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最後の中央都市のエリカ様のその後
中央都市のエリカ様に昔助けた貧民が貴族となって求婚する、という話は、戯曲になり、本になり、と王国だけでなく、帝国へと広がっていた。
帝国と王国の騎士の目の前での求婚劇に感動し、国王も、二人を祝福した。
エリカ様は、それから夫に溺愛され、呼ばなくても、世話をされるほどだった。
外に出ることが出来なかったエリカ様を夫自らが抱きかかえ、よく、領地の視察に回る姿が見られた。
子どもが出来ない、と言われていたが、妖精の祝福から、二人の子どもに恵まれた。
あまりの父から母への愛が重いことから、子どもたちは、辟易していたという。
両足のないエリカ様は、妖精憑きであることから、度々、王国各地の聖域に訪れることがあった。
その献身は、老いて病身となるまで続き、夫はエリカ様の傍を片時も離れなかったという。
最後の中央都市のエリカ様の血筋は、時々、世界が灰色に見える子どもが生まれた。
それは、妖精の悪戯だろう、と尊ばれた。