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第87話 経験値を送れ(2)


 鍛冶工房のプロジェクト・チームでは、まず大まかな艦の規模と機能が話し合われた。


「するってーとエイガ。アンタの求める船は……だいたいこんなところかねえ」



・ 部隊100人~150人が乗員可能な規模。


・ モンスターと戦うための強固な装甲。


・ 並びにスピード。


・ 融合魔法を中心とした攻撃能力。



 リヴはペンでさらさらっと上の項目を書いた。


 それを見て、俺はふと思い出す。


「ああ、それから。できれば騎馬を乗せたいんだった」


「騎馬?」


 そう。


 この前、騎兵部隊を作りたいって考えてたんだよ。


 黒王丸の例もある。


 多くの馬へ経験値を獲得させ、飛行魔法ウォラートゥスを覚えさせていけば、強い『航空前衛部隊』を作ることができるかもって思ってさ。


「それを艦に乗せればスゲー機動的だろ? 海上の空でだって戦える。だから、できれば大規模な馬屋の施設がほしいんだ」


「なるほど、そりゃいい。だいたい何頭くらい連れて行きたいんだい?」


「うーん、前衛剣士の数だけいれば理想だけど、4、50頭はほしいな」


「よしきた!」


 と、勢いリヴがペロッとペン先を舐めた時だった。


「ちょっとお待ちくだされ」


 奥賀の造船技術者が待ったをかける。


「それはちょっとばかり現実的ではありませぬぞ」


「なんで?」


「古来より、船で多くの騎馬を輸送するのはたいへん困難なことだと知られております。馬はとてもデリケートな生き物ですし、大量の水と干し草を積む必要があり、糞尿も出る。そういうワケで、多くの馬を船で輸送して戦うのは現実的ではないのでございます」


「むっ……」


 たしかに、黒王丸一頭でも、船の中での馬の世話はたいへんなものだった。


「じゃあ、何頭ぐらいならいけるのさ」


「搭載する他の武器のスペースとの相談になりますが、4、5頭か……そこらが限界でしょうな」


「だってさ、エイガ」


「うーん……」


 残念だが、今回その点は妥協せざるをえないようだった。


「その代わり、この間の魔法銃をさらに発展させた武器を積んであげるからさ!」


「リヴ!……うん。頼んだぜ」


 こうして話が進み、だいたいの船の規模が決まると、それに合わせてドックを仕上げていくことになった。



 ◇



 ところで、『ドック』というのは要するに断面図で言うとこういうことだ。




海抜0ーーーー◇     ■

    海中 ◇ 船造場 ■

       ◇     ■

       ■■■■■■■



 ◇が水門。


 つまり、海面より低い位置に設けたスペースで船を造り(あるいは修理、改造し)、できあがると水を満たして浮かせ、水門を開き、航行する……というワケ。



 ただ、今のところ埋め立てが済み、海岸付近にくぼ地を掘ってはいたが、ドックへ具体的な造船機能を備えるためには、これは建設の領域――大工だいく仕事になってくる。



 そこで、かねてより目を付けていた『大工の棟梁とうりょう』へ経験値転送スキル【レシーバー】をマークした。


やかたや鍛冶工房を建ててくれた棟梁である。この事業を通して、領地の【建設能力】そのものもあがるといいよな。)


 しかし、そうなるとレシーバーの枠が足りなくなってくるのが頭の悩みどころだ。


 レシーバーをマークして経験値を転送できる枠は3枠。


 俺はとりあえずやかたへ行き、マナカへ付け替えていたレシーバーを回収することにした。


 メイドたちの才能、被服アパレル産業を育てるのはとりあえず中断だ。


 それでどこへ最後のレシーバーをマークするのかと言えば、それは『付け替え』して経験値を割り振っていくのである。


 つまり、これから俺はクエストへ行き、しばらく経験値を獲得すると黒王丸で領地へ帰り、レシーバーを付け替えてまたクエストへ戻っていく。


 そんなふうにレシーバー1枠を複数人で回して経験値を配分していくってことだ。


 こうすれば艦のプロジェクトへ参加する人員へまんべんなく経験値を送っていけるワケ。


 ただ、リヴへはしばらく集中して経験値を送り続けるけどな。


 大工の棟梁はドックの設備ができあがるまでは固定して送り、その後は付け替えって感じか。


 3枠目の最初は一太郎くんだが、別の子にも経験値は送りたいので、彼へのマークはとりあえず暫定。


 こんな感じ。


 倒せる敵が強くなってきたからこそできる荒業だ。


 あとは、A級のクエストをこなしてバリバリ経験値を獲得するのみ。


 で、それならば融合石を獲得できる【片翼の塔】がいいだろう。


 あそこでゴーレムを倒して得る経験値を転送し、同時に『融合石』も獲得していければ、とても効率的なレベル上げだしね。



 ザックザック…… コーン! コーン!……ガッガッガッ!!



 しかし、部隊は今ドックのくぼ地を掘り込む土木作業の最終段階に入ってて超忙しい。



 そして、もう来週には『田植え』なのだ。


 150人部隊の者でも『中村』出身の者は多く、彼らは田植えの時期になると冒険をやめて実家へ帰省してしまう。


「んー……」


 そこで考えたのは、田植えに関係のない(『中村』以外の)村の者で編成する25名精鋭部隊で、片翼の塔へ『ミニ遠征』を行うというプランであった。


 この精鋭部隊は、坂東義太郎、チヨ、ナオ、杏子きょうこ、エリコさん、それから西園寺華那子などエース級で編成される。


 風の足具や魔鉱石の矢じり、レア魔石の赤玉、青玉などアイテムも十分に揃えた。


 と、その前に。


 3隻ある帆船のうち1隻をアキラとその部下に与えて、いよいよ鬼ヶ島へ鉄の採掘へ向かわせる。


 そして、ドックのくぼ地も掘りあがる頃……


 領地最大1500人の人口を誇る『中村』で田植えが始まった。




【お知らせ】


マンガ『育成スキルはもういらないと勇者パーティを解雇されたので、退職金がわりにもらった【領地】を強くしてみる』が、マンガアプリ≪マンガUP!≫様にて先行連載開始となりました。


すでにマンガUP様で第1話がごらんいただけます!


マンガ担当はたかはし慶行先生。


ほんとうに素晴らしく綺麗で、マンガとしても面白く仕上げていただいております。


(詳しくは活動報告にて)



また明日「1月11日」~「15日」にかけて、GAノベル様刊の1巻が順次お店へ並び始めます!


・イラストteffish様

・【書き下ろし】エイガ、クロス、ティアナ3人パーティ時代の過去編。



なにとぞ引き続き書籍1巻、コミカライズ、Web版ともどもよろしくお願いいたします!


黒おーじ


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― 新着の感想 ―
[一言] 遠征で鍛えられた部隊が田植えしたら予定よるドチャクソ早く終わりそう
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