最後の海のエリカ様のその後
人間と妖精の間に生まれた海のエリカ様は、人間の手によって、海の聖域に閉じ込められてしまいました。
毎日毎日、聖域から出られなくて泣いている海のエリカ様を救ったのは、王子様でした。
そうして、海のエリカ様は自由になりました。
自由になった海のエリカ様は王子様と結婚しました。
海のエリカ様は男でも女でもないので、子どもができません。
神様は、妖精の血を人間に残すことを許しませんでした。
王子様は、海のエリカ様のことを愛していたので、養子を二人、とりました。
ですが、海のエリカ様に子育てはさせません。
海のエリカ様は妖精の血があるので、人としての善悪がよくわかりませんでした。
よく悪戯をし、悪戯がすぎると、迷惑を被った人たちに、王子様が謝りました。
だから、王子様は絶対に海のエリカ様に子育てをさせませんでした。
海のエリカ様は妖精の血をひいているからか、老いませんでした。
あまりに若々しく美しいので、老いていく王子様は心配で仕方がありません。
でも、海のエリカ様は、おじいちゃんになっても、王子様に夢中でした。
王子様が亡くなると、海のエリカ様を縛るものはなくなってしまいました。
養子の子どもたちが引き止めましたが、海のエリカ様は前触れもなく、消えてしまいました。
海のエリカ様が閉じ込められていた聖域には、時々、食べるに困った人が住み着いたりしているそうです。
そこでは、魚がぴょん、と海から陸地に飛び出してくることがよく見られるそうです。




