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第102話 文化祭開始直前

文化祭初日の朝、私は家まで起こしにきてくれた雫ちゃんと一緒に登校していた。

寝巻きと寝起き姿を見られたのは、確か2回目だけど…かなり恥ずかしかった。


しかも、家を出る時のあのお母さんのニヤケ顔!絶対帰ったらなんか言われる!

面倒臭いから今日は雫ちゃんの家に泊まらせて欲しいんだけど…。


当然、学校の文化祭には保護者も他校の人もいっぱい来る。

今日お母さんがお店まできたら、本当に雫ちゃんか誰かの家に泊めてもらうことを検討しよう。


「どうしたの紅葉ちゃん。まだ眠いの?」


「ふぇ!?いや違うの!ちょっとお母さんのことでね…」


「お母さんがどうかしたの?」


「いや…あの〜うん…」


この前やっと誤解が解けたのに、ここで本当のことを言うとまたややこしくなりそう…。

しかも、お母さんが勝手に誤解してるだけだからなんだかなぁ...って気がするの!


まぁ、うちのお母さんは今日も仕事って言ってたし、明日以降ならお店に来られても別に問題はない。

明日は1日美月ちゃんと学校中を回ってる予定なんだし!


「ねぇ紅葉ちゃん。一つ良い?」


「ん〜?どうしたの?」


「3日目なんだけどさ、私と一緒に回って欲しいところがあるんだけど…。出来れば2人で」


「ん〜でも3日目って、美月ちゃんと皐月ちゃんも含めて皆で回るんじゃなかったっけ?2人は?」


「凛さんが3日目も来るらしいから、あの2人に少しの間任せて、私と紅葉ちゃんで一箇所だけ行きたいところがあるなって…」


妙にソワソワしながらそう言ってきた雫ちゃんに、少しだけドキッとする。

最近イメチェンして、前よりも格段に可愛くなった雫ちゃんがこう言うことすると…前と比較にならないくらい可愛い。


雫ちゃんはお化け屋敷とか苦手だろうし、私も苦手だから本当のことを言うと、別に大丈夫だ。


それに、凛ちゃんが来るならあの3人で回ってもらうのも全然ありな気がする。

ただ…美月ちゃんと皐月ちゃんを2人きりにしたいって思ってたんだよね〜私…。


あの2人いつかくっつきそうだし、そのお手伝いが出来たらって思ってたんだけど…。


「うん!良いよ!」


「良かった〜!行きたいところもとりあえず学校に着いたらパンフレット貰おうか」


「そうだね!先輩達のクラスが何やってるかとか知らないしね!」


文化祭が楽しみで学校に着くまでずっと雫ちゃんと喋ってたけど、楽しい時間はあっという間に終わって、学校に着いてしまった。


校門の前で、美月ちゃんと皐月ちゃんが待っててくれたから一緒に校内に入る。

なんか美月ちゃん、いつもと雰囲気が違うって言うか…なんかピシッとしてるけどどうしたんだろう。


この前までは、私にずっとだら〜んって感じで甘えてきてたのに…。


「そうかな?多分、楽しみであんまり寝れなかったからそう感じるだけだと思うよ!」


「大丈夫?今日1日のお店…」


「大丈夫!頑張るから!」


「分かった!一緒に頑張ろうね!そう言えば、皐月ちゃんは今日何してるの?」


「ん?私はやる事があるから、文化祭始まって1時間くらいしたら帰るぞ?」


やることがなんなのか凄く気になるけど…凛ちゃんが来るのは2・3日目だけだって聞いたし…1人になっちゃうのか。


皐月ちゃんって、いつもなにかしら我慢してる気がするから…なにかしてあげたいんだけど…。


なんか、今日も笑ってる顔が辛そうって言うか…。

それこそ、美月ちゃんのことを好きって打ち明ける前より辛そうなんだけど。どうしたんだろう。


「にしても…こんなに派手に飾り付ける?生徒会の人、気合い入れすぎだろ…」


「ほんとね…。ちょっとこう言う感じ苦手なんだけど…」


校内の廊下を見て、皐月ちゃんと雫ちゃんがため息まじりにそう言った。

確か、数日前に校内の飾りつけは生徒会の人が担当するって言ってたけど…確かに気合が入ってる。


そこら中に紙で作られた花とか、飾りが貼ってある。

それに、各教室のお店の看板?も相待って…いつもの校舎とは全然違うように見える。


なんか…別の世界に来たみたいで面白そう!

