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秋葉原ヲタク白書66 華麗なるギャッツβ

作者: ヘンリィ

主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。

相棒はメイドカフェの美しきメイド長。


この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第66話です。


今回は、コロナ後を見据えた"カレーキャンペーン"を担うスタートアップがハッキングされAIがコピーされます。


やがて、コピーしたAIをネタに、犯人の恐喝が始まりますが、犯人は万一に備え"安全装置"を仕込んでおり…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 ギャッツβの災難


わ!リアル妖精だw


いや。リアルに妖精なのではなく、リアルな妖精と逝うか、その、あの…

昔、世話をしたのか、されたのか忘れちゃったIT系社長さんの御帰宅だw


「やぁ!テリィたん。御無沙汰してます。その後すっかりメジャーになられて…」

「うわ!社長!ソチラこそ、国際情勢が緊迫して、マスマス商売繁盛なのでは?!」

「あはは。お陰様で。そんなこんなでトロルと改名しました。よろしく」


妖精と逝ってもエアリみたいな羽根系女子ではなくリアルなビジネスマンだ。

マンです!カリフォルニアのスタートアップCEOって感じの爽やかイケメン←


マァ前回、ストーリーと全く関係ないトコロで"実はゲイです"とかカミングアウトされエラい面喰らったケド慣れました…かな?笑


あ、ココは、僕の推し(ているメイド)ミユリさんがメイド長を務めるアキバの御屋敷(メイドバー)

生命の3大機能を1度に生み出すコトから"ディアミドリン酸バー"とか呼ばれてるw


「で、テリィたん。早速で悪いケド、私の友達の力になってくれナイか?さぁ、スノク。コチラが、あの有名なメイド長と作家のコンビだ。私の求めに、手を挙げ応じてくれそうな唯一のアキバのヲタクだょ」←

「初めまして、スノクと申します。実は先月、ウチのヤット2才になった"ベルラ"が年を偽りクラブに逝って、見事にストリート系の男に騙され薬を盛られ、彼のアパートで…」

「ええっ?!2才?幼女レイプですか?!ってかクラブで薬盛られた?!最近の幼女って…うーん今回ばかりは僕の射程距離外カモしれません」


スノクさんは、オフタートルのニットに鮮やかワイドパンツの丸メガネ女子。

で、アップヘアだけど丸メガネ+タートル+アップ髪と来れば…巨乳だょね←


「あ、すみません"ベルラ"はAIです。ウチは、バーチャルアイドル専用のAIを開発するソフトウェア会社ですが、先日、ハッカーに3層のファイアウォールを破られ、納品直前の"ベルラ"がコピーされた形跡があるのです」

「え?AIがコピーされた?どーゆーコトでしょう?」

「"ベルラ"は、大手食品メーカーがコロナ明けに打つカレー販促キャンペーン"カレーなるギャッツβ"のメインアイコンに搭載予定のAIです。キャンペーン中、全国でオンエアされる全TVCMの最後に登場し、扉を開けて"カレーなるギャッツβ!"と広く国民に呼びかける予定でした」

「カレーの春キャン用バーチャルアイドルに搭載予定のAIと逝うコトですね(ってか、そう呼びかけるだけならAI不要ではw)?」

「生身のVtuberに代わる、完璧に上品で品行方正な"萌え頭脳"を持つバーチャルアイドルを誕生させるハズでした。最近Vtuber絡みのスキャンダルとか相次いだモノで…で、先日"萌えの深層教育"を終えたばかりでしたが。キャンペーン開始のゼロアワーまで、あと数週間しかありません!」


うーん。ソレもコロナで延期になるのでは?


さらに"カレーなるギャッツβ"に関連するソフトハウス2社も被害に遭ったコトが判明。


何れも同じ手口で、中華な国に置いたサーバーの温度調節システムからの侵入を許してるw


ハッカーは、実に巧妙で先ずシステム全体を俯瞰し、最も脆弱な部分を確実に突いてる。

マルウェアの作り方ひとつとっても、意思のプログラム化に何やら天賦の才能を感じる。


リバースシェルを使った仕掛けだが、フェムトセルの中にマルウェアを仕込まれてる。

後はスクリプトを書いて攻撃開始だ。システムを支配するスリルは最高の快感だろう。


最後に脅迫状を送って"ギャッツβ恐喝"に初めて気づいた僕達の慌てぶりを嘲ってる。


「下記口座に1万ドル送金を。さもなくば、"淫乱の深層教育"を施した"ベルラ(はじ)"を流出させ、一躍、御社の"淫乱"な御息女はネットで晒し者となるでしょう。くれぐれも警察に通報などなさいませヌよう。私達の検挙、或いは死亡時には"安全装置(デッドマンスイッチ)"が働き"ベルラ(はじ)"がネットに流出スル手筈となっておりますゆえ。なお、この動画は自動的に消滅スル」


