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出版社未投稿作品

おんなのこのおはなし

作者: 桃田 百

おんなのこのおはなし


【主な傾向】オリジナル

【厳重禁止】無断転載、無断転記、無断引用、無断使用

【おんなのこのおはなし】






あるおんなのこのおはなしです

おんなのこはあるいていました



なつのあついひのことです

ぷーるのかえりみちでした



おんなのこはしょうがくろくねんせいです

おんなのこはらいねんちゅうがくせいです



おんなのこはひとりであるいていました

おんなのこのともだちはおやすみでした



おんなのこはあるきながらすきなおとこのこのことをかんがえていました

おんなのこはきょうのぷーるですきなおとこのことあうことができました



おんなのこのかおはゆるみます

じてんしゃがとおりすぎました



おんなのこはあしたもすきなおとこのことあえるかなとかんがえます

おんなのこはあしたはすきなおとこのことはなしたいとかんがえます



おんなのこはいちにんまえにこいをしていました

おんなのこのうしろでききっというおとがします



おんなのこがおとのほうへしせんをむけるとさっきとおりすぎたじてんしゃがゆーたーんしているところでした

じてんしゃにのったがくせいふくのすこしこぶとりなおにいさんがおんなのこのとなりをとおりすぎていきます



おんなのこはあらためてすきなおとこのこのことをかんがえます

らいねんはおんなのこもおとこのこもちゅうがくせいになります



こどもではありません

おとなでもありません



でもあつめているれんあいまんがのひろいんのような

そんなこいができるのだとおんなのこはきたいします



おんなのこのあたまのなかはすきなおとこのこのことでいっぱいです

おんなのこはあるきながらすきなおとこのことのみらいをえがきます



だからおんなのこは

きづきませんでした



じてんしゃがもういちどしょうめんからあらわれたいみに

じてんしゃがわざわざもういちどひきかえしてきたいとに



おんなのこはせまいろじでぜんぽうからやってくるじてんしゃにきづきました

おんなのこはじてんしゃにみちをゆずるためじぶんのからだをかべへよせます



それはいっしゅんのできごとでした

じてんしゃとのすれちがいざまです



おんなのこはじてんしゃにのったおにいさんにむねをさわられました

じてんしゃにのったおにいさんはおんなのこのむねにてをあてました



おんなのこはおどろいてあしをとめました

おんなのこのあたまはぱにっくになります



ひとのいえのまえでそれはおきました

いちめーとるもあるけばげんかんです



しかしおんなのこはそのいえにたすけをもとめることをしませんでした

いまおこったことをどうせつめいすればいいかわからなかったからです



びっくりしたおんなのこはつぎにきょうふをおぼえました

とおりすぎたじてんしゃがまたもどってくるのではないか



おんなのこはうしろをふりかえることができません

ふりかえったさきにじてんしゃがいたらとおもうと



とおりすぎたとみせかけてじつはまたこちらへむかってきていたらとおもうと

おんなのこはたまらなくこわくなりとめていたあしをいそいでうごかしました



かどをみぎにまがればおんなのこのいえまであとすこしです

おんなのこははやあるきだったあしをかけあしにかえました



いちどもうしろをふりかえることなく

おんなのこはいえまでひたすらはしり



いえにつくとおんなのこはすぐにげんかんのかぎをしめました

ただいまもいわずおんなのこはくつをぬぎすてかばんをほうり



いちもくさんにふとんへもぐります

おんなのこはみみをふさぎめをとじ



いまおこったことをわすれようとしました

なにもなかったことにしたいとねがいます



でもだめでした

げんじつでした



ざんねんながら

げんじつでした



おんなのこはおかあさんにはなすかまよいました

おんなのこはおとうさんにはなすかまよいました



たくさんまよって

たくさんなやんで



おんなのこはおかあさんにはなしませんでした

おとうさんにもはなすことはできませんでした



おんなのこはおもいだすことがとてもいやでした

おんなのこはおおさわぎになることがいやでした



おんなのこはだれにもいいませんでした

おんなのこはだれにもいえませんでした



そのかわりに

おんなのこは



そのひのよる

ねがいました



かみさまにいっしょうけんめい

くりかえしおいのりをしました



むねがおおきくなりませんように

むねがおおきくなりませんように



りょうてをにぎりしめ

おいのりをしたのです






おんなのこはししゅんきをへてとしごろになりました

しょうじょだったおんなのこはじょせいになりました



おんなのこのがいけんはかわりました

おんなのこはうつくしくせいちょうし



あうひとびとすべてにきれいだとしょうさんされます

でもおんなのこはすなおにそのこえをよろこべません


おんなのこはちゅうもくされることがいやでした

おんなのこはじろじろみられることがいやでした

とくにおとこのひとにみられることがいやでした



おんなのこのがいけんはかわりましたが

おんなのこのないめんはそのままでした



おんなのこはおとこのひとをにがてとおもうようになっていました

おんなのこはあのひからおとこのひとをこわがるようになりました



おんなのこはみんなのようにおとこのひととつきあうことができませんでした

おんなのこはどんなにやさしくしてくれるおとこのひとでもさそいをことわり



こいびとをつくりませんでした

こいびとがつくれませんでした



おんなのこのきょうふは

ちくせきされていました



おんなのこのむねにふれたおにいさんにとっては

いっしゅんむねにさわったていどのささいなこと



ひとからみればおんなのこもまた

ただむねをさわられただけのこと



いっしゅんのできごと

またたくまのできごと



だけどそれは

おんなのこを

そのこころを



ひどくきずつけたのです

ふかくきずつけたのです



おんなのこは

いまもずっと



こいにおびえ

こいができず



あのひのあのばしょであのときから

ひとりぼっちでずっとないています



おんなのこはもうおにいさんのかおをわすれてしまっていました

おんなのこがおぼえているのはおにいさんのたいけいくらいです



おんなのこはときどきかんがえます

おにいさんはいまどうしているのか



はたらいているのか

こいをしているのか



けっこんをしているのか

かていをもっているのか



おんなのこはかんがえます

おにいさんのいまについて



おんなのこからこいをうばったおにいさんがしあわせになることをおんなのこはのぞみません

おんなのこからこいをうばったおにいさんがふしあわせになることをおんなのこはのぞみます



おんなのこはかおもわすれてしまったおにいさんをおもいだすたびに

おにいさんがふしあわせにひきずられることをかみさまへねがいます



おんなのこはおんなのこがくるしみかなしんだぶん

おにいさんもくるしみかなしまなければいやでした



おんなのこはおにいさんのふしあわせをのぞみます

かおをわすれてしまったおにいさんのふしあわせを



おんなのこはもうじゅうねんいじょうも

ずっとずっとたいせつにねがっています



おにいさんのふしあわせを

たいせつにねがっています



おにいさんはおんなのこのことをもうおぼえていないかもしれません

おにいさんはおんなのこのことをもうわすれてしまっているとしても



おんなのこはおぼえています

おんなのこはねがっています



おにいさんの

ふしあわせを



おにいさんのしらないところで

おんなのこはまっているのです



おにいさんの

ふしあわせを

まっています






とどきましたか

わたしのねがい






ぜったいに

ゆるさない






ゆるして

やらない

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