雪国の洞窟
私、choco♪の小説、『雪国の雪原』の続きです。雪原を読んでから、お読み下さい。
「アイネっ、アイネ!」
優香はそう叫び、洞窟の中を走ります。
「居ないの…?」
いつの間にか、洞窟の最深部まで来ていました。しかし、アイネは居ません。
「あっ、優香!!ここに居たのね!」
と、曖音が言います。
「あ、曖音!」
「…優香、何か探しているの?」
その質問に、優香はうなずきました。
「うん、アイネっていう名前の、ウサギなの。」
「そうなんだぁ…。」
「でも、今日は居ないみたい……。曖音、帰ろう!」
と言うと、優香はすぐ歩き出しました。あわてて、曖音が追いかけました。
(あのこと、言った方が良いのかな…?)
曖音は、雪原を歩きながら考えていました。自分はウサギだということ……それは、言ってはいけないことなのです。
(駄目、いくら親友でも駄目!)
そう自分に言い聞かせ、優香に付いていくのでした。
次の日、曖音は早起きをして、洞窟に入りました。そして、ウサギの姿になりました。歩いて行くと、洞窟の最深部まで来ました。
「アイネ、…来たのねぇ。あなたは、本当になりたいのぉ?」
「あなたは……ネネ?」
アイネの目の前に居るのは、赤いリボンをつけた青白いウサギ、名前はネネです。ネネの後ろには、魔法陣があります。
「ええ、あたしはネネよぉ。もう一度聞くわ、本当にいいのぉ??」
「う、うん。わたし、もう…きめたの。」
「ふ~ん…じゃあ後悔とか、しないのねぇ?」
ネネの答えに、アイネはうなずきました。それを見ると、ネネは右の方に寄りました。
「良いわよぉ。でも、この魔法陣にのると、前には戻れないわぁ。」
アイネは、魔法陣にのりました。魔法陣は、不思議な光で包まれています。
「さようなら…アイ…ネ。」
後ろを見ると、ネネが手を振っています。
「…音っ!曖音!!」
「わぁっ!!」
曖音が目を覚ました場所は、あの洞窟です。
「曖音、大丈夫…?ここで、倒れていたけれど。」
「あ、ごめんね。私も探そうと思ったら、めまいがしちゃって…。」
「じゃあ、帰ろう。…アイネは見付かってないけどね。」
あれから、しばらくして曖音が優香の家に遊びに行きました。
「あ、曖音~!遊びに来たの?」
「う、うん。…入っても、良い?」
「もちろん!」
優香のリビングには、ある動物が居ました。
「あ、そうそう。私、ウサギ飼い始めたんだ~!」
「可愛いね!名前は?」
「ネネ、だよ。赤いリボンが好きみたいなんだ。」
曖音は、あのことを思い出しました。曖音が人間になると決めた、洞窟の最深部のことを、です…。
「あのね優香…、アイネと私は、同じなの……」
※なんとなく解説(?)
魔法陣の効果で、曖音はウサギになれなく、つまり人間になった(曖音は、元はウサギです)。
優香の飼っているネネ(ウサギ)=魔法陣の前にいたネネ
普通は、同じ名前になりませんけどねぇ…(^-^:)