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機械少女の涙は蒼穹に還る ~メガリマギアの灯火  作者: しきもとえいき
第11章 星が堕ちる日

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第11章 星が堕ちる日Ⅲ ~ 赤の災厄、銀の祈り

「急ぎます。赤い光の中心へ。根本的解決手段をとります」


「え?」


「発生源を止めなければ、この町の一帯の生命が尽きます」


 迷いのないルミナリスの瞳とは裏腹に、ルルリアは一瞬、迷った。


 怖い。

 間違いなく、あれは死だ。死をもたらすものだ。


~本文より

 赤い光が空に咲いた瞬間、森の鳥たちが一斉に飛び立った。


 遅れて——胸の奥に、鈍い痛みが走る。

 ルルリアが顔をしかめた。


「……っ、何これ。胸が……ざわざわして力が抜ける気がする」


 あたりの景色が一瞬歪み、昆虫が次々と息絶え、

 ルミナリスの視界に、警告表示が幾重にも重なる。


 魂座反応、異常振動。

 生命波形、強制干渉を確認。

 範囲推定——半径二十里以上。町一つは飲み込む大きさだ。


 これは単なる殲滅兵器ではない。

 魂を削る兵器。

 該当する兵器を、警戒中の魔導機兵から検索した。


(該当一件。皇帝命により破棄指令の記録確認)


 それでも稼働している。


「ねえ、ルミィ。あれってヤバイ感じしかしないんだけど……どう?」


 問いが終わる前に、対抗策の演算は完了していた。


「防御結界を展開」


 ルミナリスが杖を掲げると、銀の光がルルリアを包む。

 エーテルを直放出し、防御膜を張ったのだ。


 ルミナリスの体内では、警告が重ねて鳴り響いていた。

 内部温度上昇、抑止機能低下。

 急激なエーテル放出により、機動部分に負荷拡大。


 ルミナリスの膝がわずかに沈む。

 ——制御限界、警告。


「ちょ、ちょっと。大丈夫なの?」


「問題ありません。私は魔法使いです……任せてください」


 そう回答しながら、放出による影響を再度演算していた。


 通常戦闘継続を想定した場合、推定活動時間:七十二刻。以降は行動不能。

 戦闘行為の回避行動優先、個体名オルクスと合流後即時離脱を推奨。


 ルミナリスは空を見上げる。

 赤い光は、咲き誇る死だ。


「ルルリアさん」


「なに?」


「干渉殺戮兵器と推定。歌に似た振動があります。聞かないでください」


「……聞くなって言われてもさ」


 ルルリアは苦笑した。


「もう聞こえてるよ」


 かすかな旋律にのった、悲鳴とも祈りともつかない声。


 人も獣人も関係なく、白眼をむき、笑みを貼りつけたまま倒れていく。 

 生命が、歌に削がれて奪われているのだ。


 警告。生命存続について赤の領域。

 監視機能が高らかに声を上げる。


 ……守れないのだろうか?


 どこからともなく沸き起こる声がある。


 違う。守るんだ。

 私はルミナリス。守るために存在しているのだから。


 ルミナリスは赤い光の花を咲かせている根本を真っすぐに見据えていた。


「急ぎます。赤い光の中心へ。根本的解決手段をとります」


「え?」


「発生源を止めなければ、この町の一帯の生命が尽きます」


 迷いのないルミナリスの瞳とは裏腹に、ルルリアは一瞬、迷った。


 怖い。

 間違いなく、あれは死だ。死をもたらすものだ。

 けれど——あたしはもう、あのころのあたしじゃあない。


 震える手で拳を握ると、銀の籠手“テンフラウ”が微かに脈打ち、小さな雷が走る。


「……行こう」


 ルルリアの声は震えていたが、ためらいはなかった。


「ルミィが守るなら、あたしも守る」


 ルミナリスは感知できなかった。

 小さな星の徴が自分の胸に瞬いているのを。

 星降る指先の印『ヴァリエル・ノータ』が、大いなる運命への奔流に全てを導いていく。


 赤の災厄が滅びを望み、空を染め上げ、銀の祈りが救いを求めて、真っすぐに地を駆ける。


次回、オルクスの魔剣がリミナ・マキナアリアと激突します。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

丁寧に書いていきます。

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