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第151話 よくぞここまでたどり着いた


 俺は魔王城の裏門前でつるぎを抜いた。


「それいけッ、突撃だッ!!!」


 わー……!!


 続く149人の領民部隊と一機(ぴゅう太)。


 裏門には見張りの一人も立っていない。


 敵はデスデザートが広がる陸側から襲撃されるとは夢にも思っていなかったのだろう。


「うらア!」


 俺は勢い良く門を蹴破る。


 鉄錠ごとぶち壊れ、その裂け目を散らかした穴から城内へ侵入。


 むっ……


 矢倉の内部の廊下にはさすがに敵の姿があった。


 1、2、3……10匹。


 ヤツらはトカゲの顔と牙を持っているが、二足歩行でそれぞれ矛と盾を装備している。


 蜥蜴男リザードマンだ。


「なッ??」


「なんだキサマらは!」


 しかし、まもののむれは、おどろきとまどっている。


 俺は問答無用でどうつるぎ(+121)を振りかぶり、一番近いやつの横腹を薙ぎ払った。


「ぐふッ……!」


 俺が一匹倒すと、後ろの味方も勢いに乗り、次々と敵へかかっていった。


 速攻で二匹、三匹と倒していく。


「敵襲だああ! エイガだ! 攻めてきたゾ!」


 一匹が中庭の方へ逃げ、仲間に敵襲を知らせた。


 こしゃくな。


「撃て、撃て!!」


 ドーン……! ドーン!


 どこかで敵の大砲が轟音を上げた。


 地は激しく揺れ、城の壁から石の破片がパラパラと落ちて来る。


「……うっ」


「大砲……」


ひるむな! 大砲は気にしなくていい!」


 俺は部隊を鼓舞し、改めて敵へ突っ込む。


 そう。


 大砲はすべて海へ向いているのである。


 ドーン! ドーン!……


 俺たちが蜥蜴男リザードマンたちを倒し続けるのをよそに、海へ向かった大砲の音はむなしく鳴り響き続けていた。



 ◇



「城が崩れるぞ! いったん避難だ!」


 蜥蜴男リザードマンを全滅させると、レベル2が落城。


 俺たちは城の裏へいったん逃れ、レベル3が生えてくるのを待つ。


 ズズ……ズズズズズ……


「よし、この間に回復だ」


「「「わーい!」」」


 この魔王城システムも俺たちにとっては相性がイイ。


 まず、俺たちには生産者のイサオさんがいくつもの薬草を掛け合わせて作った最強の回復ポーションがある。


 次に、うちの領地では西の山で魔鉱石がやまほど産出するので、コイツをたっぷり持ってきていた。


 つまりこうしてインターバルがあると、毎回ケガを治し、魔力を全快して次戦に臨むことができるってワケ。


 通常パーティが回復術士の魔力や市販のポーションに頼らなければならないのと比較すると、そのありがたさがヒシヒシと思われるというもの。


 ちなみに、ウチの回復術士たちは、戦闘中に常に全体回復魔法をかけ続けてくれている。


 才能が並なので回復幅は小さいが、なにせ150人が全体なので全体回復魔法のコスパは超絶によい。


 これで幾重にも重ねてされる全体回復が、俺たちの防御力の低さを補ってくれているのだ。


「領主さま〜! お城が生えてきたよー」


 と、ふんどし娘チヨ。


 魔王城レベル3だ。


 城はレベルに応じ出現モンスターの強さも変わる。


 だが、魔王級クエストであるがゆえに、すべて竜人ナルシスの直属の家来どもだ。


 低いレベルでもあなどれない。


 なんとか倒していったが、どれもおそろしい魔物たちである。


 レベル3は人間をゴリゴリに捕食するコブラ怪人たち。


 レベル4は鬼と竜の合いの子の鬼竜たち。


 鬼竜は、鬼の屈強な肉体を竜の鱗が覆っているタフな兵である。


 そして、レベル5からは鬼竜の一般兵に加えて、中ボスが待ち構えている。


 中ボスを倒さなければ、そのレベルの砦を滅ぼすことはできない。


 レベル5の中ボスはワイバーン・メイジ。――通常のワイバーンの1000匹ぶんの戦闘力と言われている。


 レベル6の中ボスはスカル・ドラゴン。――ドラゴン族のパワーに、アンデッド系の不死身さを兼ねている。


 レベル7の中ボスはTクレッス。――強豪トラリケプトスをすら捕食する獰猛な肉食魔獣だ。


 レベル8の中ボスは亀竜カメーラ。――硬い甲羅が厄介なのはもちろん、のろいかと思いきや回転しながら飛び回り、すさまじいプラズマ火球を放ってくる。


 そしてレベル9は緑竜デッテユー。


 ナルシスの副将である。


 ……デッテユーは竜のくせに空は飛べないものの、饕餮とうてつのごとく本当に何でも喰らうおそろしい竜だ。


 しかもレベル9の砦にはなんとレベル8のボスだった亀竜カメーラが通常モンスターとして出現するのである。


 おそろしいことに、デッテユーは配下であるカメーラたちをすら捕食し、その能力を増してくる。


 捕食する亀竜カメーラの甲羅の色によって、デッテユーは甲羅を吐き出して攻撃したり、火を噴いたり多彩な攻撃をしてくるのだった。


「デ、デッテユー……(汗)」


 こうして難しい戦いであったが、ついにそんなデッテユーを150名で追い詰めた。


「よし、コイツを倒せば魔王ナルシスだ! みんな、気合入れろよ!」


 ――おおお……!!


 勢いづいた俺たちだったが、その時、デッテユーの横を青甲羅のカメーラが通った。


「……♪ デッテユー!」


「何……!?」


 青いカメーラを捕食すると、竜のくせに飛べなかったデッテユーに翼が生え、そのまま青い空へと逃げていってしまった。



 ◇



 デッテユーが逃げたことで魔王城レベル9は崩壊した。


 ズズ……ズズズズズ……


 魔王城レベル10は、それまでと比較して巨大な建築物だった。


 中へ入ると、ゴージャスな吹き抜けの総大理石空間に圧倒される。


 金銀の燭台に、竜の彫像。


 それでいて城内には兵はなく、通常モンスターと遭遇エンカウントすることはなかった。


「領主さま、ちっとも魔物がおりませんな」


「最後の城には魔王しか住んでいないのでしょうか?」


「ああ、しかし油断するなよ」


「……へえ」


「わかりました」


 そんなふうに部隊を連れて長い螺旋らせん階段を上ると、なにやらボスの間らしい重厚な扉を発見する。


 俺はおそるおそるこれを開けた。


 ギギギギギ……


 薄暗い部屋。


 ただ、異様にだだっ広く、巨大ドラゴンでも納まるほど天井が高い。


 その真ん中の高台に王座がひとつ。


 赤い絨毯じゅうたん篝火かがりびに照らされて、ちょっとカッコいい男が一人座っていた。


「ふッ……よくぞここまでたどり着いた」


 第4魔王、竜人ナルシスである。


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