第零話 執行代理人
♦エピローグ
私の戦ってきた中で最強の二人がいた。その二人は、どちらも人間であり、神と対等に戦える存在であった。私は、あそこまでの恐怖を覚えたことがない。一人は、仲間のために命を燃やし、すべてを懸けてでも倒す意思を持ち鋼の心を持つ最凶の人間。そして、もう一人は、無機質にただ神を殺すために自分の闘争本能のもとに動く最恐の人間だ。
♦執行代理人
今日も朝に目が覚めると、太陽の心地よい光が窓から差される。執行代理人の朝は早い。神の祭壇に手を
合わせ、「Γραcε οφ Γοδ(神の恵みを与えん)」と唱え、仕事に行く。彼らの仕事は、神の勅諭を受け、人間を抹殺することだ。
時は、神世紀567年。神によって作られた聖神帝国と人間によって作られたベルーナ国との国境紛争の真っ只中であった。執行代理人はそんな人間を倒すために養成された、いわば、生物兵器であった。そんなベルーナ国に一人の執行代理人がいた、名を”成宮海斗”という。
~神世紀567年 ベルーナ国上空 13000Ft~
「高度13000ft。天気良好。敵のレーダー感知なし。いつでも大丈夫です」
電子音とともに流れる音が海斗の脳を刺激する。
「いいか成宮。お前の果たすべき使命は、敵国軍の内部に侵入して破壊することだ。まぁ、お前は”ほぼ”
人間みたいなものだ。心を痛めるなんて言って殺さないなど天帝に背くことになるからな」
「…あぁ。俺だって執行代理人だ。そんなことはしない」
「そうだといいがな。最近は変な気を起こす奴らが多いんだ。お前らの代わりなどいくらでもいるからな。まぁ、いい。行ってこい。”執行代理人”。お前の使命を果たせ」
上空船から身を乗り出し、風にあおられるがままに海斗は空を飛んだ。空の上は青く輝いていた。海斗は、もう一つの別の思惑を考えていた。
~人間の学校~
ガサガサッ
(木に引っかかったが、無事着陸できたか…あいつらの言っていた帝都ベルネクスは、ここから北西の方角。距離的には10㎞といったところか)
「あれ、なんでこんなところに人がいんだ?ここら辺は辺境地域なのに」
海斗の後ろには海斗ほどの青年が立っていた。
(殺すか?いや、あまり手を汚しすぎると試験の際にばれる…ここはやりすごすか)
「俺は、帝都に向かう途中なんだ。お前は?」
「おぉ!俺と一緒か!俺も帝都に向かう途中なんだ。士官学校での入学試験を受けるためには帝都に行かなくちゃならないんだよな~」
(士官学校だと…目的地が一緒なら好都合だ)
「俺も士官学校で帝都に向かう途中なんだ。あまり、ここら辺の地理には詳しくないから、案内してくれないか?」
「もちろん!同志というなら大歓迎だぜ!とことで、名前をまだ紹介してなかったよな。俺は本堂要。グルーニャ地方の出身だ」
「俺は、成宮海斗。ディード地方出身だ」
「ディードか~大変なところからきてるんだな」
「そうだな。ディードは紛争が耐えないからな。俺も神に家族を殺されてその復讐のために、士官学校に入学しようと決めたっていうのが一つの理由でもある」
「すげーな海斗は。俺なんか職がなくて母ちゃんに、お国のために働けなんて言われて来たからよカイトに比べると全然だぜ」
(こいつはろくでもない奴だな)
「そろそろ行かないと日が暮れそうだ。案内を頼む」
「了解!」
要は少し敬礼のような仕草をし、海斗を連れて足早に帝都へと向かった。
第零話 執行代理人
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