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封縁乙女と学園の呪いたち  作者: コハレルギー
第二章 封縁乙女

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外伝 となりの佐々木さん

 チャイムが鳴っても、ボクの視線はノートの横──

 隣の席でペンを走らせる、佐々木葵の横顔に向いてた。


 彼女は今日も静かに、まっすぐ授業を受けてる。

 無駄な動きはひとつもない。表情だってほとんど変わらない。

 けどボクにはわかるんだ、今、彼女の心はきっとどこか遠くにある。


 たとえば、夜の校舎。

 たとえば、誰もいない教室。

 そんな、普通じゃない場所のことを、佐々木葵はいつも考えてる気がする。


 ……だって、この前、見ちゃったんだよ。

 放課後、誰もいない図書館の窓際で、ひとり何かを見つめてる彼女を。

 声をかけようと思って足を止めたけど──できなかった。

 空気が違った。

 そこにいたのは、ボクの知ってるクラスメイトの佐々木葵じゃなくて──

 もっと、強くて、孤独で、凛とした、誰かだった。


 ねえ葵、キミって本当は、どこで、何してるの?


 ……なんて。聞けるわけないよね、そんなの。


 だけど、だからこそ──ボクは、

 こうやって“隣にいる”ことに、こだわりたくなるんだ。


 授業中、わざと小声で話しかけるのも。

 廊下で不意打ちのハグを仕掛けるのも。

 朝、後ろから抱きついて驚かせるのも。


 全部、ボクなりのちょっかい。

 いつか、キミの秘密に少しでも近づけたらって思って。


 ……あ、いま眉をひそめた。ボクの声、聞こえたかな?


 でも、すぐにペンが止まって、彼女がこちらをちらりと見た。


 「……涼子、静かにして」


 うん、それでいいんだ。

 その一言で、今日もいつもの関係が続いてるって思えるから。


 それだけで、十分。

 ボクはきっと、今日も機嫌よく過ごせる。



 放課後、昇降口にて


 教室を出ていこうとする彼女の背中に、思わず声をかけた。


「ねえ葵、今日はさ──一緒に、寄り道しない?」


 一瞬、彼女が振り返る。

 その顔に、いつもの無表情じゃなくて、ほんの少し、柔らかな笑みが浮かんだ気がして。


(……うん、それだけでいい)


 今日も、隣にいられることに、ボクは小さくガッツポーズを決めた。



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