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第119話 帰り道

修学旅行のお話がこんなに短くなるとは思いませんでした。


楽しみにしてくださってた方がいたら凄く申し訳ないですm(_ _)m

「はぁ〜!ほんと疲れた!」


修学旅行最終日、飛行機に乗り込んだ私は席に座った途端そんな愚痴を漏らした。

ため息まじりにこう言いたくなる理由はただ1つ。


それは、この修学旅行中に色々ありすぎたからだ。

街での自由時間では班の人に巻かれて、学校を早退した先輩とビデオ通話をしながら街を回る羽目になった。


しかも2日連続だよ!?新手のいじめか何か!?


「昨日は別に先輩は早退しなかったんでしょ?なら良いじゃん!」


「何が良いのか私にわかるように説明してくれない!?どうせ紫苑が主犯なんでしょ?」


「失敬な!私はそんな指示出してません〜!ただ、せっかくの修学旅行なんだし好きな人と回りたいんじゃないかなぁ〜って!」


「変な気を回さないでよろしい…。初日に先輩に迷惑かけないでって言ったの忘れたの?」


「一応先輩には許可とったよ?春奈が嫌がりそうだってちょっと心配してたけど〜」


「はぁ〜!?なんでそう勝手に色々決めちゃうかなぁ〜!?」


いや、2日連続で巻かれた私が悪いし、その時は本気で迷子になったと思ってたけどさ!


この真相が発覚したのは昨日の夜だ。

私がヘトヘトになってホテルに帰ると、部屋でなぜかニヤついている紫苑が待っていて問い詰めたのだ。


まともに行動できたのは2日目の戦争の資料館巡りとかだけだったし!

そりゃ疲れるに決まってるじゃん!


「まぁまぁ。お詫びでお土産代全部奢ったでしょ?」


「当たり前でしょ!?何が悲しくて、1人で福岡の街歩きながらビデオ通話しないといけないの!?結構恥ずかしかったんだけど!」


「でもほら。割と楽しそうだったじゃん!しかも、発案自体は私じゃないし!これ本当ね?」


「…全く信じられないけど、一応誰かは聞いても?ていうか!なんで楽しそうとか言えるわけ!?後つけてたの!?」


「...企業秘密だけど、私たちのクラスじゃないよ?」


いや、このクラスにいないんだったらもう先輩以外にいないんですけど…。

結奈がわざわざこんなこと発案するわけないし、昨日の夜はメグも一緒に怒ってくれたから除外して良い。


でも本当に先輩なら…帰ったらお仕置きだなぁ…。

流石にないと信じたいけど…。


ていうか、サラッと流してるけど、私を巻いた後もこっそりつけてきてたなこれ...。

じゃないと、意外と楽しかったのが分かるわけないし!


「あ〜名誉のために言っておくと、鈴音先輩じゃないよ?これも本当ね?」


「人狼ゲームみたいに『本当ね?』とか『信じて?』とか言われても…。それに、紫苑の旅行中の態度からして話の大前提部分が信用ならないんだけど!?」


「私は村なのに処刑するの!?それはおかしくない!?」


「今人狼ゲームの話ししてないでしょ!?本気で怒るよ?」


「もう怒ってるじゃんか…。じゃなくて!あ〜楽しかった?」


「話題がないなら無理に振ってこないでよ…。楽しかったけど!なんでこんなにいつもと違うわけ!?」


紫苑は基本、クラスの中だと普段は大人しいグループに所属している。

こんな、表立って私と色々話すのも珍しいし、なんなら悪い意味でこんなにアクティブなのは今回初めて知った。


あの大人しそうで人畜無害な一年の沙織とは全く似てない姉だ…。

それとも、沙織の方も本当はこんな本性を隠し持っているんだろうか…。


「でも実際問題、鈴音先輩が大学に行っちゃったらなかなか遊べなくなるんじゃない?どこに行くかまでは流石に知らないけどさ〜」


「なに?それもあるから、最後に私たち2人の思い出を作ろうと?」


「あ〜そうだね!うん!」


「あからさまに乗っかるのやめてくれる…?先輩の合否がわかったら、お祝いでどこかに行こうって計画してるんだから余計なことしなくて結構です〜!」


流石にどこに行くかまでは私も決めてないけれど、高校最後の思い出として遠出をしたい。


先輩がかなり余裕な様子だったし、合格祝いで温泉とかにでも…。

いや、別に辺なことしようとか考えてないからね!?