そして、添付された動画には"ギャッツβ"がバーチャル酒場をクラビング中に次々と…

しかし、最近のバーチャル画像って過激だょね。あ、動画は結局、自動的に消滅しないw


「私達は十分苦しんだ。ソレなのに、さらに今以上に傷つかねばならないなんて!」

「で、支払ったんですね?」

「キャンペーンを仕切る大手広告代理店には内緒で送金しました。私達下請けの立場は限りなく弱い。ところが、その数週間後に何と…」

「また脅迫状が?」

「3回目の要求でした。私は苛立ち、薬物に手を出しそうになりました。そんな時、トロル社長のコトを思い出した。誰かに話したかっただけなんdeathが、彼は、貴方の名を挙げて、もしかしたら助けてくれるカモと」


そして、スノクさんは捨てられた子犬のような視線で僕に上目遣いwコ、コレは、もしや巨乳の谷間アピール?見えないケド妄想が…


ココは人肌、じゃなかった一肌脱ごう!


「僕は、ブラックメールは大嫌いだ!恐喝って犯罪も軽蔑したい!ある意味で殺人よりも卑劣だ!僕達でこの恐喝犯とその組織を突き止め、淫乱な"ベルラ(はじ)"を跡形もなく消し去りましょう!」


カウンターの中でミユリさんがカナリ大きな溜息をつき、ヘルプのつぼみんは天を仰ぐw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌日の昼下がり。開店の遥か前だけど、私服のミユリさんと御帰宅。

棚の洋酒の瓶をどけ、奥の小窓から昭和通りの道路向かいを見張る。


あ、御屋敷(ミユリさんのバー)は昭和通り沿いにある雑居ビルの3Fにあるンだ。


「サイバー屋に頼んで、恐喝野郎の口座番号から名前と住所を割り出してもらったら…何と道路向こうの新築マンションに住んでたwで、奴の名前はミルバ」

「あ、来ました!写真はもらってたケド、実物は見るからに悪党ヅラですね。しかし、ナンボ何でも無防備過ぎませんか?ところで、サイバー屋って、スピアのコト?」

「例の"安全装置(デッドマンスイッチ)"を過信してルンだろ。どんな奴か見定め、出来れば"死人(デッドマン)"の正体も探ってみたい。組織?の素性が分かり次第、恐喝ネタの"ベリル恥"をゴミ箱逝きにしてやる!あ、今回はちょっち色々あって別のサイバー屋さんに…」


早速、目標視認(ターゲットインサイト)


痩せて小柄。黒のパーカーにジーンズでフードを被った悪者ハッカー系ファッションだw


ところが!


歩道の車道側を歩いてたのが運のツキ、真横にコレまた真っ黒なSUVが急停車!

ヤタラ巨体な男が降りるや男を殴り倒し、転ぶ隙も与えズ車に押し込み急発進!


えっ?何アレ?

恐喝犯を誘拐?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


とりあえず、その足でミユリさんとスナフさんに報告に逝く。

スナフさんのソフトハウスは、御茶ノ水の駿河台下の界隈だ。


「ヒドい。"ベルラ恥"か。よくも私の可愛い"ベルラ"をこんな淫乱にwしかし、マァ短期間でココまで深層学習させるとは驚きの手際だわ」

「ダークサイドに落ちるのは一瞬、ってコトですね。で、いわゆる恐喝野郎、ミルバと逝いますが、奴の正体は突き止めました。住所もわかりましたが、本人が、その、あの、多分不在?なので、とりあえず、奴のPCがネットに繋がってたからリモートハッキングして解析中です。現時点で明らかなのは、他のソフトハウス2社も恐喝されていた、と逝うコトです」

「すると、ミルバはプロの恐喝屋と逝うコトかしら。今日は、その証拠を渡しに、お見えになったの?」

「いいえ。もしかして…僕は、この足で誘拐目撃の通報に万世橋(アキバポリス)へ逝くべきなのかもしれません。ただ、その前にスナフさんのお気持ちを伺っといた方が良いかなと…」

