表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/27

クロッカスを君に(清酒家)《君の名は? 別冊 シリーズ》

コチラはツイッターにて【#うちの子が嫁に花を贈る時】というタグで、ツイノベとして書かせていただいたものを元にまとめて編集いたしました

「クロッカス、花言葉♪」

 私はリビングに飾られた可愛いクロッカスの鉢植えを前にパソコンに向かって調べものをしていた。

『信頼、青春の喜び。黄色は「私を信じて」「切望」紫色は「愛したことを後悔する」』

 そして視線を動かし、愛する旦那様から貰ったクロッカスの花を見つめる。その色はどんなに見ても紫色だった。

 私はパソコンを前にフリーズする。

 結婚生活半年も待たずに夫婦の危機? これは!

コレが正秀さんでなければ別にここ迄動揺しない。正秀さんは几帳面で贈り物には人一倍気を遣う人。今迄イベント毎に貰った花束もコッソリ調べてみると素敵な花言葉の花ばかりだった。だから今回も喜々として調べたのだが……。私は天井を仰ぎ大きくため息をつく。この花を渡す時の様子もそう言えば少しおかしかった。困ったような、苦笑いしているような。私何かしたのだろうか?妻として至らなかった? 五ヶ月チョットの結婚生活を振り返ってみる。

 どんなに振り返ってみても楽しい思い出しかない。私が浮かれ過ぎて正秀さんが幻滅していっている様子に気がつかなかっただけ? 私はシオシオになりながら、美しく咲き誇るクロッカスの花をただ見つめるしか無かった。

「いい湯だった。わかばも、お風呂入ってきたら?」

 正秀さんの声に鈍く振り返る。正秀さんが私の顔を見て驚く。

「わかば? どうしたの!!」

 駆け寄ってきて私を気遣うように見つめてくる。

「正秀さ……ん、私何かした?」

 正秀さんはパソコン画面を見てハッとしたような顔をして慌てたように首を横に振る。

「違うんだ! 逆だよ! その意味」

 私の頭に別のサイトにあった紫のクロッカスの花言葉「愛の過ち」という言葉が過る。

「もしかして……浮気した?」

 それはそれでショックである。

「するか!

あのな、実はずっとわかばに言いたかった言葉があって」

 私は首を傾げ、正秀さんを見上げる。

「言いたいこと?」

 告白ですらスマートにしてきた正秀さんらしくなくモゾモゾしている。

「……実は君にずっと謝りたかったんだ」

 謝られるような事された覚えもないし、ずっとってどのくらい?

「何を、いつから?」

 私の前に跪いてこちらを見つめてくる正秀さん。

「五年前から……ハッキリ言うと、君と二回目に会った時」

 その時期はお世話になりまくりで、わたしが感謝する事はいっぱいあっても謝られるような言葉された記憶がない。

「何かあったけ?」

 そう言うと苦笑された。

「実は君に、ヒドイ八つ当たりしてしまったんだ。何も悪くないのに偉そうに君に説教垂れて」

 オカシイ、そんな覚えはない。いつも優しく相談に乗ってくれて的確なアドバイスくれた記憶しかない。そう答えると正秀さんはフフと笑う。

「君がそんな状態だから、謝ろうにも謝れなくなった」

 私の膝を正秀さんは優しく撫でる。

「実際に謝ったものの、感謝の言葉しか返ってこなくて、だから俺はずっとその事できみに疚しさをいだいていたんだ」

 私は正秀さんの言葉にウーンと悩む。

「ということは、私と結婚は償い?」

 正秀さんがブッと吹き出し顔を横に振る。

「多分それで君の事気になって、ドンドン惹かれていったんだと思う」

 正秀さんの大きな手が私の頬を撫でる。

「なぜそれで私に惹かれたか謎だけどそれで正秀さんとこうしていれるなら感謝したい」

「全く、わかばはそうやって俺の謝罪を尽く潰す」

 正秀さんは私を引き寄せ頬にキスしてくる。私もお返しに正秀さんの頬にキスをする。

「怒ってもいないけど許します。だからもう気にしないで。

 でもスゴク嬉しい。ドキドキするほど」

 正秀さんはキョトンとした顔を返してくる。 

「嬉しいって、何が? クロッカスの花が?」

 私はブンブン顔を横に振る。

「カワイイ所を見れたから。正秀さんの!」

 正秀さんはビックリしながら困ったような、不思議な表情をする。

「俺が……カワイイ?!」

 私は頷きニッコリ笑う。というか嬉しくてニヤニヤする。

「素敵でカッコイイ姿しか見せてくれない正秀さんが、こう言うカワイイ所見せてくれたから」

 正秀さんは私から少し離れ眉を寄せて何やら『ウーン』と悩んでいる。

「わかばから俺ってどう見えているの?」

 正秀さんは目を細めてコチラをジッと見つめてくる。

「最高に素敵でエロい旦那様?」

 そう言うと、ガックリしたように私に凭れかかってため息をつく。

「エロって何だよ! 普通だろ? 男としては」

 正秀さんは少しムクれた顔をしている。なんかそんな表情も可愛らしく見える。私は愛しさを感じてソファーから降りて正秀さんの横にいく。そしてそんな正秀さんを抱きしめてしまった。それが正秀さんのエロスイッチを押してしまうことになるとは思いもせずに……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