屍のない国
この国から死刑がなくなって、五年がたった。死刑は「目には目を、歯には歯を」として被害者とその遺族にとっては、納得のゆくものかもしれない刑罰である。だが、一方ではそれは人殺しではないだろうか。国、憲法、法律が許す唯一の殺人。それがこの国から消えた。やっと、国連憲章の保留事項が一つ消えた。国民だけでなく、世界もこの決断を歓迎した。とうとう、日本は世界で唯一の国が人殺しをしない、つまり戦争、死刑のない『屍のない国』になったのだ。しかし、訪れたはずの平和は幻であった。「戦争も死刑もせずして、平和を保てるのだろうか。元々そんなモノがなかったならば、できたかもしれない。が、日本にはつい数年前まで確かにあったのだ。おてんとうさまの下に、堂々と。果たして、日本国民は納得できるのか。」「人類が生まれて何千年と悩まされてきたこの問題が、そんなことぐらいで保てるのか。」日本中に歪みが生じ始めてきた。そんな時、三人の男が現れる。
一人は、迷う者。
一人は、狂う者。
一人は、正す者。
それぞれの思惑が渦巻くこの屍のない国で、
この三人が見つけた真実とは――――。
一人は、迷う者。
一人は、狂う者。
一人は、正す者。
それぞれの思惑が渦巻くこの屍のない国で、
この三人が見つけた真実とは――――。
死刑も戦争もない唯一の世界
2017/12/25 22:45