「ハイ。前置きソコまで。何が起きたの?」

「あくまで"例えば"の話ですが、仮に、そのミルバですが、張っていた僕達の眼前で"例えば"彼が誘拐され、ソレをたまたま僕達が目撃したとすると…」


ははぁナルホドと逝う顔のスナフさん。


「その誘拐?を目撃したのなら、テリィたんは、万世橋(アキバポリス)に通報しなきゃイケナイわ」

「やっぱり?でも、今回は意外と複雑でしょ?ミルバには、恐らく共犯者がいる。で、ミルバに何かあれば、共犯者は迷わズ"ベルラ恥"をネットに流出させるでしょう。もちろん、あくまでもミルバの誘拐に共犯者が気づけば、の話ですが」

「うーんナルホド。で、テリィたんは誘拐を通報しないカモなワケね?その方がテリィたんも共犯者を突き止めやすいかしら?"安全装置(デッドマンスイッチ)"トヤラが発動する前に」

「まさかミルバが殺されるようなコトはナイと思いますし…マァ元々知らない男なのでwココは誘拐は見なかったコトにしても良いかな、なんて。あ、もちろん、全て"例えば"の話ですけど」

「共犯者探しを重視ね?でも、もし共犯者が誘拐犯だったら?」

「手間が省けます。恐喝を阻止し、誘拐犯も突き止められて一石二鳥です」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


最後に、幼稚園カフェ"私立アキバよーち園"に御帰宅。

今回、サイバー屋として参戦しているヒカルのホームだ。


「あ!ミユリ姉様とテリィたんだ!」

「えっ?ホントだ!お姉ちゃん、お兄ちゃん、おかえりー!」

「んんん?テリィたん、何ん?その上から目線ん?」


"ゆるカル▼"JKトリオのお出迎えだw

コロナでガラガラなせいか大歓待だょ←


で、早速デシィがカラカイ半分"ゆるカル▼"随一の突出した胸部を押し付けてくるが…

まぁ、先ほど成熟したCEO巨乳を見た後だけに(いつもと違いw)余裕で彼女を見返す僕←


「ああっ!わかったん!サテは何処ぞのOL系オバさん巨乳に会ったん?」

「げっ!どーしてそんなコトまで…ってか、今日は仕事だから!ヒカルは?」

「メイド長はコチラ」


"ゆるカル▼"トリオが力を合わせヨイショヨイショと壁際の本棚をスライドさせる。

すると、本棚の裏に細長い隠し部屋が現れ、中でセミロングの暗髪メイドがお仕事中。


僕達に気づき、キーボードを連打していた手をダラリと両脇に垂らして、コチラを見る。


ヒカルだ。

ツンデレw


「それで?」

「誘拐は見なかったコトにして"死体(デッドマン)"を探すコトになった」

「警察無線を聞く限り、周辺では発砲、誘拐、侵入の通報はなかった。ソレから、トロル社長のトコロの若い人が、ミルバに訪問者がないか、監視してくれるコトになった。もしかしたら、トロル社長とスナフさんは、デキてるのカモしれない」

「トロルさんはゲイだょ。ミルバのPCの解析は進んでる?」

「帳簿を見つけた。あと、PDF化された請求書や領収書の束も。恐らく恐喝関係の支払い記録だと思う。テリィたんは、ホントに誘拐犯の顔は覚えてナイの?」

「うーん。巨体で220cm220kgかな。顔は…ニット帽で不明。コレじゃ警察に通報しても大した証言は出来ないね。もしかしたら、彼は恐喝の被害者かもしれないが、未だ共犯者の線も残ってる。ともかく、当面のターゲットは変わらズだ。"ベルラ恥"流出前に安全装置(デッドマンスイッチ)をオフにする」

「誘拐犯が恐喝の被害者なら、なぜ"死人(デッドマン)"を恐れナイのかしら」

「自分に関してだけ、何か心配を解消出来る仕組みが出来てたのかもしれない。でも、スナフさんはじめ他の恐喝を受けた者にとっては、ミルバは未だに脅威のママだ」


ココでヒカルから重要情報。


「で、奴の帳簿を調べてたら"死人(デッドマン)"っぽい記録があった。定期的な支払い記録で相手の名は"源頼朝"」

「確かにもう死んでるな」

「支払いは常に儲けの10%。恐喝の補助役に払うにしちゃ妥当な数字だとは思わない?あら?トロル社長からょ。誰かミルバのオフィスに現れたみたいだわ」


第2章 恐喝問屋の正体


昭和通り沿いにあるミルバの高層マンションの前にトロル社長の部下が待っている。

まだ寒空なのにアメリカ人みたいにポロシャツだょ張り込みナメてんじゃナイの?