グラウンドにもいくつかテントが建ってたし、なんだか余計に楽しみになって来た。


「とりあえず、私達は霜月さん探そっか!」


「そうだね!確か、教室はお化け屋敷になってるから入れないんだっけ?」


「男子だけで作ったやつだしあんまり期待しないほうがよさそうだけどな〜。霜月さんなら、多分外にいるんじゃないか?」


「じゃあ、皐月ちゃんは校内ウロついてるの?一緒に行かない?」


そう誘って見たけど、断られてしまった…。

仕方ないので私達3人で、今日お店を出す中庭に向かう。


確か、数ヶ月くらい前にここで雫ちゃんとあの〜名前は分かんないけど、私たちの中に2人いる男の子のうちの、眼鏡をかけてる方の人と話してたところあたりだ。

校門前とか、グラウンドは軒並み2年生の人がお店を出すらしい。


3年生は、希望するクラスだけ出すらしいから…誰が出すかなんて知らない。

少なくとも、鈴音先輩と朱音先輩のクラスは出さないって言ってたような気がする。


鈴音先輩は…お店なんかしちゃうと春奈先輩とイチャつけないとか言ってたし。

朱音先輩もめんどくさいからパスだと…。


「春奈先輩も私達と同じで、初日にお店に入り浸らないといけないらしいから、私達の時に来るってことはなさそうよ」


「良かった〜!あの先輩達が来ると、こっちが恥ずかしくなるんだよね〜!」


「その情報はありがたいけど、いつ誰から知ったの?」


「…この前恵先輩に聞いたよ?」


「そうなんだ。へ〜」


私を挟んで笑いあっている美月ちゃんと雫ちゃんが…なんだか凄く怖い。

だって、笑ってるはずなのに、目だけがなんか笑ってないんだもん!なんで!?


今から私達でお店番するんだから、喧嘩はダメだよ!?

仲良くね!


「大丈夫。別に喧嘩してるわけじゃないから。ね?美月さん!」


「そうね。大丈夫よ!喧嘩じゃないから!」


なんか…2人ともさっきより怖い顔になったんだけど!

なに!?私何かしちゃった!?


「ねぇあかり…やっぱり帰ろうよ…。私に文化祭なんてやっぱり無理…」


「何言ってるの…。も〜子供じゃないんだからそんなに抱きつかないでよ…。恥ずかしいって…」


そんな険悪なムードのまま、私達のお店のテントについてしまった…。

そこで目に入ったのは、今両隣で起きている喧嘩?よりよっぽど衝撃的で、なんだか微笑ましい光景だった。


それは、このお店全体を仕切ってくれている霜月さんと、その友達の千夏さんが抱き合っているシーンだった。


正確には…千夏さんが一方的に抱きついてて、霜月さんが困っている図みたいだけど…。


「ねぇ。私達の周りって、なんでこんなにこういう人が多いの?」


「そんなの知らないわよ。どうする?出直す?」


「ちょ!良いところに!助けてくれない!?」


必死にテントの中で助けを求めてる霜月さんを、私達3人は…微妙な目で見つめながら放置するという、なんとも言えない光景がそこにはあった。


だって、この2人からは…春奈先輩達みたいな、あんな感じがするんだもん!


なんか、邪魔したら悪いみたいな!そんな雰囲気がある。

この前教室で見た、霧島さんともう1人の先輩がしてた行為を思い出してしまう。


さっき美月ちゃんも言ってたけど、なんで私達の周りって、こんなにイチャついてる人が多いの!?


なんで皆そんなにラブラブな訳!?この2人も実は付き合ってるとかじゃないよね!?


「ねぇ千夏?じゃあ、今日1日頑張ったら私がなんでもしてあげる。ね?だから頑張ろ?3日目はずっと私の後ろにいても良いから」


「じゃあ…またうちに泊まりに来て!」


「はいはい。分かったから離れてくれる?」


「それはやだ…」


「はぁ…」


こんなやり取りを目の前で見せつけられて、私達はどうすれば良いの?

家に帰ったらお母さんとお父さんがイチャついてるみたいな気まずさなんだけど…。

そういう時は…さっさとその場から離れるに限る。


2人を連れてその場から離れようとしたその時、霜月さんから止められてしまった…。

まぁ、最初は霜月さんに会うつもりでここに来たからアレなんだけどさ!


「はぁ…。ねぇ千夏?歩きにくいから…もう少し手の力抜いてくれる?」


「…。やだ。このままがいいもん…」


「もういいや。とりあえず、あなた達3人はそのなんとも言えない目をするのやめてくれる?」


「じゃあどんな顔で見ろと?こういうのは、うちの部活の先輩達だけで十分なんですけど!」


「そんなこと言われても…」


それから10分くらい、霜月さんと雫ちゃんの言い合い?が続いたのは…もう思い出したくない。


ずっとイチャつくのはどうとか、聞いてるこっちが恥ずかしくなってくるような内容だったんだもん!


言い合いが終わる頃には、私も美月ちゃんも顔が真っ赤になってたよ!?

まだ文化祭始まってもないのに…大丈夫かな...。

次回のお話は11月9日の0時に更新します。


文化祭のお話は一旦1年生組のお話が落ち着くまでやって、そこから先輩達のお話に行くと思います。


1年生組の3日間が終わったら、先輩組の3日を書く。みたいな感じになると思います。

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