29話 いずれ出てくると思っていた問題が早々に出てくる
「それなら、うちの孫を連れていってくれませんか」
話をしたら、御者はそんな風に言ってきた。
父に話すよりも先にある程度情報を掴んでおこうと、御者に馬やロバを引ける者はいないかと尋ねてみたらそうなった。
「孫もそれなりに馬やロバの扱い方は知っておりますので。
多少はお役に立てるかと」
「それはありがたい。
けど、大丈夫なのか?
町の外に出て、モンスターを相手にするのに」
「なに、お坊ちゃんがいてくれるなら問題はありません」
そう言って御者は笑顔になる。
「何せ、一緒にやってきていて、俺は全然怖い目にあってませんから」
どうもヒロタカに結構な信頼をよせてるようだ。
面はゆくなってしまう。
「まあ、まだ先の事だから。
まずは父さんに話をつけてみるよ」
「そうですな。
その方がよろしいでしょうな」
鷹揚に御者は頷いた。
家に戻ってからあらためて必要になりそうなものを考えていく。
今の段階で同行してる者達や機材などをもとにして、何が必須かを求めていく。
そうすると、様々なものが必要と分かってきた。
馬は無理でもロバ、それと馬車。
武器防具だけでなく、ロープなどの道具に食事。
馬車を操作する御者もそうだ。
食事は弁当にするにしても、それらを作る料理人も必要になる。
今後人が増えればそれらも大事になるだろう。
直接戦闘だけでなくそれを支える者達がどうしても必要になる。
「こりゃ、考え直さないと駄目だな」
いずれは戦闘だけでなく、それ以外の事に従事する者も必要になるとは考えていた。
村を取り戻す段階にればどうしたって必要になる。
取り戻したあとで、そこを拠点としていく場合、生活を支える者達がいなくてはどうしようもない。
廃屋になってるだろう家屋を修繕、あるいは取り壊して新たに立て直さねばならない場合もあろうだろう。
拠点とする場所を陣地として活用出来るよう、防備も作らねばならない。
やるべき事は多い。
だが、まだ先の事だと思っていた。
こんなにも早く必要になるとは考えてなかった。
それらの中からすぐに必要になりそうなものだけ抜き出していく。
移動手段は絶対に必要なので、馬車と牽引の動物(馬、ロバなど)、それらを扱う者は必須だ。
料理については、料理人が必要なので厨房の強化を求めるしかないかもしれない。
武器や防具の仕入れや手入れも考えていかねばならない。
鍛冶屋に頼むとしても、その費用を考えねばならない。
また、こういった様々な部署を統括して扱う本部や司令部も。
今はともかく、この先規模を拡大するなら必要になる。
事務員も確保しておかねばならない。
これらをまとめると、この先莫大な投資が必要になるのが分かってくる。
「というわけで考えました」
父との話し合いでヒロタカはまとめた考えを口にしていく。
「馬車と御者。
とりあえずはこれを絶対に確保しないといけません。
移動手段がなければ、今現在の展開範囲と速度を保てません」
これについては真っ先にどうにかせねばならない問題だった。
戦闘用の人員はかなりの早さで成長していく。
それらを移動させるための足も、同じように必要になっていく。
ただ、御者も馬も馬車も簡単には揃わない。
御者と馬にはそれなりに訓練も必要だ。
「人員の方は、将来的には多少の融通が利くかもしれません。
でも当面の問題として即戦力が必要です」
「しかし、簡単に人を集める事はできんぞ」
「そうですね。
それは分かってます。
今のところ、あてになるのは一人しかいませんし」
「ほう、いるのか」
「御者が自分の孫を推挙してきました。
どこまで出来るか分からないけど、今はそれにすがるしかないですね」
「では、すぐにでも来てもろう。
早いほうが良いだろう」
「まあ、今日明日で必要というわけでははないから、そのうちで大丈夫ですよ」
「それで、今言っていた『多少融通が利く』というのは?
何か、あてがあるのか?」
「まあ、御者だけの事ではありませんが」
それについて考えてる事を口にする。
「レベルアップを利用します」
明日も公開予定。
時間は何時にするか分からないが。
それと、こちらの話は週一回、土日あたりに投稿する形でいこうかと考えたり。
何が一番良いのか分からんですが。
それはそれとして、他の話もよろしく。
更新中はこちら。
「転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした」
http://ncode.syosetu.com/n9583dq/
ちょっとお休み中はこちら。
「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」
http://ncode.syosetu.com/n7595dj/




