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【完結】金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します  作者: よぎそーと
その6

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52話 地味な魔術の驚くべき効果

感想ありがとうございます

「みんなー、行くよー」

 ミズキの声に従い、ロバたちが一斉に返事をする。

 魔術に目覚めてからのミズキの朝は、概ねこんな形で始まる。

 そのミズキに促され、ロバは所定の位置に移動し、馬車につながっていく。

 こうして出発の準備を手早く終える事で、無用な手間が減少していた。



「人みたいに会話するってわけではないですね。

 何となく言いたい事が分かって、こちらが思った事を何となく伝えられるって感じです」

 実際に行ってるミズキはそう説明する。

 そうやって意志の疎通が出来る事で、色々と分かる事があった。

「この子は今日は調子が悪いみたいです。

 あっちはいつも通りにやれるみたいですよ」

 そう言って、行動可能なものが分かるようになった。

 動物は生き物なのだから、当然ながらその日によって体調や気分の善し悪しがある。

 今までは態度や素振りからそれを察するしかなかったが、今はそれを実際に聞きとる事が出来る。

 おかげで働けないものを無理につれていく必要がなくなった。

 その分、全体の調子が均一化され、馬車の移動などが円滑になっていった。

 意志の疎通が出来る事による利点は他にもあった。



「じゃあ、今日もついてきてね」

 そう言うミズキに何頭かのロバが返事をしていく。

 それらは馬車に繋がってはいない。

 手綱も、一応はついてるが誰かが引っ張るわけでもない。

 にも関わらず、馬車について何頭かのロバがついていく。

 意図する所を相手に伝える事で、操作せずとも彼等を従える事が出来るようになった。

 おかげで荷物持ちのロバを余分に連れていく事が出来る。

 更に、馬車を引くロバに話かける事で御者の手間も省ける。

 運搬能力や移動能力はかなり高くなっていた。



 命令出来るわけではないので、あくまで相手が納得したら、という事ではある。

 意志の疎通、つまりは会話のようなものだ。

 相手にこちらの要望を聞いてもらうには交渉するしかない。

 それほど拗れる事は無いが、餌を多めに求められたり、寝床の快適さを訴えられるようにはなった。

 体をしっかり洗うことなども。

 このあたり人間とさほど違いはない。

 ロバもロバなりに要望があり、快適さを求めてる。

 それらを適切にかなえていく必要があった。



 予想外の出来事も発生する。

 人数が多くなり、馬車が増えていた。

 当然ながら御者も必要になり、その為に三人組の一人は馬車を扱う技術を身につけていた。

 それはヒロタカもいずれはそうなるだろうと思っていた事である。

 全員が戦闘技術をのばす必要はない。

 事業に必要な技術であって欲しいが、それぞれが自分の求める技術を伸ばしていく事は想定していた。

 最初は戦闘に必要な技術をもった人間を揃えておきたかったが、各自の意志を踏みにじるわけにもいかない。

 三人組は、単純に移動に必要になるだろうからという考えで馬車の技術を身につけたようであるが。

 そのあたり、今後を考えていたのだろう。

 戦闘は今後も継続するつもりであるという。

 ただ、ミズキが意思疎通でロバに話しかけてくれるから、操縦をする必要がほとんど無くなったという。

「楽でいいですけどね」

と苦笑気味に話していたのがヒロタカにも印象的だった。

 ほとんど自動操縦のようなものになってるのだろう。

 それはそれでありがたい。

「けど、毎回舞術に頼れるわけじゃない。

 馬車を動かす技術も必要になっていくだろうから、それはそれで大切にしてくれ」

 そう声をかけていった。

 慰めでも何でもなく、本音である。

 常に魔術が使えるとは限らない。

 使える者はありがたく使うが、それが無い場合も想定しなければならなかった。



 そして、この意思疎通も万能ではない。

 さすがに戦闘にけしかける事は出来なかった。

 そう願う事は出来るだろうが、ロバの方が納得しない。

 彼等も危険はごめんであるという。

 何よりミズキが、

「かわいそうです!」

と大声で非難してきた。

 根っから動物が好きなのだろう。

 その剣幕に、提案したヒロタカは自分の考えを引っ込めるしかなかった。

 もとよりロバを含めた動物を虐げるつもりはない。

 ただ、それが出来るかどうか確かめたかっただけだ。

(まあ、仕方ないか)

 納得するしかなかった。

 だとしても問題は無い。

 動物を効率よく運用できるようになったのだ。

 それだけでも御の字である。

 また、経験値が貯まってレベルを上げられるようになった時に、より便利な魔術を身につけてもらえる可能性がある。

 そちらにも期待をしたかった。

 今の段階でも十分に役立っているが、今後更なる発展と展望がのぞめる。

 そちらの方が重要だった。

 他の話もよろしく



 更新中はこちら。

「転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした」

http://ncode.syosetu.com/n9583dq/



 ちょっとお休み中はこちら。

「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」

http://ncode.syosetu.com/n7595dj/

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