表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します  作者: よぎそーと
その3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/75

22話 考えてますよ、もちろん考えてますよ、そういう事にしておいて

「こんなもんか」

 レベルが上がって何が変わるかを確かめていたが、大きな変化はない。

 ミサキが魔力付与をおぼえた事で戦闘の手間が減ったのは確かだ。

 そこにヒロタカ自身のレベルアップも関わってるもいるだろう。

 だが、劇的に改善されたかというとそうでもない。

 一回の戦闘にかかる時間は確かに減少したが、大きく変わったという程でもない。

 やはりレベルが一つ変わったくらいではそれほど顕著な違いを見ることは出来なかった。



 変わらないのは費用負担もである。

 ミサキが付与の魔術をおぼえた事で、金をかけないでも魔力による底上げは出来る。

 しかしまだ威力を期待できないだけに、魔力付与を求めねばならなかった。

 周囲からの注意を集めないためでもある。

 今の段階でも、少しずつ付与する魔力を低下させる事は出来る。

 だが、それをやったら「何かあったのか?」と思われかねない。

 それで何かが悪化する事はないかもしれないが、余計なものを引き寄せる事になるかもしれない。

 当分はいつも通りにやっていき、変な注目を集めないようにしていたかった。



 もちろん作業は続いていく。

 モンスターを集め、一気に叩く。

 付与と回復の支援を受けて、一日に数百体のモンスターを倒していく。

 手に入れる核と経験値は多い。

 何をするにせよ、次の一歩を踏み出す際の助けになるだろう。

 手に入れた資金はミサキへの支払いと、魔力付与に消えていくが、まだ問題は無い。

 父が用意してくれた準備資金がある。

 それよりも今は経験値の方が大事だった。

 どれほど資金があってもレベルが上がらなければ意味がない。

 高見に到達するには、金だけではどうしようもないのだ。



 その一方であまり変化が見られないのがアオイだった。

 探知の技術を手に入れ、観察眼は鋭くなっているが、それによって新しい発見があるわけではない。

 突発的な遭遇戦も起こっておらず、今のところは宝の持ち腐れのようになっている。

 アオイ自身、これで良いのかと思っていた。

 それを口にした事もある。

 だがヒロタカは意見を変える事はなかった。

「まずは探知の技術をあげてくれ」

 その一点で押し通す。

「今は何の効果もあげてないかもしれないけど、この先は分からない。

 その為にもレベルを上げないとどうしようもない」

 辛い時だろうが、ここで他の技術に走ってしまったら意味がなくなる。

「でも、今だったらクロスボウの技術を上げた方がいいんじゃ……」

「今だったらな」

 なおも言葉を続けるアオイを、ヒロタカは否定しなかった。

 彼女の言い分は最もなのだから。

「だけど、この先はどうなる。

 探知の技術を放置したままだったら。

 その間に、奇襲を受けるような事があったら。

 俺達は確実に全滅する」

 懸念しているのはそこだった。

「俺達は三人しかいない。

 御者も入れれば四人だが、戦闘が出来るのは三人だ。

 その中で接近戦が出来るのは俺だけしかいない。

 そんな状態で一気に距離を詰められて接近戦になったらどうなる」

 その問いかけにアオイは答えられなかった。

 言うまでもなく、結果は明白だ。

「だから、まずはアオイに探知の技術を上げてもらいたい。

 そうすれば、生き残る確率が高くなる。

 動き回ってるモンスターと遭遇する事なんて滅多にないかもしれないけど。

 でも、万が一そんなのが出てきたら、お前の技術が頼りになるんだ」

 起こるかどうかも分からない、しかし発生したら取り返しがつかなくなる。

 そんな事態への対処を怠るわけにはいかなかった。

「とりあえずレベル3までは上げてくれ。

 そこからはお前の好きにしていい」

「…………はい」

「それにな、敵の不意打ち対策ってだけじゃない。

 俺はその先も考えてる。

 だから、今はまず探知の技術を上げていってくれ」

「わかりました」

 納得してるというわけではなさそうだが、言い分も理解しているようだった。

 それで良かった。

 気持ちが受け入れるかどうかは難しい。

 人間、どうしても譲れないものはある。

 だから、頭で損得や先々の事を考え、それが妥当だと思ってくれれば良い。

 そうすれば当分は気持ちを抑え込む事も出来る。

 それに、違和感を感じたり、現状に疑問を抱く事を否定したくはなかった。

 それだけでは困るが、そう感じるという事も大事なのだ。

 頭で理解出来ても、辻褄があうように思えてもどうにも納得出来ない事はある。

 単に意地になってるだけという事もあるが、実は本当にやり方が間違ってるからそう感じてる時もある。

 人間の理性は辻褄があえば屁理屈でも受け入れてしまうが、気持ちはそうではない。

 明らかに何かがおかしいと思えば、理非すら無視して拒絶反応を示す。

 生存本能のなせる業かもしれない。

 大雑把に言ってしまえば、『損をする』という事を無意識に拒否しているのだろう。

 そういった野生の勘にあたるような事をヒロタカは否定してなかった。

 時に理性こそが一番の邪魔になる事もあるのだから。



 そして、「先々の事を」と言いはしたが。

 ヒロタカ自身もそこまで先の事を考えてるわけではない。

 アオイをおさえるために言いはしたが、本当にそれで良いのかは分からない。

 実際、アオイの言う通りにした方が良かったのでは、とも思う。

 それでも意見を変えずに現状の継続を呈示した。

 探知を上げていって何があるか分からないが、分からないからこそ試してみたかった。

 言い方は悪いが、アオイを使って実験をしてるとも言える。

 しかし、確かめてみない事には効果がどれほどあるかも分からない。

 これは賭けと言って良かった。



 しかし考えがないとはいえ、本当に何も考えてないわけでもない。

 探知の技術が想定通りの効果を持ってるという前提での話だが、やり方を考えてはいた。

 その為にも、何がどこまで出来るかを確かめて置かねばならなかった。

 レベル3まで上げる、というのはそれも含まれている。

 レベル1や2では明確な違いは分からないだろうが、3までくれば結構なものだという。

 そこまで行けば、全く何の技術も持ってなかった時とは違ったものが見えてくるかもしれなかった。

 それを確かめたかった。

 モンスターを追跡するために。

 19:00にも公開予定。



 そして、他の話もよろしく。



 更新中はこちら。

「転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした」

http://ncode.syosetu.com/n9583dq/



 ちょっとお休み中はこちら。

「クラガリのムコウ -当世退魔奇譚-」

http://ncode.syosetu.com/n7595dj/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。




活動支援はこちら↓

あらためて支援サイトであるファンティアの事でも
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/501269240.html
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