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第65話 装備の開発


「「「おかえりなさいませ!ご主人様!!」」」


 遠雲とくもやかたに帰ると、メイドたちとガルシア、五十嵐さんが迎えてくれた。


「ちょー早かったッスね! 片翼の塔へ行ってたんじゃねーんスか?」


 旅の商人だったガルシアには片翼の塔がどれだけ離れているかの距離感があるのでビックリされる。


「行ってたんだよ。黒王丸がけっこう飛べるようになってんだ。ほら」


 俺はカバンの中の融合石をジャラジャラと見せてやる。


「あの片翼の塔を……。旦那、そんなに強いんだったらあのまま勇者パーティでもやっていけたんじゃないッスか?」


「別に、ピンポイントでゴーレムだけを狩ってきただけだし。タワー・マスターを倒してきたわけじゃないからな。これくらいならなんとかなるさ」


「そんなもんスかねえ」


「そんなもんだって。……ふぁああ」


 さて、そんなふうにガルシアとしゃべりながら居間のソファへ腰かけると、急に睡魔が襲ってきて大きな欠伸あくびが出た。


 五十嵐さんがキっとこちらを睨んで、


「……お疲れのようですね」


 と、やさしく腕に触れる。


「おやすみになられますか?……」


 たしかに、猛烈に眠い。


 単独遠征中はろくに寝てなかったからな。


「あ……でもリヴは?」


「リヴさんは工房ッスよ」


 うーん、せっかく融合石のサンプルを23個も手に入れたのだから、一刻も早く新兵器の開発に着手して欲しい。


 今すぐにでも眠ってしまいそうだけれど……先に工房へ行って発破はっぱをかけるだけはしておこう。


 そう思って、さしあたって風呂と着替えを済ますと、今度は鍛冶工房へ行った。



「おう、リヴ」


「エイガ!無事だったのかい?」


「当たり前だっつーの。ほら、融合石だぜ」


 俺が机の上へ融合石を広げると、リヴは目を見開いた。


「こんなにたくさん!?」


「ああ。これで魔法融合が使えるんだろ?さっそく兵器開発を頼むよ」


「まあそりゃ、約束したから開発は気合い入れてやるけど………でも、あんた。本当よく帰ってきたねえ」


 リヴはせっかくの融合石には目もくれず、ただただ俺の手を握りしめ、うなずくばかりである。


 ふー。


 俺はため息をつき、『彼女が落ち着くまで少し待ちだな』と思って、ぼんやりと工房の中を見渡していた。



 わいわい、ガヤガヤ……



 ところで、工房の様子は出かける前と比べて少し賑やかになっている。


 つい先日はまだリヴだけで閑散としていた鍛冶工房だが、一太郎くんに加えて5人ほどの領民らしき人々がやってきていた。


 いよいよこの地で集めた弟子を教えにかかろうというのだろう。


 みんな始めたばかりという具合の慣れない手つきではあるものの、そこは一太郎くんが兄弟子あにでし的なポジションで指導にあたっている。


「一太郎さん、ここ教えてくおくれ♡」


「オラも♡♡ ここよくわかんねーだ」


 ちなみに、そのうち2人は娘で、どうやら彼女らは両方とも一太郎くんのことが好きっぽかった。


 やれやれ。


「人、けっこう集まったんだな。のぼりの効果か?」


 そうたずねると、リヴはようやく手を離し、いつものごとくタンクトップの胸を威張いばるようにった。


「そうそう。かなり反応がよくってね。今のところ応募は20人ほどあったんだよ」


「そんなに?」


「うん。でもいきなりそんなたくさんは教えてあげられないから、とりあえずこの5人を育てていくことにしたのさ」


「なるほど」



 きゅイーん☆ プシュー! プシュー!!


 そのとき、工房内でが音をたてた。


 みんなで設備の使い方を勉強し始めたらしい。



 ちなみに、この工房の『』や『かま』といった設備には、ゴーレムを倒した時に活用したようなレア魔石の使い方が導入されている。


 領地で採れる鉱物を燃料に……と、リヴや大工の棟梁とうりょうが工夫して作ってくれた工業用の加熱システム。


 まず、魔鉱石で魔力エネルギーを起こし、それをレア魔石で炎と風へ変換して、ふいごの要領で熱量を高めていくというシステムである。


 それは金属を溶かす高熱をゆうに達成するが、魔力や風力の調整によって温度を微細にコントロールすることもできるそうだ。



 プシュー!……きゅイーん☆カンカンカン!! ワイワイ……



 稼働したかまは魔力音をあげて、5人の新規メンバーがそれぞれの持ち場で懸命に仕事を覚えようとしている。


 設備と人間グループの活気で、工房はいわば【工場】のような雰囲気をすらかもし出し始めていた。



「そうそう。レア魔石と言えば【風の足具】のジェット・システムはなかなかよかったぜ」


「あら、そうかい?」


 女鍛冶は自作を褒められて少し照れたようで、いつもの不良っぽいしぐさで髪をかきあげる。


「うん。風の足具を量産できれば、領民部隊の機動力は飛躍的に伸びると思うんだ」


「なるほど。でも、それだとベースになる鉄が足りないかもねえ」


「ケルムト文化圏の残留部隊がまだ50人いるからな。彼らがまた鋼鉄系装備を持ち帰って来てくれると思うけど……」


 とは言え、鉄や鉄に準ずるようなベースとなる金属はが必要なので、もう少し効率よく手に入れたいとは思う。


 一番いいのは領地から鉄鉱石が発見されて製鉄できるようになることだけど、アキラの地質調査によれば今のところ遠雲の地層に鉄は存在しない。


 そこらへんは課題だな。




 まあ、こんなふうに物質量や生産能力にはまだまだ限りがある。


 融合石という素材が導入された上で、これからどういう優先順位で装備増強を進めていくべきか……。


 そこらへん、リヴとの相談は尽きなかった。



 ふぁああ……


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