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魔物転生——最弱ですが魔物生成で効率的に生き延びます  作者: 小麦
転生

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3/15

3 気配

目が覚めた瞬間、まず喉の渇きが来た。

次に腹。最後に、空気の重さ。


……昨日より湿ってる。


森は同じに見えるのに、皮膚の上に薄い膜が貼り付く感覚がある。嫌な濡れ方だ。雨じゃない。


立ち上がる。身体が軽いとは言えない。

それでも、昨日より“動ける”。理由は分かっている。


俺は鑑定眼を開いた。


自分

HP 10/10

攻 1 防 1 敏 2


魔物生成クリエイト Lv2

創生容量(C) 6/6


魔物複写リライト Lv1

複写枠:1/1


鑑定眼アプレイズ Lv1

帯域(B) 余裕:低


数字が出るだけで、判断が速くなる。

体感じゃ誤魔化せるが、数字は誤魔化せない。


昨日の狩りでクリエイトが上がった。

創生容量が増えた。――つまり、できることが増える。


でも、本体は弱いまま。

結局、俺が強くなるんじゃない。使う手が増えるだけだ。


まず水。


沢へ向かう途中、地面の違和感に気づいた。

落ち葉の上に、細い線。何本か。規則的に。


蔓? 違う。繊維がほどけた跡だ。

縄……に見える。


俺は立ち止まり、指先で拾い上げる。

乾いていて、少しだけ油の匂いがする。


……動物じゃない。


森に“誰か”がいる可能性。

可能性だけで十分だ。俺は不要なリスクを増やしたくない。


人間がいるなら、なおさらだ。

個体としてどうこうじゃない。集団がある。集団の強さは、俺の今の弱さと噛み合わない。


だから――今は、目立たない。

狩りも静かに、短く、確実に。


沢に着き、口をつけた。

冷たい。生き返る感覚がある。


水を飲みながら、鑑定眼。


対象:流水

飲用可(中)

危険度:低 誤差:低


よし。


俺は水場を離れる。長居はしない。

匂いと足跡は残る。残せば寄る。


狩りは、単独の小魔だけ。


創生容量(C)を意識する。

出し過ぎれば帯域が詰まる。詰まれば判断が鈍る。鈍れば死ぬ。


俺は影から、牙狐を一体だけ作った。

小さい。鋭い。だが重くない。


――周囲。匂い。戻れ。


牙狐が走る。

繋がっている感覚が頭の後ろに貼り付く。これが帯域の負荷か。


数十秒で戻ってきた。


近い。単独。弱い。


俺は獲物の位置へ回り込み、倒木の影に伏せた。

見えたのは、背中が低い四足。牙は短い。


対象:岩鼠狼(小魔)

HP 6/6

攻 3 防 1 敏 5

危険度:低 誤差:低


敏捷5。

俺より速い。正面から追えば逃げられる。


だから、追わない。


牙狐に意図。


――右。回れ。


俺は左から石を投げた。

大きな音はいらない。視線をずらすだけ。


岩鼠狼が反射で左を向く。

その瞬間、右から牙狐が体当たりした。


倒れる。

起き上がろうとする。そこへ俺が短い槍を“置く”。


刺さった。浅いが十分。

岩鼠狼の動きが止まり、痙攣して終わった。


《討伐:経験値 +2》

魔物生成クリエイト 熟練 +2》

鑑定眼アプレイズ 熟練 +1》


小さい。だが、積むしかない。


俺は死体を引きずって草の陰へ移し、匂いを散らすために土を被せた。

食べる分だけ切り取り、残りは置かない。置けば呼ぶ。


歩きながら、森の“圧”をまた感じた。


さっきより、少しだけ湿っている。

霧が出ているわけじゃないのに、空気が皮膚を撫でる。


嫌な気配。


俺は目線を上げた。

木々の向こう、遠くの方が白っぽい。境目みたいに。


……近づく必要はない。


今は弱い。

弱さ=死。

強くなるには効率。効率には安全。安全には循環。


循環を回す。


狩る。休む。戻す。

それだけだ。


俺は次の獲物を探しながら、さっき拾った縄の繊維を指で擦った。




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