表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女の代理人  作者: 春香秋灯
王都のエリカ
18/67

私が王都のエリカ様に選ばれました

 王都の孤児院はそこそこの孤児がいる。王都は人の出入りも激しいし、商売の競争も激しい。なので、落ちぶれて子どもを孤児院に、なんていうことはよくある話である。

 そんな孤児院に私がいる理由は、なんと、エリカ様にするためである。

 ある豪商が、エリカ様の血縁になるのは名誉なことじゃないか、なんて言って、子どもをぽんぽん作っては、孤児院にいれていた。もちろん、いっぱいお金も寄付した。

 選定の年ではなかったら、孤児だった我が子を引き取っているが、寄付したお金は取り上げたりしなかった。


 そうして、六人目の私がエリカ様に選ばれた。


 これ、お金でエリカ様にしたんじゃないか、なんて言われるけど、とんでもない話である。エリカ様って、そういうのじゃない。


 王都のエリカ様は、代々、短命だった。


 私を次代のエリカ様に、て選んでくれたエリカ様は、とても若くに亡くなった。それだけ、エリカ様の世代交代は激しかった。

 孤児院に子どもが残るのはなかなかない。赤ん坊でも、跡取りがいなかったり、跡取りの将来の相手に、とか、体のいい使いに、なんて理由で、すぐに引き取られた。

 そのため、赤ん坊がなかなかいなかった。

 とってもいい話に聞こえるけど、孤児院から引き取られる子たちの未来って、そんなにいいものではない。

 

 そういうわけで、赤ん坊が私しかいなかったので、仕方なく、私がエリカ様に選ばれた。崇高なものなんてあったものじゃない。


 エリカ様に選ばれると、教会横にあるちっぽけな小屋で一生過ごすことになる。先代エリカ様にエリカ様たる心得を教わり、一通りの家事も身に着けた。

 先代エリカ様は、私が8歳の頃に亡くなってしまった。確か、30歳にいくかいかないか、とても若い身空である。

 先代のエリカ様は、ほとんど表に出ることはなかった。孤児院に行くこともない。ひっそりと、小屋の中で過ごし、お勤めを果たして、私にだけ見守られて亡くなった。

 とても寂しい最後だった。


 私はエリカ様に選ばれたけど、豪商の両親は、私を見捨てたりなんかしない。足りないものは与えてくれて、教育も施してくれた。先代エリカ様のことをとても尊敬して、寄付寄贈いっぱいしてくれた。


 そして、先代エリカ様の亡くなった姿を見て、真実を知ってしまい、泣いた。


「もう、こんなとこ、出よう!」

「ダメだよ。私、選ばれちゃったから。それより、このことは、絶対に言っちゃダメだよ。もし言ったら、王様に何されるかわからないから」


 王都の聖域は、王家直轄である。エリカ様の役割は、たぶん、他の聖域とは違う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