「社長にメールした直後、訪問者はタクシーで去りました。コロナの影響でタクシーの流しが中々来なくて尾行に失敗しました」

「人相は?」

「身体は180cm。人相は…実は奇妙な被り物をしてたので、顔が良く見えませんでした」

「奇妙な被り物?」

「ハイ。何か大きなハンマーのような…」


げっ!タチマンだw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ミルバ?ああ。さっき、彼のマンションを訪ねたばかりだ。お得意サンなんで」


マホガニー材の重厚感溢れる執務デスクにドカンと座ったタチマンが鷹揚に応える。

同じくマホガニーの応接セットに座ると、フワフワ過ぎておヘソが天井向いちゃうw


ココ、ホントにマンションの1室?


あ、タチマンは僕の小学校の同級生でヤメ検の優秀な弁護士ナンだが、アキバにハマって何故か今はハンマーの被り物で法廷に立つw


「だって、法と正義の名において、悪者に鉄槌を下すンだぜ?ハンマー以外の被り物は、あり得ナイだろ?何か変か?」

「かなり変だけど、今は議論しない。で、ミルバとはどーゆー付き合いなんだ?ってか、ミルバって何者だょ?」

「あぁ。彼は恐喝問屋だ」


え?恐喝屋…じゃなくて問屋?

恐喝の卸しとか、やってるの?


「まぁ、闇ビジネスの世界だな。恐喝に使えそうなネタを、その筋に卸してる。で、その中に結構、裁判に持ち込めそうなネタが混じってルンだ」

「タチマン。お前、そんなトコロから客を拾ってンのかょ?不況なの?コロナ?」

「誤解するな!こーゆートコロにこそ法的弱者が吹き溜まるのさ。そんな世界に正義の光を当てるコトこそ、我が使命!私は人呼んで"アキバハンマー"!」


被り物を見れば分かるょ。

こんなトコで営業するな。


「で、念のために聞いとくけど、裁判ネタの証拠として"ベルラ恥"とか、マーサカ預かってナイだろーな」

「何だょその"ベルラージュ"って。タピオカの次に流行るデザートだな?美味しいの?」

「あのなー。弁護士の後につくESQ(エスクワイア)って司法資格のコトだょな?まさかドンキホーテの方では…」

「さっきも逝ったとおり、ミルバは俺の依頼人じゃない。むしろ逆だ」

「問屋と小売の関係か」

「お困りのようだから…あ、でも、ホントは守秘義務があるンで…あくまで"例えば"の話で良いかな?」

「良いとも!」

「以前、彼自身の飲酒運転を上手く処理してやった時に、もし秘密情報と逝うか、ぶっちゃけ恐喝ネタがあれば、代行して恐喝してヤルと逝われた」

「恐喝代行?」

「ネタをくれれば、代わりに恐喝をやって金を取って来る、儲けは半々と逝う新規ビジネスのプロポーザルだ」

「おいおい。誰が恐喝の卸しだって?恐喝のネタを卸してるのはタチマン、お前じゃナイか?」

「だ・か・ら!卸しビジネスのプロポーザルがあった、と逝うだけで、モチロン断ったさ。で、作者の逝わんとするコトは、そーゆー関係だから、イカガワシイ証拠?あれ?新種のデザートだっけ?そんなモンは預かってませんょ!ってコトを全力で叫んでるワケだょ俺は」

「お前って、小学校の頃から大嘘つきだったょな」

「大きな夢を語ってたと逝ってくれ。ソレに大ボラ吹きはお前の方だろ?海底2万マイルのネモ艦長が自宅の2Fに住んでるとか逝ってたょな?」

「良く覚えてるな!ソレ、忘れるコトを必死に推奨したい。まぁお互い推しの前で墓穴を掘り合うのはヤメよう。もっと僕達は団結せねばヤラれる(誰に?)」

「同感だ。では問屋のミルバがよく口にしてた"死人(デッドマン)"の話をしてやるょ」

「待ってました、大統領!」

「でも、存在は知ってるが誰かは知らナイ。ただ先日、ミルバから男を紹介された。劇場を裁判で訴えたがってる超肥満男だ。あ、因みにミルバが俺に紹介した顧客は、この男だけだ。法と秩序に誓って」


ソレまで僕が墓穴を掘るのを楽しそうに見てたミユリさんが珍しく素っ頓狂な声を出す。


「あ!ミルバだわ!センセ、ボリュームを上げてくださらない?」


見ると、ミユリさんがデスク上にいくつか並ぶPCの1つを指差してる。

そして、もう片方の手の人差指を"春のぷるるんリップ"に押し当て…


ん?キスのオネダリか?


