努力しているのか。1番知っているのは多分私だ。

これに関しては、自己評価の低い皐月本人より分かっている自覚がある。


美月が努力していないとは言わないけれど、皐月の努力に比べたら。みたいな感じかな。

本来比べるべきものじゃないんだろうけどね。


「自分の好きな人の恋愛相談に2年も付き合うなんて…大人でも辛いだろうにね…」


皐月がなんで美月を好きになったとかまでは知らないけど、それでもここ数年は皐月にとってかなり辛い期間だったんじゃないかな。


今日の予定が済んだら、緑川さんに取引を持ちかけてみるのもありかもしれない。

紅葉ちゃんとうまく行くために何かしてあげるから、美月と皐月を結ぶことに協力して欲しいって…。


それでうまく行くかはわからないけれど、何もしないよりはマシだろう。


そう決めた私は、とりあえずゲーム部屋まで戻って自主練と言う名のゲームを始める。

近々ちょっと大きめの大会に出る予定だから、学校に行ってる余裕なんかないんだよね。


元々、高校に行くこと自体私は乗り気じゃなかったし…。


◇ ◇ ◇


「がぁ〜!疲れたぁぁぁ!」


私がそのゲームから解放?されたのはそれから4時間後のことだった。

気付いたらもう14時を回ろうとしていた。


とりあえずスマホを見てみると、この間のこともあってか皐月が休んだ理由に関して正直に話してくれていた。

やっぱり、美月の事で色々悩んでいるらしい。


美月の力にはなりたいけれど、自分の好きな人を他の人に取られるための手伝いをしていると言う圧迫感。

どれだけ美月が紅葉ちゃんを好きなのか間近で見て来た皐月だからこそ、余計にその感情が強いんだろう。


おそらく、皐月が美月を好きなのと同じくらい、美月は紅葉ちゃんのことが好きなんだと思う。


葉月ちゃんに慰めてもらってるって言うのは…ズルって思っちゃったけど!

私だって、あんな可愛くて素直な妹が欲しかった…。


「美月が紅葉ちゃんを諦めるって、それこそ緑川さんとよっぽどうまく行くとかしかないよねぇ…」


まぁ、他にも諦めそうな状況はあるけれど、緑川さんの様子的に、もうそろそろ勝敗が決まると思う。

その手段を取るには、もう少しだけ時間をかけないといけない。


緑川さんにお願いして、告白の時期を遅らせるって案もあるけれど、それはそれで緑川さん側が不安になっちゃうだろうし…。


「糖分取らないと…。頭がどうにかなっちゃう…」


急いで冷蔵庫に常備している板チョコをかじり、糖分を補給する。

まぁ…こんだけ色々考えても、結局当人次第みたいなところはあるけど…。


とりあえず、私は皐月を応援したいし、結果的に緑川さんと紅葉ちゃんのペアを勝たせる事を目的に動いた方が良さそうだね…。


その結果美月が傷付いてしまったとしても、とても中学生とは思えないほど努力している皐月が報われないよりはマシだ。

美月には悪いけれど、今回は我慢してもらおう。


学校が終わったら早速緑川さんに連絡して家に来てもらおう…。

そこで全部話しちゃって、協力体制を整える。


ついでに現状報告と皐月の協力を取り付けて…待って?これ意外と大変なんじゃ…。


「も〜!めんどくさいなぁ!」


そう叫んだ私は、とりあえず皐月に私の考えをすべて話して協力してくれるように頼み込む準備を始めた。


同時並行でお兄ちゃんに帰りにホットココアを買ってきて欲しいとお願いして、しっかりと糖分は確保する。


意外だったのは、皐月が拒否るだろうと思っていたけれど、割とすんなりと私の考えていた案に乗ってきた事だった。

緑川さんにも悪い提案ではないはずだし必ず乗ってくるだろう。


間違いなく、紅葉ちゃん争奪戦(私命名)がもうすぐ終わることに関しては否定できない事実みたいだった。

その結末がどうなるのかは…天才の私でも全く想像がつかなかった。

次回のお話は1月22日の0時に更新します。



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