初恋2
グウウウルルウウ
それは、その化物は森を駆け抜けていた。
必死に生きるために。
同時に化物は、考えていた、何故・・何故こんな事に、と。
それは、いつもと同じように過ごしていた時に起きた。
いつも道理に、人間を殺して食って食べて腹を満たそうとしたときだった。
あいつらは来た、ハンターだ。
そのとき、思った、貧乏くじを引いたと。
運悪くあいつらの、仕事の日に合わさってしまったと。
それにもう一つ、大貧乏くじがあった。
グウウゥゥゥゥ
ここまでくれば…・・・・・
「逃げてる奴が、気を途切らせたらいけないだろう、ん?」
化物が、振り向いたらそこには大貧乏くじがいた。
くそ、逃げれるわけがないじゃないか、上級の化物相手に。
DOONN!!!
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「やったね!今日も、ハインケルのお手柄だよ!」
「いや、皆が追い詰めてくれたからであって」
「謙遜するなよ、お手柄だよ」
「はは、ありがと」
「じゃあ、今日はあそこで打ち上げっすね」
「うん、オラもう腹減った」
「・・・・・・・(コクッ)」
やあ、久しぶりだね皆。
俺に会えなくて寂しかったかな? (そんなメタな発言禁止だよ!オイ!)
うん?もういいじゃんか、まあいいや。
あの服屋の出来事から、丸2カ月がたっている。
あの後俺は、すぐにニナに会いに行った。
そうして何回も会っていると、仕事仲間だと紹介された。
仕事とは、マスターと一緒に行ってるやつと同じタイプのものだった。
つまり、化け物退治だということだ。
紹介されたと同時に、一緒にやらないかと誘われた。
勿論、最初は断った、自分も化物なのだからばれるかもしれないと思ったのだ。
だがやはり、同年代の仲間の誘惑には耐えれなかった。
特に、ニナからの誘いには。
「オイ行くぞ」
今喋ったのが、クラス・ヘルシングだ。
戦闘に関しては、俺よりウマい。
それに、中々気が合ういい奴だ。
そして隣の、ヒョロッとした奴が、ジャック・フィード。
こんな容姿で、案外肝が座ってる男だ。
口グセと言うか、よく言うのが「〜っす」だ。
さらにまた隣の巨漢は、ナサン・モリスだ。
こいつがまた、臆病な奴なんだなぁ、すぐビビるし。
でも、仲間思いのいい奴だ。
で、最後にきたのが、クィンス・スワード。
無口な奴で、あんまり喋ったことが無い。
時々なんだが化物を見る目と同じ目で見てくるんだ。
気づいてそうだな。
「そうだな!早く行こうか、勿論言い出しっぺのジャックが奢ってくれるんだろ」
「ちょ、そりゃないっすよ〜」
ハハハハハハハハハハハハハハハハハ
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「やっと帰って来たか」
「ただいま〜です、マスター」
「また、あいつらのとこか」
なんかマスターは、あまりニナたちとつるむのをよく思ってないらしい。
「ほどほどにしておけよ、お前は・・・」
「はいはい、分かってますよ、化物なんだからでしょ」
「分ってるなら」
「おやすみなさい、マスター」
「あ、おい!・・・・・ったく」
付き合いをやめるなんて無理だ。
俺は、
俺は、
ニナに恋を、初めての恋をしてしまったんだから。
ああ、そうだよあいつが好きだ。
堪らなく、愛してる。
これも、化物になったせいだろうか。
あいつを、俺だけのものにしたい、俺と同じにしたい。
初めてあいつの名前を聞いた時から、その声、顔、髪、目、在り方、笑顔・・・・・・
挙げればキリがない、それほどに愛している。
俺は、もう少ししたら告白しようと思う。
俺が、化物であることも含めて告白しようと思う。
きっと、きっとあいつは、ニナは、受け入れてくれる。
気づいてなかったんだ、化物と人間の違いがこれほど広いなんて、この時はまだ。