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第9話 予想外の展開

 その日の私はお母さんの声で目が覚めた。

 いくら大好きなお母さんといっても起こされた瞬間の私はちょっと機嫌が悪い。


 せっかくいいところだったのに何で起こすの?みたいなことってよくあるじゃん?そんな感じ。


 今日の私は雫ちゃんと一緒にお買い物に行ってる夢を見てた。

 これから雫ちゃんのお洋服を一緒に選ぼうってなってた時に起こされたんだもん。

 いつもより機嫌が悪い。


 まだちょっとだけ開きにくい瞼を何とか開いてお母さんに顔を向けた。

 いつもより寝起きが悪いと悟ったらしいお母さんはまた寝なさんなよ?という言葉だけを残してさっさと部屋を出て行ってしまった。


 いつもより寝起きが悪いのは認めるけど、幾ら何でもそっけなさすぎる。

 ちょっとだけ悲しくなりながら私はリビングに降りる。もちろんいつもの毛布を被ったスタイルで…


 下に降りた時、お母さんは相変わらずちょっとだけ私の姿に呆れてたけど、いつも通り一緒にご飯を食べた。


 ご飯を食べている最中にこの間話してたお父さんの話題になった。


「そういえばこの前お父さんが夏休みに帰って来るって言ったじゃん?お父さんが早めに仕事が片付きそうだから夏休みのちょっと前には帰れるって。」


 私は別に帰ってきて欲しくなんてないんだけどなぁ…

 あからさまに私が嫌な顔をしてしまったからなのか、お母さんは苦笑いしていた。


「またそんな顔して〜。そんなにお父さん嫌い?」


「嫌いというか…顔も覚えてないお父さんなんてお父さんじゃないよ…」


 つい本音が出てしまって、しまった…と思ってたらお母さんが珍しく笑ってくれた。


「なるほどね。もう数年会ってないからね。覚えてないのは仕方ないか。」


 そんなことをちょっと涙を流して笑いながら言ってた。

 そんなにおかしい?うちのお母さんは笑いのツボがわかんない…。


 そんなこんなで朝ごはんを食べ終えた私は自分の部屋に行って学校の準備を済ませる。

 もうそろそろ5月になろうとしてるのに、相変わらず私の部屋には暖房が一日中付けっぱなしになっている。


 そうでもしないと寒いんだもん!お風呂上がりとか、寝起きとか特に…


 外はちょっと暖かくはなってきたけど……


 つい1時間くらい前に目が覚めたばっかりなのに学校に行く準備が終わった途端にあくびが出てしまった。

 そんな自分にちょっとだけ呆れながら、携帯を鞄の中に入れようとした時、ちょうど手の中の携帯が光った。


 私は少しだけ変な期待をしながら携帯を確認すると、雫ちゃんからのメッセージでは無く、かといって奥田さんからのメッセージと言うわけでもなかった。


 つい数日前、始めて雫ちゃんが紹介してくれた小説を書いている人に感想を送って見た。

 その返事が返ってきていた。


 まさか返って来るとは思ってなかった私は、ちょっとだけびっくりした。

 その作者さんの名前が天野雫さんと言う方で、雫ちゃんとおんなじ名前ということがちょっとだけ気になって感想を送るなんて事をしてしまった。


 感想を送った直後の恥ずかしさで死にそうになった事をいまでも覚えてる。

 というか、思い出しただけでちょっとだけ顔が赤くなってきてしまう。


 でも感想の返事をゆっくり読んでる時間はない。

 もう家を出ないといけない時間だった。


 学校に着いたらゆっくり読もうと決めて携帯を鞄の中にしまう。


 ちなみに、入学して今日で二週間くらい経ったんだけど、ようやく学校への道を覚えました!

 すごいでしょ!?私!


