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夕暮れの教室でボンヤリ時を待つ。
今日も午後5時からデートタイムだ。
まあ勝手に私が思ってるだけだけど。
もし、もしも甲斐君もこれをデートと思ってくれてたら嬉しいな。
でもやっぱり恥ずかしくてそれは聞けない。言えない。
それに―――――
「甲斐君とメルッハ、どっちの方が好きかわからないしね」
なんて独りごちして、ふふっと笑う。
さあそろそろ行かないと。
私は教室を出ると、いつもの待ち合わせ場所まで走り出す。
目指す先に人影を認める。
甲斐君が私に気付く。
微笑む彼に沸き上がる熱い風を感じながら、私は彼の元へとたどり着いた。
「さあ今日もメルッハについて語ろう」