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機械少女の涙は蒼穹に還る ~メガリマギアの灯火  作者: しきもとえいき
第1章 

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魔導機兵ルミナリスⅢ ~大帝都新聞 クレデンシャル・タイムズ

帝国の必然—―。

大帝都新聞の建国記念日の記事。帝国と皇帝の思想が帝国内に根付いている理由が、垣間見える。


一部改訂しました。

大帝都は、街路の隅々まで祝祭の熱に包まれていた。

色鮮やかな旗が翻り、紙吹雪が舞い、人々の笑顔と歓声が交錯する。


本日は人間解放宣言の日。

クレデンティウム帝国の建国記念日である。


お嬢様にお仕えする私に、油断という概念は存在しない。

体内に備える希少な魔導核を用いた迎撃・防御機構は常時臨戦状態にあり、即応可能だ。

祝祭の高揚に紛れ、何者かが愚行に及ぶ可能性を排除できない以上、警戒を緩める理由はなかった。


街角で配られていた大帝都新聞の号外を一部、受け取る。

お嬢様は、この種の記事に強い関心を示される。

要望される可能性は高い。

内容を確認し、不適切な要素がないか判読することも、護衛の務めだ。


特別企画記事

『建国の日に寄せて』

帝国の威信たる皇帝レヴィ・ハジェル陛下の栄光と帝国の軌跡

記者:セリウス・フォレント


『この世のすべては、己の意志によって定まる。己の手と足を動かし、前へ進むことで、ようやく己の領分を得ることができる』

 

皇帝レヴィ・ハジェル陛下の言葉だ。

帝国に生きる者なら、誰もが一度は耳にしている。


『我ら人間種は、幾世代にもわたり他種族の支配と蔑みに耐えてきた。だが、その長き沈黙の時代は終わった』


人間種アリシノーズ。誇りと意志を掲げ、力を掴み取った存在と帝国で定義。


『神々や精霊にすがる時代は終わった。魔導科学と魔導機械こそが、我らが切り拓いた光明の剣である』


活字を追う指先が、わずかに止まる。


『壊された魔導機兵は、修理が可能だ。だが、彼らは我々のために戦う戦士であることを、どうか忘れないでほしい』


――戦士。


その一言が、思考領域に微細なノイズを生じさせた。

私は戦うために造られた存在だ。

破壊されれば修復され、再び戦場へ戻る。それは事実であり、魔導機兵の定義でもある。


だが、同時に記録領域には—— 魔導機兵である私のことを常に心配し、喜びを分かち合おうとするお嬢様との日々が蓄積されている。

戦場での戦闘は想定していない。


『神聖王国連合との戦争は、百年に迫る長きにわたり続いている。だが我らは、必ず勝利する』


記事は、そう結ばれていた。


私は号外を折り畳み、内容を記憶領域に保存すると、紙面そのものは処分した。

理由は明確だ。

この記事は、お嬢様の心を曇らせる可能性がある。


帝国の思想。

魔導機兵の戦士としての役割。

修理可能な存在として消費される覚悟。


それらを、今のお嬢様に向ける必要はない。

護衛対象の精神的安寧を守る。

お嬢様のお心を悩ませ、その笑顔を曇らせるものなど必要ではない。

合理的判断により、不要と判断した。


あの頃の私は—— それが最善だと判断していた。



次回は、ルミナリスの宝石の様な、大切な日常と忍び寄る陰を描きます。

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