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家庭科の時間に作ったんです

「お兄様!何で昨日は帰って来なかったんですか?!すっぽん鍋にマムシドリンクに・・・豪勢な食事を用意して待ってたんですよ?!」


昨日は、手早くコンビニおにぎりで済ませたなあ。


「雪華ちゃん・・・落ち着いて。今は、学校に行かないと。帰ってから、お話しましょう?」


明菜の提案。


「魔女は黙ってて!」


オンッ


雪華の目の前に現れる、槍。


ヒュッ


明菜に向かって、槍が飛ぶ。


「オン、ツゥヨィ、ソワカ、ヨコニ」


明菜の目の前に盾が幻視され・・・


ガギ・・・


数センチ盾を貫いた所で、槍が止まる。

いける・・・これが・・・昨日の修行の成果・・・!

修行したっけ?


「な・・・無詠唱とは言え、我が槍を防ぐとは・・・魔女、貴方は・・記憶が戻って?!」


「あ、前世の記憶とか、そんな設定はちょっと、ついていけない、かな」


明菜が、疲労を滲ませつつ、苦笑する。

ですよね。


「お兄様!これが最後の確認です!魔女との偽りの関係は破棄し、私と・・・!」


「いや、偽りと言うか、もう両家共に紹介もしてるし」


意図せず。


雪華は、呻き、数歩下がると・・・


「分かりました・・・続きは放課後で・・・これ以上続けたら・・・遅刻します」


「・・・うん、お前反対方向だしな」


「昨日も遅刻したせいで・・・廊下に立たされた上、課題まで出されて・・・」


苦しそうに雪華が吐き出す。

そこは不思議な力で上手くやったんじゃなかったのか?

うちに転校するのには何かやったろうに・・・

力の使い方間違ってると、お兄さんは思います。


「はわ・・・厳しいね。今日も遅刻したらどうなるか・・・雪華ちゃん、急いで」


明菜が心配そうに言う。


「魔女に言われたくありません!」


雪華はそう叫ぶと、駆け出し、去っていった。


「・・・行こうか」


明菜の肩に手を回す。

放課後・・・今日こそはちゃんと話を。


--


「これ、家庭科の時間に作ったんです。食べて下さい!」


「私のも、お願いします!」


今日は家庭科で調理実習があった様だ。

下級生の女の子が、クッキーを持って群れをなしている。

まさかリアルでこんな光景を見るとは。


「有難う・・・凄く美味しいわ」


明菜が、笑顔で対応している。

明菜が笑いかけると、女の子がきゃっとはしゃぐ。


凄い人気だ。


無論、男子からも人気有るのだが、俺が彼氏とみんな知っているので、割り込もうとはしない。

偽装彼氏としては役に立っている様だ。


女の子達の群れが解散してから帰宅。

少し出遅れたな・・・


1度明菜のマンションを経由し、荷物を置き、犬を連れて、俺の家に。

さて、待たせてしまったが・・・どうなるか。

犬は役に立つのだろうか。


--


「それでね、ペルシア宝玉の調査をしていた時なんだけど・・・」


コーヒーを飲み、手土産のケーキを食べつつ、談笑。

俺と明菜が。


帰宅したら、雪華がいなかったのだ。


「すみません、おかわり頂けますか?」


犬。


コーヒーと、たっぷりの砂糖とミルクを入れてやる。


「有難う御座います。美味しい・・・」


インスタントコーヒーにやたらと感動してる。

悪い気はしない。

・・・あれ、犬ってコーヒー飲んで大丈夫だっけ?

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