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異世界に迷いこんだ

佐藤耕二は呆然と立ち尽くしていた。


「どこだここ…」


賑やかな通りにさまざまな服を着た人が歩いている。だがそのどれもが耕二が見たことのない服装ばかりだった。


耕二は休日の昼下がり、たまにはアイスでも食べようと家の近くのコンビニに行く途中路地裏に入り角を曲がった。そうしたら風景が変わっていた。


「一体これは…」


あまりにも突然の出来事に頭が真っ白だったが、ふと気がつくと通りの何人かがこちらを指差してヒソヒソと話し合っている。


「…多分…また…報告しよう…」


といった声が聞こえた。


報告という単語が聞こえ不安になっていたがかといって訳もわからないままでは身動きが取れない。

少し悩んだが意を決して指差していた人のところに近づいて話しかけてみた。


「すみません。あの、突然変な話なのですが僕はなぜここにいるのか分からないんです。

良ければ力を貸していただけませんか?」


話していた男達は耕二に声を掛けられて少し驚いた様だったが返事をしてくれた。


「ああ、恐らくだがね君は異世界の人間なんだ。時々あるんだよ、突然変わった服を着た人がひょいと現れてそのままあたふたしてたりするのさ」

「今兵士を呼ぶから、そうしたら君は保護してもらえるよ」


一人はそう言ってどこかに行き、残った男と話していると耕二に色々なことを教えてくれた。


この世界はインヤルゾといっていわゆる剣と魔法の世界だということ。

耕二の様にインヤルゾに迷いこんだ異世界の人間は半年に一度の王国の大規模な転移魔法で元の世界に帰れると言うこと。


他にもインヤルゾの様々な話を聞きながら片方の男が兵士を連れて戻ってきた。


「あなたが異世界から迷いこんだ方ですね?危害は加えませんのでこちらに来てください」


男と話していてすっかり不安が無くなった耕二は二人に礼を言ったあと、何の疑いもなく兵士の後を付いていくのであった。

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