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1-3 挑戦者――愚者


「了解した。勝負しよう」


「分かれば良いんだよ」


 周りの人々は、観客席へ避難している。


 距離をとり、とりあえず、相手の出方を伺う。


 僕は冷静さを取り戻したために、今の現状を理解する。ああ、勝負なんてすべきではなかった、と。


 しかし、してしまったからには、しょうがない。



 手を抜きながら、戦うことにしよう。


 さっきまでの試合では、空を飛んではいなかった。

 だから、地上戦についての定石で戦う。


 大男はさっきと同じく、近距離戦に持ち込むはずだ、と、考えているうちに、相手は走りながら魔法を使う。


「【ライトニング】」


 総勢五本の光の線が、それぞれ違う方向から迫りくる。

 さっきと同じ戦法だ。


 ならば、と魔法を使う。


「【召喚する】アジ • ダハーカ」


 このくらいの、龍を召喚する。

 龍と言っても、3頭3口6目の有翼の龍蛇だ。

 翼があるものの、どちらかと言うと蛇に近い。


 地上戦では、モンスターを召喚するのが、定石だ。


 僕の中では、そこまで強くないモンスターでだったため、ちょうどいいと、思って使ってみたが……


 しかし……


 周りの驚愕の表情で察する。これも禁止か、と。



 慌てて、消滅させる。

 召喚は誰でも使う定石だろう、と、思っていた。

 しかし、なぜそんなにも、驚く?


 

 ああ、ここは魔法を学ぶところだった、と、思い出す。まだ、入学もしていないし、分からないのが普通か……

 しかし、こんなこと、誰でも知ってると思う。 



 アジ • ダハーカに受け止めさせよう、と、思っていたが、仕方ない。

 

「【リフレクティブ • シールド】」


 魔法を用いて、防ぐ――だけじゃない。

 このシールドは、跳ね返すことができる。

 そして、自由な形に形成可能なために、五本の光の線を全て合わせた特大の光線と化す。


 たった、数秒の出来事。



「化物か……」


 と、反射的に大男は言葉を紡いだ。

 無慈悲な攻撃――いや、ミスラにしてみれば、こんな火力のない、#ただの__・__#光の線は攻撃ですらない。



 誰もが理解できなかった。その光景。


 そこに立つ、一人の少年は、虚空を見つめる。

 そして呟く。君こそ何もできないじゃないか、と。  

 

 瞳は光を全て飲み込むような、漆黒。

 感情が伴わない、強者の言葉。




 既に、結果は出ており、魔法で治癒をしている。

 


「メモリー • フォルスファケーション」


 証拠隠滅だ。アジ • ダハーカを召喚したところを……いや、今日、僕に関する記憶を、全て消す。


 薄い紫の光が一瞬、パッと、辺りを駆け抜ける。


「ああ、帰るか……」


 これで今日の仕事は終わりだ、とその場を後にした。

 


来週投稿します。

次回、ヒロイン降臨いたします。

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