合格祝いなんだから、旅費はできるだけ私が出したいし…。

普段あんまりお金を使わない性格なのがここで効いてきている。

20万円とちょっとなら貯金があるから、一回の旅行くらいならなんとかなるはずだ。


「それ、私に言っちゃってもいいの?」


「先輩にバラすようなことしたら絶交するから問題ないよ?サプライズで連れて行きたいんだし」


「春奈って、時々サラッと怖いこと言うよね…。私がそこまで常識ないように見えるの…?」


「うん。見えるから言ってるの。今回の修学旅行でそれがよく分かったよね〜。男子よりはマシだろうけど、紫苑たちも大概だと思うよ?」


「なんか否定しづらいんだけど…」


震える声でそう言った紫苑は、もちろん言わないと約束してくれた。

まぁこの件はもういいとして…。


問題は、温泉に行くとかなったら先輩がどう言う反応をするのかわからないところだ。

私と温泉なんていうと絶対はしゃぐし…。遊園地はこの前のことがあるから断られそうだし…。


断られるっていうか、嫌がられそう…。

かと言って、合格祝いで高校最後の思い出作りをしたいのに、近所のファミレスとかカラオケもなんか違う。


普段行かないようなところに一泊となれば、やっぱり温泉しかないし…。


「先輩って私と同じで、観光とか美術とかに興味ないからなぁ〜」


「あんたの趣味押し付けるっていうのも良いんじゃないの?リアル脱出なんとか行ってみたいんでしょ?」


「先輩の合格祝いなのに、私の趣味押し付けてどうするのよ…。それに、謎解きも先輩は好きじゃないの〜」


「流石彼女〜。先輩のことならなんでも知ってると!」


「あのねぇ…」


先輩は小学生くらいの女の子がそのまま高校生になったような人だから、基本小学生の女の子が好きなものは好きだ。


例えばぬいぐるみとか着ぐるみ。風船とかがその類。

さっきも言ったけど、美術館や観光なんてかなり苦手な方だろう。


頭を使うものも、ゲーム以外だとかなり面倒くさがる方だ。

ワガママだし、お化けが苦手だし、寂しがり屋だし…。

いや、そこがまた可愛いんだけどさ!


「あんたさ、どんだけ先輩のこと好きなわけ?その話この旅行で何回目?」


「良いでしょ別に!小学生の頃から好きなんだから!」


「ここまでリア充されると、逆に応援したくなるよね!」


「何言ってんのあんた…」


とにかく合格祝いの旅行の件はまた考えるとして、この旅行を通して私が学んだ事はいくつかある。

もちろん歴史やなんやらは学んだことなんて1つもない。


問題はこのクラスについてだ。

まず私の横に座っておる紫苑には、極力私と先輩の情報を流さない方がいい。


クラスの女子ほとんどに顔が効くこの子に広めると、あっという間にクラスに広がって行くことになりかねない。


次に、女の子同士で付き合うような女子がこの学校は意外にも多いということ。

これは、今度メグに恋愛相談をされた時に役に立ちそうな情報だ。私も初めて知ったし。


最後に、先輩を狙っていた子達が数人いた以上、これからは私が我慢していたことも色々して行かないとまずいかも知れない。


とりあえず…先輩が私から離れてしまうことだけは避けないといけない。

他の子達が取り入る隙なんて、絶対に与えない!


「いい!?私これから寝るけど、寝顔盗撮して先輩に送ったら許さないから!」


「え?なにそれフリ?」


「はぁ〜!もう良い!疲れたから寝る!」


「はいはい。お休みね〜」


ニヤつきながらそう言ってくる紫苑にそこはかとなく不安を抱きながら目を閉じた私は、この子をまだ完全に理解していなかったんだ。


空港に到着した時、案の定盗撮された私の寝顔をマジマジと見せられた時は本気で呆れた。


流石に先輩に送る事はしなかったみたいだけど、私がこの旅行を通して紫苑を苦手になったには間違いない。


おまけに、この私の寝顔写真のせいで、私が下手に紫苑に逆らえなくなったのは言うまでもない。

次回のお話は12月29日の0時に更新します。


冬期講習のせいで全くお話をかけていなかったので、ハイペースで書き溜めを作っていきます。


ポンコツなので書き溜めしておかないと、予告通りに更新できないので笑

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