僕にテレる隙を一切与えズ、PC画面の中に何処かで見た顔が現れる。

スマホTVのニュース番組に映ってるのは…ミルバだっ!もう1人は?


「…逮捕です!逮捕の瞬間にタマタマ、(ワラッタ)のカメラクルーがおり、逮捕を実況放送していますっ!」


げっ!安っぽく絶叫してるのは、フリーランスのスズキくんだw

実はプロデューサーなのに、キャスターをやっちゃダメでしょ!


「建設現場の警備員からの通報で駆けつけた警官が男を逮捕しました!何と男は、乾く前のセメントに誘拐して来た男を埋めようとしていたのです!逮捕された男に突撃インタビューを試みます!あ、貴方は人殺しですか?」

「フザケルな!奴は妹のカレヌをレイプし、ソレを撮影したDVDをネタに、俺を恐喝してルンだ!」


ああ、何てコトをしてくれたンだ!コレでミルバの恐喝は公だ!

アキバの何処かで音もなく"安全装置(デッドマンスイッチ)"が入ったカモw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「最初の脅迫状は9ヶ月前だ!DVDと一緒に。耐え難かった。奴をこの手で…」

「事実関係のみ、お願いします!」

「無論、金は払った。楽じゃなかった。兄貴と建設業をやってるがコロナでスッカリ不景気でょ!でも払うしかなかった。1回で済むと思って。だが違った。数週間後メールでまた同じ要求が来やがった!」

「どうやって誘拐犯を知ったのですか?」

「先週メールで要求された時、現金で払うと返信したんだ。賭け屋の友人に借りた金だから、銀行にゃ預けらんねぇ。だから、秋葉原公園のベンチの下に置くと。そして、金を取りに来た奴を尾けたら昭和通り沿いのマンションに住んでいやがった!ところで、俺の名はアンソ」

「アンソさん!とりあえず貴方は留置所逝きです!お元気で!現場からフリーランスの狙撃兵スズキがお届けしましたっ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


スマホTVのボリュームを下げ、タチマンが僕に尋ねる。


「お前が目撃した男か?」

「顔は不明だが….背格好は合うカモ」

「誘拐は許されナイが、同情の余地のある話だ。俺が現役(検事)だったら、厳罰は見送って…そーだな、まぁ、第1級故殺で3年半でどぉスか?裁判長」

「良い見立てだ。手を打とう」


ココでまた、ミユリさんがコホンと咳払い。


「…ところで、御屋敷が焼け落ち、小学校の同窓会でハメがハズれてコスキャバへ逝ったのがエリカ(タチマンのおくさん)と私にバレ、巨大彗星がアキバに激突です!」

「え?え?何だって?」

「悪い知らせへの心構えの御準備をお願いします。御主人様方、良いですか?」

「良いとも!」

「つぼみんから電話がありました。スノクさんが御屋敷(ミユリさんのバー)に御帰宅されて…またミルバからの恐喝があったそうです」


第3章 万世橋の上で再び僕は


「でも、ミルバは今、逮捕…されたのはアンソとか逝うオッサンか。じゃミルバは保護?うーん恐喝問屋なのに、なんで警察に保護されンのかな?まぁいいや、どっちにせょ警察の監視下だゼ?監視されながらの恐喝なんて無理でしょ?」

「スノクさんへの脅迫メールは、秘匿性の高いテレグラムを使ってたそうですが、手慣れた人なら監視の目を盗んで恐喝ぐらい出来ちゃうカモ」

「うーん、どうかな。もしかしたら、誰かがミルバの仕事を引き継いだ、と逝うか乗っ取ったンじゃナイか?恐喝ネタとスマホがあれば、誰でもミルバを名乗って恐喝問屋を継承出来る」


ミユリさんはナゼか微笑んでいるw

彼女は僕の考えてるコトがわかる?


