73話 それよりもこっちの方が旨みがあると思う
「学校で頑張って、少しでも良い成績をあげて、なるべく良いところに入るつもりだったんですよ!
だから、レベルアップで学業関係の知識も得られるって事に期待してたんですから。
なのに今、それが出来たかどうか分からないって言いましたよね!」
「まあ、そうとれる発言はしたな」
「それ以外にどう解釈しろって言うんですか!」
不可能である。
「もし出来なかったら、学校で教えてくれる事をおぼえられなかったら、どうするつもりだったんですか!」
激昂したその声は周囲に響き渡り、周りの耳目を集めた。
屋敷の使用人に、事業の方の作業員、モンスター退治に出向く者達やその周囲の作業をしてる者。
何事かと思ったそれらが集まってくる。
一気に衆目の中におかれる事になった。
しかし、ヒロタカは全く気にせずに答える。
「そん時は、うちで働けばいい!」
悪びれもせずに元気にはつらつと言った。
「魔術師は貴重だし、レベル上がってれば引く手あまただ。
そんな貴重な人材を放り出すなんてもったいない。
うちで、春日家でその才能を活かしてくれればいい。
学校を出て適当な所に入るより、よっぽど稼げるぞ」
そういう問題ではない。
「なんだかんだ言って、金だ。
世の中、金なんだよ。
それがあればたいていどうにかなる。
少なくとも生活に困る事は無い。
そして、我が家は君のような優秀な魔術師を求めてる。
来てくれれば実にありがたい」
「……それは、学校卒業して入る事が出来る公の機関よりも重要なのかしら?」
ちなみに、公的機関に就職するのに、学校を卒業している必要はない。
一定以上の地位になるのでなければ。
ある程度の権限や役職を得るには、特定の学校を卒業しておかねばならない。
そうでなければ一般業務を執り行う下級役人にしかなれない。
ミサキの求めてるのが、そういった下級役人ではない、より上位の役人、官僚であるなら学校卒業は必須となる。
それが危うくなりそうだったと判明して、彼女の気持ちは煮えたぎっていってた。
「卒業して、入省して。
家を立て直すつもりだったけど……」
「まあ、無理だな」
ヒロタカは容赦なく言い切る。
「学校を上位の成績で卒業しても、出自となる家の格が問題になる。
最初の時点である程度の地位にはつけるだろうが、そこからの出世は難しい。
まあ、上級役人の下っ端で終わる可能性が高い。
それくらいなら、こっちで働いた方がよっぽど儲かるぞ」
「そういう事じゃない!」
ミサキは更に絶叫する。
「家の再興の機会なの。
これをきっかけに、少しでも家格をあげていきたいの。
その機会が無くなるかもしれなかったのよ」
「確かにな。
俺もあやふやな事を言ったのは確かだ」
そこはしっかり理解しているようだった。
「だが、どうせ大して変わりはしない。
卒業して入省しても先は知れてる。
それくらいなら、我が家で働いた方がよっぽど可能性がある」
「どこがよ!」
「功績をあげればいいんだ。
決まってるだろ」
「どうやって!」
「モンスターを倒して倒して倒しまくる。
それで地域に貢献、名声をあげて、出来れば叙勲。
家格や家名は一気に上がるぞ」
嘘ではない。
モンスターを押しのける程の活躍をしたなら、平民とて武家として仕官出来る可能性がある。
もちろん下級武士がせいぜいだが、それでもあげた功績によってその後が違ってくる。
貴族であればなおのこと。
あげた功績でその後がかわってくる。
さすがに領地が増えたり、爵位や官位などが上がったりとまでいかないが、目をかけられるようになる。
モンスターが押し寄せるこの世界、それに対抗する者は貴重だ。
また、襲撃されて村や町が壊滅、そのまま領主が領地を失う事もある。
そういった所に功績をあげた貴族があてられるのも珍しくはない。
それを狙って熾烈な争いが起こってはいるが、優先されるのは功労者である。
実力がなければモンスターを押しのける事は出来ないので、出自だけが問題になる事は無い。
「そっちを目指してがんばろう」
そう言ってヒロタカはミサキを励ました。
「納得出来るわけないでしょう!」
とはいえ、最終的にミサキも折れるしかなくなる。
ちょっと考えてる事を活動報告に書いてます。
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