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趣味と実益を兼ねて? (清酒家)《君の名は? 別冊 シリーズ》

 夜お風呂上がり、柔らかいパイル地ナイティー姿でリビングにてタオル地のヘアーキャップを被りタオルドライ中。良く冷えたアイスティー片手に雑誌をめくる。座り心地の抜群に良いソファーでのこの時間は最高のお寛ぎタイムである。

 親会社が発行している雑誌を勉強の為にと持ち帰り読んでいたのだが、気が付けばその内容に夢中になり単なる読者となっていた。夏に向けてのメイクの紹介記事を読み終わりページをめくると『夏こそ、愛されボディーになろう♪』という文字が飛び込んでくる。

 ダイエットはもう間に合わないにして、夏は露出が増えるだけに、肌ケアの仕方、紫外線対策などといった内容の記事なようだ。

 ほうほうと読んでいると『バストマッサージ』という項目が出てくる。リンパマッサージをしてケアするだけで、形も整い、触り心地も格段に良くなりマシュマロのようにホワンホワンになるとか書かれていると気になってくる。

 雑誌を参考に、左の胸を試しにやってみる事にする。リンパの流れに沿って脇か中央に向けて指で掻き出すように動かし、胸を下から揉み上げる。形が整ったかは良く分からないけれど、左右を触って比べてみらと、確かに柔らかさは左の方が増した気がする。

「何、怪しい事やっているのかと思ったら、そういう事か」

 両方の胸を自分でツンツンしていたら、背後からクスクスと笑いながらそう囁く声が聞こえる。正秀さんの登場に私は慌てる。いつの間にお風呂から上がってきていたようだ。いつから見られていたのだろうか? 恥ずかし過ぎる。

「お、お風呂上がっていたの!? あの、そう、お茶飲む? いれてこようか?」

 正秀さんは『ん~』と言いながら私の隣に座る。

「とりあえず、コレでいいや」

 テーブルの上に置かれていた私のコップを手に取りそれを飲む。喉が潤って一息ついたのか私の肩に手をまわし、反対の手で膝の上にあった雑誌をサッと自分のほうに寄せる。ひらいていたページに目をやり、フフっと笑う。女性雑誌というのは、こうして男性に見られるとなんか恥ずかしいものである。しかも内容がバストマッサージだけに。正秀さんはそのページを真面目な顔でシゲシゲ読んでいる。

「こういう事、わかばは自分でやらなくても……俺がしてあげるのに」

 ニッコリと笑い、とんでもない事を言ってくる。正秀さんは一見、優しげで紳士っぽく見える表情で、こういう事をサラリと言ってくるところがある。その表情がなんとも曲者なのだ。

 『なんかその言葉、やらしい意味に聞こえる』とか指摘すると、平然と『そういう意味で言っているからね』と返してニヤリと笑いかけてきて、いきなりフェロモン全開で迫ってくる。

 

 別に夫婦だしそういう事が嫌な訳ではないけれど、正秀さんのエロスイッチはいきなり入るのでそれについて行けず、ワタワタしてしまう事が多いのだ。

「いや、大丈夫だよ! こんな事で正秀さんの手を煩わせるなんて申し訳ないし」

 笑顔を作り、空になったコップに手を伸ばし、お代わりを入れてくる為にそっと離れようとするけれど背後からそのまま抱きしめられソファーに連れ戻されてしまう。

「遠慮することはないよ。俺も趣味と実益を兼ねての事だから」

 耳元に息を吹きかけるように言われ、その刺激で身体が震える。

「シュミトジツエキ……?」

 雑誌が床にすべり落ちる音がする。目の端で落ちてなお例のバストマッサージのページが開かれているのが見えた。

「そうしたら、二人で楽しめるだろ?」

 その間、正秀さんの男らしい手が私の胸に撫でていき、ゆっくりと揉まれていく。さらに首筋をついばむようにキスをされていくと、私の身体に痺れに似た感覚が走る。これがバストマッサージといえるのかは不明だが、いつもより念入りに胸を揉まれている事と、それ以外の場所に与えられる刺激に身体が熱くなり力が抜けていくのを感じた。

 ボンヤリとしていく思考が、先程の正秀さんの言葉を『趣味と実益』とようやく漢字変換する。そしてその意味する事をコレ以上なくハッキリと理解させられている私がいた。

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