「ミルバのネタやら恐喝手法やらを熟知している存在と逝えば…何方でしょう?」

「ミルバの"安全装置(デッドマンスイッチ)"だ。えっと、さっきヒカルが帳簿に妙な振込先がアルって逝ってたょね?ミルバが律儀に儲けの10%を定期的に振り込んでたとか逝う…名前は確か…」

「"源頼朝"さん?」


その名を聞いて、タチマンが不思議そうな顔をして僕達を見る。


「え?"源頼朝"?ソレは鎌倉幕府…じゃなかった、ミルバが俺に顧客候補で紹介してくれた"ネタ"の名だ。結局、断っちまったンだが、恐らくソイツは超肥満男で、肥満者への差別を糾弾する訴訟をアチコチで起こして、小金を稼いでる輩だょ?」

「肥満者への差別訴訟?何だソレ?儲かるの?」

「ある日、突然"プロのデブ"が店に押し掛け、座れる椅子がナイ!と騒いで差別訴訟を起こしては安い示談金を巻き上げる、と逝う欧米型のビジネスモデルだ。劇場や飲食店は彼等のパラダイス。航空会社も色々と搾れるから美味しい業種(ターゲット)らしい」


そんな商売が、世の中にはアルのか?

最近は色んなコトが金になるンだな。


「うーん。訴訟資料を調べてみると…データベースでヒットするのは、コレかな?訴えられたのは日焼けサロンだ。巨大な腹が日焼けマシンに収まりきらない?笑っちゃいかんが笑えるな。でも下手に笑うと、同種の欧米での裁判事例で示談金は…えっ?シネコンの座席の狭さを訴えて5万ドル?!」

「もしミルバの"安全装置(デッドマンスイッチ)"が"源頼朝"なら、恐喝方法から何から全部承知してるハズだ。"ベルラ恥"のコピーも持ってるだろう。だが、ミルバとの取決めどおり、ソレをネットに流すのではなく、自分がミルバの恐喝稼業を乗っ取って金儲けするコトに使ってるw」

「ミルバの"保護"は、さっきのスマホTVの報道で"源頼朝"の耳にも入ったろう。人間が本質的に強欲な生き物で助かった」

「助かった…のか?」


ミユリさんがまとめる。


「とにかく!ミルバの"安全装置(デッドマンスイッチ)"は機能しませんでした。当面"ベルラ恥"のネット流出は避けられます。私達が"源頼朝"に恐喝されてる間は」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その日の夕暮れ。


僕は、万世橋の御茶ノ水側に独りで"源頼朝"を待っている。

尻ポケットに入ってる、黒い小さな巾着袋の感触を確認する。


中は"ギャッツβ"の身代金となるダイヤだ。


ソコへ橋の北詰め(エキュートのある方!)から、ノッソリと巨大な影が近づく…

って夕闇に目を凝らして見ると影ではなく黒のライダースーツ&黒ヘルの人だw


し、しかし…デカい!


最初は、大きな黒球に見え、てっきりこのママ異星人と戦えと指示されるかと思ったが…

まぁ今回は極力SF色を排してるせいもあり、近づくにつれウェストの全くナイ人と判明←


し、しかも…ネコ耳!


間違いなく漆黒ライダースーツも特大だとは思うケド黒ヘルも特大wソレにネコ耳だょ?

コレはもしや池袋発の群像劇か?僕は思わず心の中で"デュロロロ!"などと口ずさむw


果たして"ソレ"は、僕の前まで転がって…じゃなくて、歩み来て胸ポケットから何か…

出そうとスルが、何しろパンパンにハチ切れそうで、何だか知らないケド、出て来ない!


見兼ねて、一緒に胸ポケットに手を突っ込み出してあげたら"PDA"キター!いよいよw

さて、あの群像の主人公って、確かアイルランド産の妖精だょな?どんなラストだっけ?


やや?巨体とは思えない高速タイピング!


「ありがとう。貴方は普通に話してくれれば良い」

「僕はテリィ。スナフさんの交渉人(ネゴシエーター)で"ギャッツβ"の身代金を持参した。貴方の指定どおり宝石に変えてアル」

「前回は、現金払いで後を尾けられ足がついた。今回は身軽に逃げ切るつもり」

「元より追うつもりはナイ。因みに、宝石に500万円相当の鑑定書を付けた」

「不要。宝石が偽物なら"ベルラ恥"をネットに撒くまで。では、宝石を」


僕が尻ポケットから小さな巾着を出し、彼女に投げると、彼女は器用にキャッチ。


「ご苦労様。さよなら」

「…待て」

「何?」

「そのネコ耳…チャーミング過ぐる」


その瞬間、橋の上の時間が凍りつく!


いや、大袈裟だったかな。でも、そんな気がしたンだ。ホンの一瞬のコトだけど。

しかし、次の瞬間、世の中の全てが動きを取り戻し騒音と雑踏に飲み込まれると…


ヤニワに漆黒の"源頼朝"がライダースーツを脱ぎ出す!

