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吾輩はゴブリンである。  作者: アルカリ
第一章 修行編
7/8

鬼との接触


 ノーネは俺に多くの技能スキルを教えてくれた。

 ゴブリンは短命種といって5年くらいで死んでしまう。

 だが進化をすると長命種になることが多いそうだ。

 恐らく俺も長命種だそう。

 どのくらい修行をするのだろう。

 朝起きてベットで考えているとノック音が聞こえた。

 「早く起きて外に来てください。早速始めますよ」

 「はい、ノーネさん」

 「……。」

 俺は早々と着替えを済ませ外に向かう。

 頬をピンクに染め微笑みながらこちらを見ていた。

 「遅いですよ」

 「すみませんこれからはもう少し早く来ます」

 そんなに遅かっただろか。

 ノーネさんは少しせっかちだなぁ。

 「まあいいですけどっ。今日は相手の場所を瞬時に把握する為の練習をします」

 それは使えたら役に立つな。

 「私は魔力を大量に漏らしながら貴方を捕まえます。なので逃げてください。よーいスタート!」

 っっ!?

 いきなりすぎるだろ!

 だが俺も伊達に鬼じゃない。

 筋力には自信がある。

 俺は地面がめり込む程の強さで踏み込み駆ける。

 一瞬にして彼女の姿が見えなくなる。

 森の中に逃げ込み木々を巧みに使い逃げよう。

 「早く逃げてくださーい」

 !?

 後ろを振り向かずとも分かる。

 耳元で囁かれる。

 俺は身体を捻り右に逃げる。

 「今度は捕まえますよー」

 余裕だな…

 俺は立ち止まり、目を閉じ集中する。

 「フゥゥ」

 来る!?

 分からないが何故か腕が飛んでくるのが分かった。

 当たったらやばい。

 身体がそう直感し瞬時に避ける。


 【『技能スキル』魔力感知Lv.1を取得しました。】

 【『技能スキル』気配感知Lv.1を取得しました。】

 【『技能スキル』予測がLv.2になりした。】

 

 避けたところに凄まじい速さの弾丸が飛んでくる。

 それはノーネの腕であった。

 当たったら身体が吹き飛ぶだろ、いや消し炭だな。

 俺は足に力を込め空中に逃げる。

 逃げるだけではいずれ捕まる。

 「ノーネさんに攻撃するのはありですか!?」

 「勿論いいですよー!」

 俺は身体を回転させ空中を蹴る。

 そのまま落下する勢いでノーネの正面に落ちる。

 地面に砂埃が舞い上がる。

 俺は近い距離にいるノーネに蹴りを入れ込む為弧を描く様に勢いをつける。

 そして跳び、右耳に蹴りをいれる。

 「ごめんなさい!」

 しかし俺の蹴りの風圧により砂埃が消え、視界がはっきりするとノーネが俺の足を手の甲で止めているのが分かった。

 「何を謝ったんですか?」

 ノーネは不敵に笑う。

 「くっ!」

 俺はものすごい勢いで身体を逆に捻り左耳に蹴りをいれる。 

 彼女は受け切れなかったのか吹き飛ぶ。

 よし!

 そして俺は逃げる。

 やった!

 やってやったぞ!

 喜ぶ俺は魔力の漏れを抑えたノーネの気配に気付かず後頭部を殴られる。

 ドガっ、グチャァ。

 俺は気絶した。

 脳みそを垂らしながら。


 ◇

 

 「はっ!?」

 俺は目を覚ます。

 身体を起こそうとするが動かなかった。

 ノーネが俺の顔を抑え、覗き込んでいた。

 「大丈夫ですか?」

 ノーンは泣きそうな顔をしながら問う。

 「大丈夫ですけど何かあったんですか?」

 「い、いえ何でもありません」

 あれ?俺って何してたっけ?

