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第115話 「お仕置きまでのカウントダウン」

19日に投稿を初めて1年が経ちます。

その日にも投稿しますので、よろしくお願いします!

私が目を覚ましたのは、朝の9時前だった。

昨日寝る直前に聞いたあのセリフが夢だったのか現実だったのか。起きて最初に思ったことがそのことだった。


目の前で可愛い寝顔を晒している彼女がいるにも関わらず、最初に思ったのがそれだったのだ。


もちろん、私の聞き間違いや勘違いっていう可能性の方が高いだろうけど…。

もし違っていたらと思うと、少しだけ嬉しい。


春奈が何をガマンしているのか、この際これは重要では無い。

まぁ重要なんだけど!絶対私に関係のあることだし…でも、怒ってるってことはないと思うんだ?


とりあえず、ベッドの中で考えていると、春奈が起きるかもしれないし、色々限界がきそうなので一旦離れる。


朝からこんな気持ちでいるのはまずい…。

とりあえず顔を洗ってこよう…。

自分の家ならまだしも、ここは春奈の家なんだし…暴走してしまうのはまずい。


「あっ…ざっす」


「あ〜おはよ。弟君元気?」


「元気っす…。姉ちゃんは?」


「春奈?まだ寝てるよ〜。ごめんね急に泊まっちゃって〜」


「いえ。大丈夫です…」


春奈の部屋を出たところで、偶然通りがかったらしい弟君に遭遇し、軽く会話を交わす。

なんでか少し顔が赤いけど、別に気にしなくても良いだろう。


春奈とは全然似ていないけれど、私に対してなぜか挙動不審になるところはそっくりだ。

別に威圧とかしてるつもりはないんだけどなぁ…。

春奈がいっつも挙動不審なのは、半分私のせいだし…。


ただ、この先のことを考えても、春奈の家族に嫌われたり苦手意識を持たれるのは良くない。


私の家族は最悪どうとでもなるけれど…春奈の家族にだけは、迷惑をかけないようにしないと。


「今日もうちに帰ってくるんっすか?」


「迷惑なら、春奈をうちに連れてくけど…?」


「いえ。そんなんじゃないっす…。むしろ、俺が邪魔なら友達の家にでも行こうかなと…」


「そんな変な気を遣わなくて大丈夫だよ?」


「なら良いっすけど…」


少し下を向きながらそう言った弟君は、軽くお辞儀をして、向かいの部屋へと入っていった。


春奈と同じで良い子だから、できるだけ仲良くしておきたいんだけど…私何か嫌われることしたかなぁ…。


春奈の両親は今社員旅行か何かでいないらしいから、今日と明日は、この家には私たち3人だけになる。


多分それもあって、春奈は自分から誘ってくれたんだろうけど…。正直…ちょっとだけやましい気持ちになるのは否定できない。


だってさ!好きな人とほとんど2人きりなんだよ!?そう思うのなんて普通じゃない!?


とりあえず顔を洗って、良くない考えを全て振り払う。

まだ付き合い始めて3ヶ月なんだし…いや良くないって絶対!


「先輩…?どうかしたんですか?」


「ふぇ!?は…春奈!?お、おはよ!」


「お…おはようございます…」


洗面所の鏡で自分とにらめっこをしていると、突然後ろから春奈が話しかけてきた。

思わず変な声が出ちゃったけど、やましいことを考えていたなんて思われない方が今は大事だ。


必死で頭をフル回転させて、そういう感情を一旦頭の中から取り出す。

モコモコのパジャマ姿で、なぜか丸メガネをかけている春奈は…なんかちょっと可愛いけど、それもなんとか抑える。


「寝起きの顔なんて…先輩でも見られたくないので、せめてもの抵抗ですよ…」


「理由が思ったよりも可愛いんだけど…」


「いつも先輩の方が起きるの遅いから、メガネ姿を見せるのは初めてですしね…。もちろん伊達ですよ?」


「…今日それかけて学校行かないか?」


意外と…なんか可愛いし…。

伊達メガネをかけている春奈は、いつもより幼く見えるっていうか…。なんか無理してる感が出て好き!


最近緑川が私の指示でイメチェンしたのもあって、春奈にも少しいつもと違う格好をして欲しいなって思ってたんだよね!


相変わらずの謎理論だけど…1日で良いから、メガネ姿の春奈と一緒にデートしたい!

私、どっちかと言えばメガネかけてる子好きだし!


