殺し合い2
DON!DON!DON!
「ふぅ〜なんか多いなここ」
地下に進んでいたマスターは、既に30匹近い怪物を殺していた。
だが、一向に収まる気配がなくまだ前方・・・いや後ろにも来た。
「まったく、いったいどれだけいるんだ貴様ら」
こんなにいる理由なんて、上の階にこいつら以上の奴がいてテリトリーを奪われたぐらいしか
。
「まさか・・・・・・・・大丈夫かあいつ」
そう言って上を見上げた上の階にいるだろう下僕をおもい。
「マガジンの替え渡してないんだが」
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「糞っ、弾が無くなった」
階段で5階ぐらい上がって通路に出た瞬間に4体いてブチ放ったが、なにぶん急だったもんで一発も当たらず散開された。
今度は、ちゃんと狙って4体とも殺したが。
トンプソンは改造してあってフルオートだ、つまり直ぐに50発なんか切れたわけだ。
代わりのマガジンを出そうと思ったが、無い、無いのだ・・・・・・・当たり前だ。
貰ってないんだから。
「マスター、銃渡すんならマガジンも渡してくださいよ、はぁ〜」
まあ、さっきから何にも出てこないんだからいいと言えばいいのだが。
だが、有ったほうが落ち着くのだ。
そんなことのせいで、高揚感はすっかり消えていた。
「いったい、どういうことだ、何にもいないなんてまるで」
別の何かがこのフロアを占拠しているようだ。
「まさか・・・・・・だがさっきも」
あの怪物たちは、何からか恐れて逃げているようだった。
「まあ、この先に行けば分かることだ」
そう考えたら、また胸の高まりがゆっくりだが、本当にゆっくりだが上がってきた。
無意識に早足になる、すると、そこら辺のドアとは一線を敷いた扉があった。
もちろんデザイン的にもだが、やはり威圧感と言うか野性的な殺気が漂っていた。
俺は、一気に両手で勢いよく開け放った。
バアンン!!!
「おいおい、こいつは」
そこにいたのは
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10分前の資材置き場
「ふん、これで終わりか」
やっと、怪物が感じられなくなった、めんどくさいのでBARで一掃したかいがあった。
資材置き場は、とんでもない事になっていたが、そこは割合だ。
少し進むとそこには、資材運搬エレベーターがあった。
「下僕を迎えに行ってやるか、なんかいやな感じがするし」
嫌な感じと言っているが、正直いいことがありそうと思っている。
まとめると嫌なイイ感じがするだろうか。
チン
「さて下僕はどこか・・・・・・・・・なんだ?」
途轍もない殺気がする、久しぶりに感じる鳥肌ができるようないい殺気が。
だがすぐに冷静になると。
「まさかッ!」
今日初めてのダッシュをマスターは見せた。
あの扉に着くのに5秒とかからなかった。
「これは・・・・・・」
こんな奴がいるとは夢にも思ってなかった、いやこんな仕事だ予測しなければいけないんだろうが、これは予想外の想定外だ。
特に予想できなかったのが、それと渡り合っている、下僕の姿が。
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そこには、一匹の巨大な魔犬が居た。
片や一人はまだ化物になって年の浅い貧弱な者だった。
だが、その者たちの間にある空気は拮抗した者同士のものだった。
「はははは、さっきからどうした?動かずしてずっとこうしてるつもりか、ん?」
GUURUUUUUUUU!!
「いい加減しようぜ、さっきから胸がはち切れそうなんだよ、まさか俺がはち切れて死ぬまでそうしてようってか、もとい犬もどき、犬っころ、犬まがい」
GUUUUUUUUU
「あ!そうか言葉が通じないのか?それはすまない、ワンワンワーン!」
GUUOOOOOOOOOOO!!!!
その挑発が気に障ったのか、神速の速さで噛み砕きにかかってきた。
「ッッッッッッ!!!」
俺は、持っていたバレットを構え引き金を引こうとしたが、噛み砕きにかかってきていた犬にバックリと先の方を持っていかれた。
「なッッ!マジかよ」
一キロ以上を正確に破壊力を持ったまま打ち抜くために耐えている金属を水あめのように噛んでいったのだ。
驚愕に値するだろう。
一気に距離を突き放す。
我武者羅にたとえみじめでも、今は距離を離さねばならないと感じた。
「はぁはぁははは、強いな強い強いぜぇお前!!」
やっとだ、やっと胸の高鳴りが最大になった。
いける、これならイケる、そう確信できた。
「さあ逝くぜ犬もどきぃ!」
GUOOOOOOOO!!!
一気に走る、ダッシュダッシュダッシュ!!!どんどん加速する。
このとき自己新記録を出したのを後で知る。
手を貫手の形にし突っ込む作戦もないただの突進だ。
相手も獣だ、なら考えるなど愚の骨頂、考えず本能で突っ込むそれだけ!
手を突き出す、おおよそ手での突きとは思えないような音を出しながら。
ズバオオンン!!!
だが、
ギュゥゥゥイイイ!!
それは体を捻り・・・いや、くずして液体のように避けた。
なッ!何だあれは、いやあんなバカげた存在だ、これぐらいはできるだろう。
クククク、いいねそう簡単に終わっても醒めてしまうしな。
さあ、まだまだ夜は続くぞ、楽しもう。
今度はそんなに走らずに接敵する。
相手はまた体を崩し、その体を無数の刃のにして刺してきた。
ドス!ドスドス!ドドドドドス!!!
「ぐぶぅうう!ごほぐは!」
よける間も範囲もなく、俺はすべてに貫かれた。
クソがッ、あんまり遊んでるほど、強くはないし頑丈でもない。
次だ・・次で決める!
その眼には、犬しか映っていなかった。
犬が走って・・・・・飛んできた。
ギュルゥゥゥゥゥギュッ!!!!!
それは、一本のランスになった、目の前の弱者を殺す必殺のランスと。
ドズウウゥゥゥ!!!!
刺さった、弱者は避ける間もなく、心臓に。
犬は元の姿に戻り、去ろうとした、死んでるものに用はなかったから。
だが、そんな過信が野生では命取りになることを犬は忘れていた。
思い出したのは、
グワシッ!!
ッッッッッ!!!
犬は振り向いた。
「ツ カ マ エ タァァ!!!!!」
グン!ジュボアアアアアア!!!!!!!!
その手は、死んだと思った奴の腕は自分の心臓を抉り出していた。
そう、ここで犬はようやく思い出した。
「今更思い出してもな、半秒遅すぎだ」
犬はそこで命を消した。
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「はははははぁはぁはぁ」
いかん、目の前が・・・
コツコツコツコ・・ツ
「良く殺ったな、正直殺れるとは思ってなかったぞ」
ま・・マスター、ち・・血を。
「ん?血が欲しいのか、駄目だ気分じゃぁない」
そんな・・・マス・・ター
「私のじゃなくても、あるじゃないか、そこにお前の手に、しっかりと握りしめている物が」
手の中にあったのは、あの魔犬の心臓だった。
これを飲むのか?これを・・・?
「いまさら、それを飲んだら何か終わりそうって言うんじゃないだろうな」
俺は・・・・
「お前は、何のために人間をやめたんだ、強くなりたいから?頭が良くなりたいから?違うだろう」
そうだ、生きたい、俺は生きる!!
「そうだ飲め、下僕そうすればお前は本当の意味で私たちの眷属となるだろう!」
ガチュゥゥグギュゥゥゥ!!!!
ゴキュゴクンクンクグゴグ・・・・
ここに、この夜に一人の化物が産み落とされた。