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ぶっ殺す

作者: O馬鹿者

 「おいぶっ殺すぞゴラ」

 呟いてみる。隣室にいる母の後ろ姿はパソコンに向かっている。耳には届いていないようだった。

 たまに乱暴な言葉を言ってみたくなる。誰に言っているのでもない。何となくそういう気持ちが起こってくるだけだ。できるなら声を抑えることなく、思い切り巻き舌を使って恫喝してやりたい。

 普段なるべく穏やかに過ごそうと心掛けている反動かもしれない。何か爆弾のようなものを仕掛けてやりたい気持ちになる。そういう気持ちは誰にでもあるものではないのだろうか? 

 こんな思い出がある。

 まだ祖父が生きていた頃、祖父の家の廊下で「ぶっ飛ばせ! ぶっ飛ばせ!」とリズムをつけて気持ち良く歌っていたことがあった。居間でそれを聞いていた祖父は、悪い言葉だと僕を窘めた。

 「『ぶっ飛ばせ』はいけない。」

 「飛ばせ、ならいいですか?」

 「それならいい。」

 「飛ばせ! 飛ばせ!」僕はまた歌い出した。どこにも飛ばないような気がした。『ぶっ』が付いていたから良かったのだ。すぐにつまらなくなって歌うのをやめた。

 乱暴な言葉には、何か途轍もないエネルギーが秘められているものだ。その魅力は幼い頃も今も変わらない。いつの日か広いホールのような場所で思いっ切り「ぶっ殺す」と叫んでみたいものだ。

 

 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] わかります。 叫んじゃいけません、走っちゃいけません、いけません、いけません。 こんな社会必要なのかと時々馬鹿らしくなりますね。
2021/05/12 22:01 とらんぷる
[一言] でかいホールは厳しいからカラオケボックスで我慢ですかね~
[良い点] 共感します 私の場合は、洗い物をしながらデトロイト・メタル・シティの『satsugai』を歌うことです(漫画原作のコメディです) カラオケで歌ったらドン引きされたので、頭を洗うときや作業中…
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