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聖女の代理人  作者: 春香秋灯
山のエリカ
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山賊

 山のほうは、先祖が罪人の者が全てだ。それでも、つつましく生きようとしている村人がほとんどだ。


 だけど、少し不作となると、悪さをしてしまう村人がいる。


 よその村で不作や流行り病が起こり、大変なことになっていた。アタシが面倒になっている村は、その中で、恵みがあり、病気もよけていった。

 それを面白く思わない村人たちが、徒党をくんで、村を襲ってきた。

「あるだけ全部よこせ!!」

 運が悪いことに、あのがたいのいい村長は、不意打ちで、命を落とすこととなった。

 力のある者が次々と命を落とし、残るのは、非力な女子供ばかりだった。

 村の真ん中に集められ、お互いに身を寄せ合って震えるしかなかった。


 アタシには、妖精の加護がある。だけど、それを使って人を攻撃することは、母ちゃんからきつく戒められていた。

 リクが、どうにかしようと出ていこうとするので、皆で止めた。

「リク、ダメだよ」

「父ちゃんが殺されて、黙ってみてられねぇよ!」

「リクになにかあったら、アタシ、どうしたらいんだよ。アタシ一人ぼっちになっちまうよ!!」

 泣いて縋ると、リクは耐えてくれた。


 昔の罪人の血でも騒ぎ出したのだろう、女子供を物色し出した。

 アタシ以外は、皆、親がいて、親がかばってくれた。アタシだけは、かばう大人がいなかった。

「おめぇ、一人か。可哀想になぁ。俺たちが面倒みてやるよ」

 抵抗すれば、痛い目にあう。大人しく、従うことにした。


「俺も連れていけ!!」

 助かるはずだったリクが、アタシと男たちの間に立った。

「エリィは、女だけど、なんにも出来ねぇ。皿は割る、料理は焦がす、洗濯だって全部ダメにする。なんにも出来ねぇから、俺がやってやる!!」

「そりゃぁいい。じゃあ、おめぇは下僕だ」

 そうして、アタシとリクは村から連れ攫われた。




 男たちは、略奪が楽しかったようで、山賊となり、あちこちの村から略奪した。だけど、あまり問題となると、役人が来てしまうので、殺しはしない、女子供にも手を出さないようにしていた。




 山賊の住処は、山奥の洞穴だった。そこに戦利品を持ちより、出来るやつに料理や洗濯をさせていた。

 アタシは何も出来なかった。試しにさせたところ、本当に何も出来ないことがわかり、アタシの役割はかわった。




 夜になると、男数人がアタシを閉じ込めて、押し倒してきた。最初は痛かったが、すぐに馴れた。

 毎日、毎晩、男たちはアタシを押し倒し、好き放題して、山の麓で略奪をした。




 ある日、リクが男たちに連れられてきた。アタシの扱いは、酷いもので、服一枚着るのも許されなかった。

 素っ裸のアタシの前に、男前になったリクが連れてこられた。炊事洗濯だけでなく、行商人のようなこともさせられ、そこら辺の男たちよりも、体はしっかりしていた。

「ほら、お前も仲間に入れよ」

 男たちが無理矢理、アタシの上にリクを押した。

「ごめん、俺、たたねぇんだ」

 泣き笑いで、詫びるリク。

『リクったら、自分で去勢しちゃったの』

『すっごく痛そうだったから、治してあげたんだよ』

「何、それ」

 妖精が言っている意味がわからない。

『リクは、エリィのこと、無理矢理するなんてやりたくないからって、出来ないようにしちゃったの』

「リク、アタシとは出来ない?」

『誰とも出来ないの』

「エリィ、ごめん!」

 リクは男たちの隙をついて、逃げていった。




 それからしばらく、リクは男たちに腰抜けと言われた。

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