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愛しの妖精憑き
帝国には、二つの妖精憑きの言い伝えがある。
一つはもちろん、聖女エリカ様。
もう一つは、聖女エリカ様の母のマリィ様
二人の妖精憑きには、大きな違いがある。
エリカ様には、妖精の姿を見て、声を聞くことが出来た。
マリィ様には、声を聞くだけだった。
声を聞くだけのマリィ様は、妖精の姿が見えないので、話しかけても返事がないことがあった。
でも、それは妖精の悪戯。
妖精が見えるだけの妖精憑きが見たという。
マリィ様が見えなくなるほど、光り輝く妖精に囲まれている光景を。
マリィ様は、妖精に愛される妖精憑きだった。