な、何が始まるンだ?茫然と立ち尽くす僕の前に見事な…


黒ビキニ女子だ!


もちろんトンでもナイ巨体で、そのまぁ僕的には全く射程外だが、いわゆる"デブ専"w

結局、ネコ耳ヘルは取らズ、顔はワカラナイながら夕闇に浮かぶ白い肉塊に黒ビキニが…


こびりつく感じ?笑


さらに!もはや"茫然"を特急通過してアングリ開けた僕の口を…彼女が塞ぐ。口でw

コ、コレは…キスなのかっ?!いつか是非と夢に見た黒ビキニ女子とのキスってコレ?


重いっ!よりかかるなっ!


凍りつくレベルを超えて、ミイラとなり棺に入った気分の僕に、彼女が唇の端で微笑む。

万世橋の欄干をヨッコラショと乗り越えて、手の中の小さなリモコンのスイッチを押す。


すると、神田川の黒い川面に何か…ジェットスキー?が浮上!ハンドルがポップアップ!

次の瞬間、黒ビキニの巨体が宙に舞い、まさか掌をヒラヒラと僕に…振る?恋人気取り?


どっぷーん!!!


重量物が川面を打つ激しい音が神田川全体に響き渡り、飛んだ飛沫は…

通りかかった中央線快速を襲って、運転手が慌ててワイパーを動かすw


そのまま、浮力をフル活用してジェットスキーの上に仁王立ち、川面一杯に三角波を立てながら颯爽?と東京湾方向へと下って逝く。


カッコいい…


思わズ、そう感じてしまった僕は、実は現実に何が起きたのか、よくわかってナイ。

だって!そりゃそーでしょ?いきなり巨女なデュラハンがビキニになって身代金を…


ソレにしても"源頼朝"って女子か?

普通、男だと思うでしょ?ヤラレタw


第4章 いい箱作ろう鎌倉幕府


やれやれ。今回も色々とピースが集まって、ジグソーパズルの全体の絵が見えてくる。

特に、最後?のピースが僕の尻ポケットから出て来て、なんだかなって感じだょ全く。


僕の尻ポケットには例の巾着が入ってて。

"源頼朝"がキスの時に入れたみたいだw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


数日後の夜、御屋敷で他愛ナイ話をしてるとズシンズシンと杭打ち機が近づく音?

そんなバカなとお思いでしょうが、ホントに音は近づきグラスの中は大波小波だw


そして"ソレ"は来る…

と逝うか、来れナイ?笑


もちろん、音の主は"源頼朝"なんだが外階段は登れたようだが、御屋敷に入れないw

ドアが狭過ぎ、カラダを縦にしても横にしても御帰宅出来ないw差別訴訟になりそう←


ミユリさんがドアまで出向く。


「おかえりなさいませ、御嬢様。初めての御帰宅ですか?システムの御説明を…」

「コチラがテリィたんが常連のメイドバー?貴女はメイド長のミユリさんね?テリィたんに伝えて。"ヨリモ"が来たって」

「もう伝わってますけど…」


えっ?ソコで僕にフルかなw

ヨリモ?"源のヨリモ"?笑


ドアに戻ると、ドアの向こう一面が肉の壁で…いや、失礼、ソンなコトはナイ。

花柄が清楚な襟付きAラインワンピ"だけ"が見え、首から上はドアの"上"だw


ドアに入らないのは"左右"だけではナイ?

で"ドアの上"から"ヨリモ"の声がスルw


「テリィたん。私からのダイヤ、受け取ってもらえた?」

「う、うん。もう地下アイドルのライブに逝くンで、質に入れちゃったけど…」

「あぁ。役に立ったのね?うれP(死語w)」


実は、あの黒い巾着の中に入ってたのは、セーラー戦士の"クライシス・ムーン・コンパクト"のミニチュアなンだが、マァいいや←


「私達、産業スパイは、服を脱ぐようにI.D.を脱ぐの。だから、今宵だけでも、テリィたんとお話ししたかったのにドアが小さくて残念。だって、次、いつ会えるかわからないンだモノ」

「えっ?君って産業スパイだったの?恐喝屋じゃなくて?」

「恐喝は副業wだから、別に儲からなくても良いの。他で稼いでるから。で、そのダイヤも、ホントは何処かのゲリラの地対空ミサイル購入資金に化けるハズだったンだけど、テリィたんにあげるわ。で、今度は私の番。テリィたんって…結局、何者なの?」

