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【四百文字】終幕

作者: 那音

 彼女はゆっくりと立ち上がり、強い決心をその表情に託した。

 彼女の頭の中ではきっと壮大なストーリーが描かれていて、間違いなくその中心を進んでいる。

 そういった彼女の空想に出演できていること自体、なんだかむず痒く感じていた。たとえ友人A役だとしても。

 勇んで教室を後にした彼女。私は気を遣うふりをして、彼女を見送った。

 そっと覚悟を決める。

 彼女が打ち明けてくれたのは、何の変哲もない恋愛の相談だった。ただその片想いの相手が、私の現在の恋人だという点を除いて。

 親友という立場から、本当のことをいうのを躊躇ってしまった。

 この物語の結末は見えた。

 教室に戻ってきた彼女は、怒りと悲しみをその表情に漂わせていた。

 声にならない声は、やけに胸に響いた。

 その視線で私を貫いていく彼女。

 思いきり力を込めた右手で私の頬を叩くと、もうそれ以上何も言わず教室を出て行った。

 廊下から聞こえてくる足音の間隔は、歩くそれよりもずっと速かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 言うべきか、言わざるべきか。 言って欲しいですが、言えませんよね。 多分、告白するよりも勇気のいることだと思います。 何で言ってくれなかったのよ、なんてセリフも交わされたのでしょうか…………
[一言] 初めまして! 青春でいいですね~。 背景の心情がしっかりと描かれていて、登場人物の関係の複雑さが見れました。このあとがどうなるのか、と想像してしまいますね。 楽しく読めました!
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