 最初の方なんて20分くらいかけて登校してたのが今は歩いて10分程度で着く。

 入学当初は道に迷いすぎて学校がすごく遠く感じてたけど、思ってたより近くてびっくりした。


 むしろ、割と近いのに何で迷えたのか不思議なほど…

 つくづく私ってすごいよね〜。いろんな意味で…


 学校に着いて教室に上がると、いつもならもうかなりの人数がいるはずなのに、今日は人が少なかった。


 ちょっとだけ不思議に思って自分の席に向かっていると、いつもなら私の席に隣で読書をしているはずの雫ちゃんの姿がなかった。


 でも、机の横にカバンがかかってるし、机の上には読書に使う予定だったのか、難しそうな小説が置いてあった。

 まだ8時30分を少し過ぎたあたりだし、教室にはほんの数人しか居ないから読書をやめるなんてちょっと意外だった。


 ちょっとだけ気になって教室を少し見回すと、奥田さんの机の横にもカバンがかかってるけど、奥田さんは教室の中にはいなかった。

 どうしたんだろう。いつものこの時間なら絶対教室にいるのに…


 何と無く気になった私は、朝のHRが始まるまでまだ充分時間があったから2人を探しに行くことにした。


 思い当たる場所が女子トイレしかなかったからそこにいなかったときはちょっとだけびっくりした。


 どこにいったんだろうと校内をうろついてると、中庭で雫ちゃんと男の子が話してるのが見えた。

 妙に気になってしまって、急いで中庭に向かった。


 なんか邪魔しちゃいけないような気がしてしまって、中庭近くの廊下に着いた私は、近くの窓から眺めるだけになってしまった。

 しばらく眺めていると、男の子の方が何かお願いをしてるのか頭を下げていた。


 何をしてるんだろう…。気になる…


 窓が空いてないから会話は聞こえないし、開けちゃうと邪魔してしまいそうで怖い。

 雫ちゃんが頭を下げた男の子に向かって何か話してる様子だったけど、すぐに雫ちゃんは校内に戻っていった。


 急いで雫ちゃんを追いかけた私は、1人残された男の子のことなんてすっかり忘れていた。

 中庭から校内に戻った雫ちゃんはそのまま教室に戻って読書をし始めた。


 今の時間は40分だけど、相変わらず何でか教室の中にはあんまり人がいなかった。

 今日って何かあるんだろうか…


 奥田さんが教室に戻ってきたのはHRが始まる直前だった。

 どこにいたんだろう…。ちょっと疲れてるみたいな顔してるけど…


 その後遅れて教室の中に入ってきた男の子を見て私は、何と無く嫌な予感がした。

 その男の子はこの前奥田さんに告白したという男の子だった。


 何かあったのかな…。奥田さんは彼の事は別に好きじゃないって言ってたし、一昨日恋愛相談されたから付き合うなんてことはないと思うけど…


 気になった私は1時間目が終わったタイミングで奥田さんに事情を聞きに行った。

 そしたら、私の悪い予感が当たったみたいで、朝彼を振るために体育館のそばにある渡り廊下に呼び出したみたいなんだけど、その話をしたらしつこく理由を聞かれて疲れちゃったみたい。


 結局正直に好きな人がいると言ったら渋々といった感じで諦めてくれたらしいけど…。

 好きな人についてもしつこく聞かれて余計に疲れたとも言ってた。


 そっとしといた方がいい?って聞いたらむしろそばにいて欲しい!って言われてちょっと照れちゃった…


 いっ……良いじゃんか!女の子相手に照れても…


 そのあとは2・3時間目が終わった瞬間に奥田さんの席に向かっておしゃべりをしてた。

 何か時々視線を感じて辺りを見回してみたけど、別に見られてる感じはなかった。


 雫ちゃんは相変わらず窓の外を眺めてるし…


 お昼ご飯ももちろん一緒に食べた。

 この間分けてもらった奥田さんのお弁当があまりに美味しかったからまた分けてもらっちゃった…


 このお弁当は奥田さんが自分で作ってるみたい。

 お料理上手な子っていいなぁ…

 相変わらずすっごい美味しいし!


 奥田さんはなんでかお弁当を食べてるときは顔が赤いことが多い。

 なんでだろうね…?


 5時間目が終わった後も奥田さんとずっとおしゃべりしてたけど、次の授業で私が寝ちゃって、7時間目が始まるまで起きれなかった。

 午後の授業はなんかすっごい眠くなるし、ちょうど窓から太陽の光が入ってくるからすっごい気持ちいい。


 7時間目が終わって下校時間になった。

 雫ちゃんとあわよくば一緒に帰ろうと思ってた私は隣の席にいるはずの雫ちゃんに目を向けると、そこに雫ちゃんの姿はなかった。

 下駄箱にもすでに外履はなかった。


 もう帰っちゃったみたい…

 一緒に帰れなかった事を残念に思い、私は分かりやすく落ち込みながら家に帰った。


 家に帰って雫ちゃんに今日の朝何をしてたのか聞いて見たけど、何も教えてくれなかった。

 秘密〜って学校での彼女の姿からは想像できない言葉が出てきて可愛いって思っちゃった…。


 そういえば、奥田さんがクラスの女の子のお食事会は日曜日になったよ。って言ってた。


 その事を雫ちゃんにも教えてあげると、かなり迷っていた。

 日曜は暇だけど…なんか気が乗らないって…


 必死に説得してみると、参加メンバーが私と奥田さん、あとクラスの女の子数人と知ってちょっとは乗り気になってくれた。


 その後、なぜか私が当日オシャレをしていく事を条件に参加しても良いよって言ってくれた。


 なんでそんな条件を出されたのか全くもってわかんないけど、せっかく誘ってもらったしちょっとはオシャレしていこうって思ってたから……もちろんその条件をのんだ。


 奥田さんにもその事を伝えると、雫ちゃんが参加することより私が頑張ってオシャレして行くことに興味を持ってた。

 なんでこんなに期待されてるんだろう…


 銀髪だから私服もかなりオシャレ。なんて勝手に思われちゃってるのかな…

 ハードルが無駄に高い気がする…


 でも、雫ちゃんが参加してくれるって言ってくれるのは予想外だったからすっごく嬉しかった。

 お食事会を通してもっと距離を縮められるかもしれない。


 夜ご飯の時も私はそのことばかり考えてしまってた。

 終始ニヤついてたからなのかお母さんからすっごい心配されたけど…


 夜ご飯を食べ終わったあとは、学校で見れなかった小説の感想の返事を読んだ。

 なんか..何となくだけど文面が雫ちゃんが送ってくるような文面だったからあれ?って違和感は持ったけど……きっと気のせい。


 でも、すっごく嬉しかった。

 好きな作家?さんに返事を貰えたってだけの事だけど……


 寝る時間になっても私は日曜日が楽しみなのと、返事を貰えたことが嬉しすぎてなかなか眠ることができなかった。


 結局ベットに入ってからいつもならすぐ寝れるのに、今回は20分くらい眠れなかった。

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