「アキバのヲタク」

「じゃ今から、お隣のホテルへ逝く?」

「逝きません!何でそーなンだょ?」

「だって、テリィたんって可愛いンだもの。でもね。私がテリィたんに迫るホントの理由は、ソコにいるミユリさんが、貴方を欲しがってるからょ」


ミユリさんが半分笑いながら(と逝うコトは残り半分はホンキかなw)口を挟む。


「あら。横取りしたいの?」

「だったら、どーなるのかしら。貴女のお得意なコスプレプロレスとかで勝負スル?」

「望むトコロ、とか逝ってみたり」


あわわw


ヨリモがワンピから伸びる黒タイツに包まれた大腿にかける重心を右脚から左脚へ移動←

コレは戦闘ポーズか?でも、黒タイツの先のヒールが纏足みたいでsexyだ…あ、イカんw


「テリィたんはね。もう私の胸に触ったの。私の胸の谷間からPDAを取り出す時にね。私を好きだと逝うから、ソレを許したわ」


いや、PDAを取り出したのは、ネコ耳をホメる前でしょw

ソレに、PDAは谷間ではなく胸ポッケに入ってましたが!


いずれにせょミユリさんに谷間ネタ厳禁w


「冗談ょ。でも、ミユリさん。貴女は自分で自分の気持ちに気づいてない。そして、私は気づいてる。恐らく、アキバに来る女子は全員気づいてるわ…じゃ、帰るわね。この御屋敷、気に入ったわ。また御帰宅するね」


再び、ズシンズシンと杭打ち機が…今度は遠ざかるンだが、ドップラー効果付きだ←

超質量の転移に伴って発生する重力波の影響で、常連達のグラスの中は大波小波が…


カウンターの中から、ヘルプのつぼみんが、ヨリモを見送るミユリさんに声をかける。


「どーなるコトかと思いましたー。しかし、あの巨女さんの自分がモテると逝う自信は、いったい何処から?」

「最近は色んなジャンルがあるモノねwでも、ぽっちゃり女子の上品なカジュアルって意外に強敵なのょ?だから、一応…塩を撒いておいて」←

「かしこまりました。メイド長」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「えっ?"安全装置(デッドマンスイッチ)"が巨女だった?何?ビキニで迫られたのか?マジ?しかし…お前って、小学校の頃からの"ゲテモノ喰い"が治らんなー」

「あのなー。そーゆーお前は夏の臨海学校で…(以下省略)」

「で、彼女の印象は?美人?」

「ソレが…とうとう最後まで顔は見て無いンだwでも、闇で"死人(デッドマン)"やってた割には正直なタイプだと思った。ミルバとの出会いも、もしかしたら、自分が恐喝されて始まったンじゃナイか?どちらにせょ、ダークサイドの人間だ…森は美しく暗く深い。だが私には守るべき約束がある。眠る前に行くべき道がある。R・フロスト…しかし、あの黒タイツがなぁ…」

「あ、テリィ!お前、その"デブ専"と寝たな?」

「そ、そんな…まさか!」

「嘘ついてもダメだぞ(such a terrible liar)!」

「やれやれ。ヤメ検の友人って、何ゴトも疑ぐり深いから厄介だなwあの黒タイツは素敵さ。彼女はミユリさんと逝う存在も尊重してくれて、そして…」

「手を出したのか!ドッチが誘ったンだ?ミユリさんは知ってるのか?エリカに話しても良いか?」

「ホントに疑り深い奴だな!ソレこそ"源頼朝"の性格に酷似だ。"いい国(1192)"作れナイぞ!」


ココでタチマンは"しめた!"と逝う顔をスル。

マズい。何かワナにハマった気がするケド何だ?


「お前。サテは知らないな?」

「何を…かな?」

「鎌倉幕府の成立は、俺達が小学生の頃は1192年だったケドな。今じゃ、全国への守護と地頭の配置を朝廷が認めた1185年ナンだ」

「えっ?ホント?」

「だから、今時の中学受験生はみんな"いい箱(1185)"作る鎌倉幕府って覚えてルンだ。しかし、巨女がドアから入れない"箱"って問題だな。彼女に差別裁判を起こすよう営業かけてみよう」←


放っとけよw



おしまい

今回は海外ドラマでよく使われる"デッドマンスイッチ"をネタに、スタートアップの女社長、恐喝問屋とその"デッドマンスイッチ"、お馴染み"アキバハンマー"などが登場しました。


海外ドラマで見かけるNYの都市風景を秋葉原に当てはめて展開しています。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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