西の空をごらん(太陽家)《近距離恋愛シリーズ》
降ったり、止んだりと不安定な天気の一日だったけど、私の仕事自体はいたって順調。平和に定時に上がれる事になった。さっきまで会社の窓を叩いていた雨も今はなく、スッカリ晴れている。
会社のエレベーターの中で文字を打ち、玄関の所で旦那様にカエルコールを送信。もし二人とも早く帰れそうな時は待ち合わせをして外で食べていくことなっているから。
すぐに私の携帯が震えた。
『こっちも大丈夫そう。あと少しで出れる! じゃあ、いつもの本屋で待ち合わせね』
そういう返事が渚くんから返ってきた。私はいつものように駅に向かい電車に乗ったタイミングで、再び携帯が震える。
『西の空見て!! 虹が出ているよ! ソチラから見えるかな?』
渚くんのメールで、私は電車の窓から外を見ると、確かに虹の端っこが空に向かって伸びていた。ホームに電車が到着したタイミングで写真をとる。
『見えるよ! 虹の欠片で、全体はチョット見えないけれど、こんな感じで尻尾だけ見えてます』
送信したら、すぐにまた携帯は着信を教える。
『こっちで見えてるのも尻尾だけだけど、こんな感じ』
ビルとともに、虹の一部が見えている写メが送られてきた。それを見て、ニヤニヤしていたら、再び携帯がブルブルする。
『あ、反対側見つけた! こんな所にあったよ』
別の角度にある虹の端の写真がついてきた。私は暮れていく夕焼けが虹をさらに別の色に染め上げていく写真を撮り返信する。
『見て見て! 夕暮れてきて、こっちはまた良い感じに!』
『こっちも、同じくらい良い感じに!』
二人の映し出す風景がだんだん近付いていく。駅について、ホームに降りて、改札出てサンデッキへと向かう。そこでだんだん薄れていく虹と濃さを増していく夕焼けの景色を撮影する。なかなか良い感じに撮れた。
そして歩きだそうとすると、前に見慣れた大きな身体の人物が携帯で写真を撮影しているのが見える。私は今撮った写真を直接見せるためにその空をみている大きな人の所へと走っていった。
今日、虹綺麗でしたね!
それを見て思いついた短編です。