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【完結】金持ちに転生したので親のすねをかじって冒険に挑戦します  作者: よぎそーと
その2

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15話 見たか、これが我が家の財力、金の力

 初手はいつもどおりクロスボウ。

 次々に矢が放たれ、吊された肉に群がる犬頭に突き刺さっていく。

 そこにヒロタカが突っ込み、モンスターを切り裂いていく。

 今日も魔力を込めてきたので、攻撃は簡単に当たっていく。

 しかし、そこで終わる事は無い。

 モンスターも数が多く、一気にヒロタカに襲いかかってくる。

 それらを盾で受け止め、剣で薙ぎ払い、立ち位置を変えて攻撃を避けていく。

 魔力強化された攻撃以外はどれもおぼつかないが、これまた金をかけて揃えた防具が攻撃をしのいでくれている。

 普通であればせいぜい金属片を結いつけた革上着くらいがせいぜいであるが、ヒロタカは鎖帷子を装着してる。

 腕や足も鉄を使った防具を装着している。

 その為、犬頭の攻撃が決定打になる事はまずなかった。

 しかし、重さ故に体力の消耗が激しい。

 いつも以上に戦闘が長引くのは確実なので、疲労の蓄積は避けられない。

「ミサキ!」

 切り込んで犬頭を何体か切り裂いたところで声をあげる。

「どんどん回復しろ、途切れさせるな!」

「は、はい!」

 言われてミサキは魔術を使っていく。



 回復の魔術は確かな効果をあげ、ヒロタカの体力を回復していく。

 一般的には傷を治すものと認識されるこの魔術だが、実際は少し違う。

 確かに傷なども治していくが、同時に疲労も解消していく。

 失った体力、持久力を回復させ、活動時間を延長させていく。

 ヒロタカが求めていたのはそこだった。

 怪我や傷の治療も大事だ。

 長引く戦闘でそれは避けられない。

 しかし、一番大変なのは疲労だ。

 体力が無ければどれほどの技術をもっていても動けなくなる。

 太刀筋も鈍り、回避は遅れ、周囲の注意も無くなっていく。

 頭の良さやとっさの機転、十分な力をもっていても、持久力が切れてしまっては発揮出来ない。

 それを補う手段が欲しかった。

 今回のように、大量のモンスターを相手にする事を念頭においてる場合は。

 当初からこれを考えていたヒロタカであるが、ここが懸念事項になっていた。

 だからこそ、ミサキの能力を知った時には、天に感謝をした程だった。

 そのミサキからの回復魔術の連射によって、体力はほぼ無限に維持出来る。

 消費される魔力は、これまで蓄えてきた核が提供してくれる。

 心配など何一つ無かった。



 迫るモンスターを斬り倒す。

 攻撃してくるモンスターを返り討ちにする。

 その繰り返しで次々にモンスターが倒れていく。

 首を切られたり、頭をかち割られてたり、肩から胸にかけて切り裂かれていたり。

 腕が切り捨てられたものもいた。

 魔力強化された剣は恐ろしい威力を発揮していく。

 モンスターが続々と核(魔力)の原材料へと変化していく。

 もうそれは戦闘と言えるようなものではなかった。

 一方的な殲滅である。

 少数による多数への。

 普通は逆になるはずのものが、ヒロタカの周りでは逆転している。

 全ては彼が費やしてきた準備と金のおかげであった。



(金、スゲエ!)

 迫るモンスターを倒しながらそう思った。

 目の前のモンスターを倒してるのは、金を使ってかけた魔術によるものだ。

 攻撃を受けても大した傷を負わないのは、金をかけて買った防具があるからだ。

 体力が減らないのは、金による影響力をもとにした家の力を用いてのものだった。

 クロスボウによる援護も、それを用いる人間も、金をもってる家があったからこそ確保出来た。

 直接間接問わず、全ては金の力による。

(金が全てじゃねえか!)

 自信を持って言える。

 実体験として呈示出来る。

 金が全てだと。

 金が無くてもどうにかなるだろうが、金があれば手っ取り早くここまで来れる。

 何十体というモンスターと渡りあい、互角以上に戦える。

 それは全て金が導いてくれた力によるものだった。

 あれば便利だとかそんなものではない。

 あれば強くなれる、強さを導いてきてくれる。

 それを実感している。

(世の中、金だ!)

 ヒロタカは確かにそう感じていた。



 暫くして犬頭の全てが倒れた。

 ヒロタカの周りはそれらが重なっている。

 時間にして二十分も経ってないだろう。

 それだけの間に、いつもなら一日をかけて達成する数のモンスターを倒していた。

 それでいてヒロタカに全く疲れはなかった。

 魔術による回復を途切れる事無く行っていたおかげである。

 傷も受けていたはずなのだが、それすらも魔術によって癒されている。

 効率を考えれば無駄の多い戦法だ。

 だが、それを達成するだけの核が既にあったので、全く問題は無い。

 核を売却して稼ぎを出してる他の多くの冒険者にはなかなか出来ない事である。

「で、どれくらい核を使った?」

「えっと、二十個は使ったと思う」

 その返答に驚く。

 全てを使い切ったかもしれないと思っていたからだ。

「じゃあ、まだ大分残ってるのか」

 これは予想外だった。

 もっと消耗してるかと思ったからだ。

 理由は簡単で、それほど戦闘が長引かなかったからだ。

 ほぼ一太刀でモンスターを倒してしまうから、戦闘が長引かない。

 その分負傷が減る。

 減れば回復にかける時間も魔力も少なくなる。

 消費が抑えられるのは当然だった。

「なるほど……」

 まだそこまで思い至らないが、残ってる結果をもとに考える。

 この調子でいけば、どこまで出来るかを。

 だが、それは今すぐ出来る事ではない。

「とりあえず、他の罠にも餌を吊していこう。

 今日はそれを回っていく」

 一晩餌を吊したこの場はそのまま放置する。

 一日の作業の締めくくりの時にもう一度来るつもりではあるが。

 それまでの半日でどれくらいやってくるか確かめてみたかった。

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