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9話 本番に向けて着々と進んでいくし進めていく

「いかがでしょう?」

 一夜明けて、あらためて父に相談をしにいく。

 学校のこと、休学のこと、相手の親のこと。

 どうしてもヒロタカの手に余る事だった。

 こればかりは他の者達を引き込んでも出て来る問題である。

 どうしても大人の力を用いるしかなかった。

 それについては、

「なんだそんな事か」

と父はあっさりと承諾した。

「相手の親に連絡をとろう。

 学校にはそれからになるな。

 一度直接会った方がいいだろうし、とにかく連絡をとろう」

 そう言ってすぐに動いていく。

 ヒロタカが驚くくらいだった。

「良いんですか、お願いして。

 俺が動かなくちゃいけない事なのに」

「なに貴重な人材を確保するためだ。

 これくらい手間にもならん」

 父はやはりビジネスライクに考えてるようだった。

「魔術師を囲っておけるなら造作もない。

 まして、お前のものになるならな」

「はあ…………、まだ決まったわけじゃないですが」

「そこはお前次第だ。

 がんばれよ。

 それよりもだ」

「はい」

「問題なのは、それを昨日のうちに言いに来なかったことだ」

 父は更に商売人としての顔を強めた。

 怖い方向に。

 自然とヒロタカの背筋に冷たいものが走る。

「仕事において、急ぐのは何をおいても優先しろ。

 報告の遅れ、相談の遅れ、対応の遅れで損害になるぞ。

 提案もそうだ。

 まして、事を起こしてる最中だ。

 手をこまねいている暇などない。

 確実に儲けを手に入れるまで、絶対に気を抜くな。

 夜中だろうがなんだろうが、言うべき事はすぐに言いにこい。

 儂が寝ていてもだ」

「はい、申し訳ありません」

 怒鳴ってるわけではないが、有無を言わせぬ調子である。

 言い訳をせずに頭を下げた。

 そもそも言い訳出来る事など何一つない。

 商売人としての父の発言を、ただ聞き入れるしかなかった。

「まあ、今回は手遅れになってるわけではないから何とかなる。

 だがな、昨夜のうちに言っておけば、今頃対応を始めていた。

 一時間か二時間は行動を早める事が出来た。

 これだけの時間を失ったのは事実だ。

 これをしっかりおぼえておけ。

 今回の案件の損害としてな」

「はい」

 認めるしかない事実であった。



 そんな事がありながらも話は進んでいく。

 早めに学校を休学したヒロタカは、すぐに周旋屋に向かった。

 冒険者として活動するなら、そこで登録するのが常道だからだ。

 特に滞る事無くそれらが終了し、登録証を受け取る。

 自分の能力が表示されるの軽く驚きながら見て、から色々と話を聞き出していった。

 モンスターを倒して稼ぐにはどうするのか。

 どんなモンスターがいるのか。

 どのあたりに生息してるのか。

 もっとも一般的な倒し方はどんなものなのか。

 レベルなどはどれほど必要なのか。

 そもそもレベルが上がるにはどうすればよいのか。

 モンスターを相手にするのに必要なレベルはどれほどなのか。

 事前に調べた事もあったが、本職に聞くのは初めてである。

 それらを可能な限り聞き出し、事前に入手した情報を照らし合わせていく。

 食い違いもいくつか散見された。

 そのどれが正しいのかは分からないが、情報を鵜呑みにする危険を感じた。

 誰かが嘘を吐いてるかもしれなかったし、そうでなくても勘違いはありえる。

 より正確な情報を手に入れるようつとめると同時に、実際にやってみるまで正解は分からないとも感じた。

 それでも事前に知る事が出来たもので、ある程度やるべき事も見えてくる。

 概ね、これ以前に調べた事と大差はないので、それ程何かを変える必要はなさそうだった。

(とりあえず、ネズミからか)



 モンスターを相手にするにあたって、まずは最も弱いそれで色々試したかった。

 さすがにそれ以上のモンスターを相手にするのは辛い。

 ミサキが来るまでにある程度感触を掴んでおくだけなので、手間がかかる事まではしたくない。

 まずはアオイを連れて、一通りの作業をやってみる事にした。



 装備は安物を揃えてまかなう。

 今後を考えて少しは良い物を、と思ったがまだ試行錯誤段階である。

 すぐに壊れるようなものでも大して問題はなかった。

 それに、巡るのは町の周囲にある堀である。

 そこにはまりこんだネズミを倒して回るだけなので、大げさな装備は必要無い。

 実際、大して手間もかからず、思った以上に簡単に成果を上げる事ができた。

 堀の中にはまってるので、ネズミから攻撃を受ける事はない。

 あらかじめ聞いていた話から、槍を購入していたのも大きい。

 堀の中のネズミを簡単に突き刺していける。

 しかし動き回るので意外に当てにくい。

 それが発見ではあった。

 また、倒したネズミの核を切り取るのも手間がかかる。

 これらは慣れが必要だろう。

 細々としたところで、思った以上に手間をかけてしまう。

 それでも事前に聞いていた話から想像出来た通りに概ね動く事が出来た。

 成果はネズミ十匹程度だったが、試しでやってるのでこれで良い。



 翌日はもう少し別の事も試してみる。

 槍に魔力を付与してもらってから外に出た。

 魔力の付与は周旋屋の魔術師が行ってるもので、料金を払えば一定時間の間魔力をつける事が出来る。

 これによて攻撃は当たりやすく、防御は硬くなる。

 とりあえず一日の作業に十分なだけ魔力を付与してもらう。

 武器にかけて、命中率を上げてもらった。

 気休めではなく、成果が分かるくらいに強く。

 当然金もかなりかかったが、それだけの成果があった。

 前日の時に比べて攻撃が当たりやすくなっている。

 なんとなく相手の動きが分かり、どこに穂先を繰り出せば良いのかを感じ取る事が出来た。

 当てるだけだった昨日と違い、今日は頭などを狙う余裕もあった。

 それだけに攻撃は必殺の鋭さがあった。

 当たる、当てやすくなるという事は、どこに当てるかを考える余裕にもつながる。

 それがあるからこそ、ネズミにとって致命傷になる攻撃を行う事が出来た。

 倒した数は変わらないが、その成果をもって帰還する。

(やっぱり、魔力をつけて外に出た方がいいな)

 レベルの低さを補うなら必須だった。

 ただ、金がかかる。

 分かっていたつもりだが、かなりの出費になる。

 レベルが上がるまでの辛抱だが、これをどうにか押さえ込みたかった。

(どうするかな)

 手っ取り早く攻撃力を上げる手段が欲しかった。


 明日の12:00に続きを出す予定。



 しかし、本当にこんな調子の話でいいんだろうかと思ってしまう。

 読んでる皆さんの反応も、今回は気になる。

 なんぞ思う所があったらメッセージを。

 なお、表現は穏やかにしていただけるとありがたい。



 それと、他の話も更新してるので、そちらもよろしく。



 更新中はこちら。

「転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした」

http://ncode.syosetu.com/n9583dq/



 ちょっとお休み中はこちら。

「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」

http://ncode.syosetu.com/n7595dj/

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