「別に良いですけど…そこまで可愛いですかね?」


「うん!めっちゃ似合ってる!なんか無理してオシャレしてる感あって可愛い!」


「褒めてるのか貶してるのか、良くわからないこと言わないでもらって良いですか…」


複雑そうに苦笑した春奈は、渋々といった感じだったけれど了承してくれた。

私の勝手な思い込みかもしれないけど、朝は春奈のからかい体制?が強い気がする。


今だって、普通に可愛いって言ったのに普通だし…。

普段なら、絶対照れて少し顔赤くするのに…。

これは、春奈の意外な一面が分かった気がする。


朝は寝ぼけていて、からかい体制が強いと…。私は、密かに心のメモ帳にこのことを書き記した。


「イチャついてるところ悪いけど、起きたなら腹減ったから早くご飯作ってくんね?」


「…あんた、先輩には敬語なのに私に対してはいつも通りなのね…」


「関係ねぇだろ…。とにかく、早く頼むわ…」


弟君は、そう言い残して洗面所から去って行った。

やっぱり私、弟君に何かしたかな…。避けられてる気がする…。


◇ ◇ ◇


「誠也がですか?そんなことないと思いますけど…」


学校に向かう道すがら、春奈にそんなことを聞いてみると、案の定ピンときてないようだった。


ちなみにあの後、3人で食べたご飯は私が作ったんだけど、春奈はもちろん、弟君にも好評だった。


私は、自分の家に春奈を泊めるつもりだったので、今着ているのは春奈が用意してくれた服だ。


白い長袖のシャツと、ブラウンのカーディガン。灰色のロングスカートを履いている。

春奈はお出掛け用の服だと言っていたけれど…こんな服を着ている春奈を見たことがない気が…。


「そんなこと言われても…。今年の夏に買って、時期的に着るチャンスがなかっただけですよ…?」


「分かってるって〜。でも春奈?その格好寒くないか?」


「ん〜。まぁ、少し寒いですけど、どうせ校内は暖房が効いてるので問題ないと思いますよ?」


私が心配するのも当たり前で、春奈は私のワガママを聞いて、ちゃんと朝の丸メガネをかけている。


それに合わせて、秋にも関わらず白のワンピースを着て、その上から藍色のポンチョを羽織っていた。


遠目で見ても女子高生に見えない格好と、顔の幼さがどう考えてもあってないような気がする。

メガネを取ったら、少し背伸びしてる高校生で通るような気もするけど…。


幼い子がお母さんのポンチョを借りてる。みたいな…どちらかと言えば微笑ましい感じになっている。


「そんな事言っても…。私、普段これ付けて出掛けないので…」


「私のワガママ聞いてくれてありがと!」


「いえ。私もこれからワガママを通すので、これくらいは…」


春奈のその言葉で、私は今日、地獄に連れて行かれることを思い出してしまった。

良いもん!終わったらずっと春奈にくっついて仕返しするから!


離れてって言われても、絶対に離れないから!

恥ずかしいとか言われても、そんなの知らないから!


「まず最初に紅葉達のクレープ屋に行って…そこから一年の方のお化け屋敷…だよな?」


「クレープ屋に行くのは良いですけど、お化け屋敷はそっちじゃないですよ?分かってますよね?」


「ね〜!昨日それ許してくれたんじゃなかったの!?」


「誰もそんな事言ってませんよ。子供みたいに泣くのはやめてくださいね?恥ずかしいので」


満面の笑みでそういう春奈は、目の奥は全く笑っていなかった。

多分、昨日寝る直前に聞いたあの言葉は、私の勘違いだ…。


こんな怖い春奈が、なにか好意的な意味で我慢しているなんて信じられないもん!

春奈がこんなドSだったなんて、ここ最近で初めて知ったし!


我慢してるって、絶対この事だもん!

今すぐにでも帰りたいんだけど!


「あ〜もう始まってるみたいですね。先輩。行きますよ〜」


「ねぇ〜本当に嫌だってばぁ〜!」


「子供じゃないんですから…。ほら行きますよ」


私は、春奈に手を引かれて校内へと足を踏み入れた。

ずっと楽しみにしていた文化祭が、自分が調子に乗ったせいで悪夢へと変わるのは、後数時間後のことだろう…。

次回のお話は12月18日の0時に更新します。


ちなみに日付を勘違いして、本来19日に更新しようと思っていたお話が次回のお話になります...。

日付の勘違いは1年経っても治らないらしいです!

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