 思い出そうとしても靄に隠れているかのように思い出せない。

 「何か隠してますか?」

 「本当に何もありませんよあはは」

 「そうですか」

 これ何かあったな。

 何か頭痛いな。

 まあいいか。

 時間はもう夕方であった。

 「そろそろ家に帰りましょう」

 ノーネはそう言うと膝に乗っている俺を支えながら立ち上がる。

 「今日はカルナの好きな物を食べさせてあげます」

 「いいんですか?」

 「はい。何でも言ってください」

 俺は猪肉を頼んだ。

 その猪肉はあの頃のまんまの味だった。

 「カルナ?」

 「はい?」

 「どうして泣いているのですか?」

 「え?」

 俺は涙を流していた。

 嗚呼、懐かしいな。

 母さん。

 会いたいよ。

 

 ◇


 それから俺は技能スキルの修行を毎日励んだ。

 それは長い日々だった。

 この家に時計はないが幾度も日が沈んだ。

 恐らく数年は技能スキルの修行をしていただろうか。

 ノーンは強い。

 長生きをしているだけではない。

 毎日、毎日厳しい修行を積んだのだろう。

 俺の憧れであった。

 技能スキルの修行の終わりを告げられた夜、夢を見た。


 ◇


 目が覚めたのは暗い暗い深淵の中。

 一筋の赤黒い光が俺を呼んでいる。

 歩いた。

 誰だ?

 「童。ひれ伏せろ」

 重圧が掛かる。

 内臓が潰れ肋骨が砕かれる。

 (誰だ?)

 「まだ口を聞けるか。よかろう答えてやる。俺の名は黒鬼コクキ。」

 (何の用だ?)

 「口の聞き方がなっていないな、――――――」

 俺は頭が潰れ夢の中で死んだ。

 そしてまた生き返り元の場所へ戻ってきた。

 「お前は俺の血を使いすぎだ」

 (何のことだ?)

 「シラを切る、か。―――――――――――――

――――――――――――――――――――」


 そこから俺は何度も殺された。


 「なかなか強情な奴だな。また呼ぶ。行け」

 (殺してやる殺す殺す殺す殺す!)

 「ふん。また遊んでやるからもう行け」

 黒鬼は俺から離れていき小さくなり消えていった。

 

 ◇


 脳裏にコクキの声が未だに焼き付いているが、顔が思い出せない。

 「カルナどうかしましたか?」

 俺が跳ね起きた音が聞こえて飛び出してきたノーネ。

 「凄い汗…だ、大丈夫ですか?」

 「は、は、は、、」

 上手く声が出ない。

 「目を瞑ってください!」

 彼女は魔法を使ったのか飛び出そうなほどの心臓の鼓動が徐々に小さくなる。

 「はーっ、はーっ」

 大きく深呼吸を吸い息を整える。

 「あ、有難うございます」

 「何があったんですか?」

 「夢の中に、こくっ!?」

 腹が燃えるような痛みに襲われる。

 「何でもない、ですっ」

 痛みは治まる。

 「言ってください!」

 「言えません、言おうとするとお腹が燃えるように痛むんです」

 「そうなのね。ごめんなさい」

 くそっ。

 何で喋れないんだ。

 ノーナは温かいお茶を持ってきてくれた。

 「有難うございます」

 「今日は安心して寝てください。私はここにいますから」

 ノーナはいい奴だな。

 しかし俺は寝ることが出来なかった。

 怖い。

 殺したい。

 殺したいでもあいつが怖い、俺は強くならければならない。

 今の俺にはあいつの足元にも及ばない。

 強くならないと。

 ノーナは椅子で寝ていたが俺は寝れないので俺のベットに寝かせ俺は外に向かった。

 木刀を持ちドアを開ける。

 剣術は今の所独学だが素振りをする分には無駄になることはないだろう。

 俺は無心に振るう。

 結局俺は夜が明けるまで剣を振るった。

 「カルナ……」

 家の方向には立ち尽くすノーナがいた。

 「怒ってるの?」

 「分かりません」

 無心に振っていたので分かるわけがない。

 ノーナの眼には俺の大きな角が映っていた。

 「家に入ろ?ご飯出来てるよ」

 「いえ。もう少しだけ素振りをしようと思います」

 「そう…終わったら戻っておいで」

 「はい、分かりました」

 ノーナが家に戻ったのを確認すると自身の角を折った。

 しかし何度折っても生えてきた。

 「くそっ!これのせいで!何で俺だけ!くそっ!!」

 折った角を喰らった。

 手では折れるのに歯では噛み砕くことが出来なかった。

 「くそっ」

 俺は深く深呼吸をし角が消えるのを確認してから家に帰った。

 「ただいまノーナ」



 彼女は泣いていたーーー。

 

 

 

 ステータスは修行終了時に記載します。

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