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【完結】金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します  作者: よぎそーと
その5

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47話 こんな心配をしなくちゃならないのも辛いもんですが

「何にしろ、そういった連中が当たり前のような顔をする。

 それが常識になってしまう。

 それが怖いです」

「確かに」

「なので、そうならないよう、まずは検査をしっかり出来る体制を作りたい」

「それが面倒という奴か」

「ええ。

 これ専用で一人は人間を配置しなくちゃいけません。

 今はまだ全然そんなの必要ない段階ですが。

 でも、いずれ必要になっていきます。

 早ければ二ヶ月三ヶ月の後に」

「すぐだな」

 経営や運営の観点からすればすぐである。

 この場合、個人の感覚で考えるわけにはいかない。

「それまでに一人くらいまともに計算が出来る人間が欲しいです。

 どちらかというと、馬鹿な真似をしないような者が」

 能力ではなく心情の方が優先された。

 もちろんまともに計算出来ねばどうしようもないが、嘘や誤魔化しを決してしない人間性が大事である。

 それが出来なければ、そもそもの大前提が崩れる。

「ではそういう人間を配置すれば良いのか?」

「当面はそうするしかないかもしれません。

 あくまで当面の補填として。

 その間にまともな人間を育成しようと思います」

「どうやって?」

「モンスター退治に連れていきます」

 予想外の打開策である。

「効率は落ちますが、経験値を稼がせて、レベルアップさせます。

 戦闘員ではなく、事務員として」

「レベルアップを利用するのか」

「はい。

 その方が促成培養できるでしょうし。

 現地での集計などもさせて、作業をおぼえさせるつもりです」

「強引だな。

 死んだらどうする」

「その時はその時です」

 肩をすくめる。

「何事にも犠牲や損失はつきものです」

「仕方ないな」

 父も頷いた、

「だが、死なすなよ」

「もちろんですよ」

 ヒロタカとて見殺しにするつもりはない。

「そんな無駄な事してたまりますかって」

 苦労が水の泡になり、投資した金が消えていく。

 余計な損害など出してる余裕はなかった。



 戦闘員をまず増やし、それから他の技術をのばしていく。

 それが当初の予定だった。

 今もそれを変更したつもりはない。

 しかし、そうも言ってられない状況になりそうだった。

 とにかく人が必要になる。

 単なる頭数ではなく、人材がだ。

 それを揃えるとなると、どうしても無理をしなければならなかった。

 新人を教育する為の人員などまだいない。

 それなりのレベルと、引率するに足るだけの人間性や知識がなくてはいけない。

 人を教えるというのはそう簡単な事ではない。

 だから、まずはという事でヒロタカが新人を率いている。

 しかし事態はそんな悠長な事を言ってられるほど甘くはないようだった。

 あれこれと必要なものが出て来る。

 物品なら金でどうにか出来るだろうが、人はそうはいかない。

 必要な技術を持ってる人間を揃えるのはかなり難しい。

 手荒な手段を使ってでもそれを確保せねばならなかった。



「というわけで、君達にも一緒に来てもらう」

 先んじて確保してたモンスター退治要員達を集めて宣言する。

「もちろん全員というわけではない。

 一人。

 たった一人で良い」

 言いながら横一列に並ぶ者達の前をゆっくりと歩いていく。

 集まった者達は、そんなヒロタカを怯えた目で見ていた。

 当たり前だろう。

 モンスターの出没する場所に連れていくというのだから。

 それも戦闘に参加させると。

 危険な作業は覚悟していたとはいえ、まさかモンスター退治などとは思っていなかった者達である。

 こんな事になるなんて思ってもいなかった。

 しかも、無理矢理連れていくという。

 怖がるなというのが無理であろう。

「とはいえ、こちらも無理強いはしたくない。

 一人。

 たった一人でいい。

 自分が行く、と言ってくれるならその方がありがたい」

 並んでる誰もが、他の誰かが立候補するよう願った。

「そうでないなら、こちらで選ぶ。

 その場合、選ばれた者に拒否権はない。

 君らはその為に集められたのだし、今更嫌だなんて言わせない」

 それでもどうにかして拒絶できないかと考えるのが人情である。

「もしも万が一拒絶したら、君らの村からの買い付け、ならびに販売にはかなりの制限がかかる事になる」

 外からの物資を行商人に委ねるしかない村にとって、これは死活問題になりえる。

 町に近いなら、村の者が出向くか、他の行商人が来るのを願えば良いが。

 しかし、多少なりとも離れた所に存在する村だとそうもいかない。

 そして、ヒロタカの家は、そういう所を相手にする事で財をなしている。

 距離が遠いという事はそれだけ危険が跳ね上がる。

 その危険にあえて飛び込む事で販売路を確保している。

 離れた村にとって、ヒロタカの家は生命線とも言えた。

「だからこそ、君らの自発的な協力を求めたい。

 他薦はいらない。

 自薦が欲しい。

 我こそはと思う者は立候補してもらいたい」

 とはいえ、それが強請であり脅迫である事は明らかだった。

 立場を利用した強要である。

「ここで自ら手を上げてくれれば、君らの村に多少は便宜を図る事もやぶさかではない」

 確実に便宜をはかるとは言っていない。

「さて、どうするか。

 出来れば君らが俺に協力するよう願いたいが」

 その言い方を聞いて、誰もが思った────鬼、悪魔と。

 しかし、逆らえる者などいるわけもない。

 彼等は考えていく。

 どうすれば良いのか。

 自分と村……いや、村はこのさいどうでも良かった。

 家族をどうするかである。

 ここで個人差が出た。



 村に良い思い出がある者は、それらを思い出して手を上げる気になった。

 そうでない場合は、当然冷めた気持ちになる。

 家族についても、良い思い出があれば手を上げる気になっていく。

 不当な扱いを受けていた者は、決してそんな気持ちにならなかった。

 あとは自分についてどう思うかである。

 大事な命を捨てるような真似をして良いかどうか。

 そこが悩みどころであった。

 そんな中で、一人が手を上げる。

「俺がやります!」

 がむしゃらになった大きな声が上がった。

 他の話もよろしく



 更新中はこちら。

「転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした」

http://ncode.syosetu.com/n9583dq/



 ちょっとお休み中はこちら。

「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」

http://ncode.syosetu.com/n7595dj/

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