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心の持ち様だと思う

がたん、ごとん


電車が走る。

今日は色々有ったな・・・


「ねえ」


明菜が話しかけてくる。


「私、今日だけで、一生分の不思議体験した気がするの」


「それは俺の台詞だよな」


明菜の実家だよね。

まあ、厨二病の事を知る上で、収穫は多かった気がするけど。


「ねえ、今日の事なんだけど・・・」


明菜が、言い辛そうに、言う。

不思議現象の事だろう。

正直、俺の中では、明菜のお父さんに挨拶したり、火巫女に明菜紹介した事の方が印象が強かったりする。

やっぱり可愛いよな、明菜って。


「その・・・やっぱり、その・・・偽装、なのかな?私、その・・・」


魔物。

そんな存在がいるわけがない。

魔法なんて、有る訳が無い。

あれは、この地が見せた幻想。

でも・・・


「俺は、心の持ち様だと思う。俺は・・・本物だと思ってるよ」


ボッ


明菜が真っ赤になる。


「ん・・・私も・・・そう思う」


そう言うと、俯いた。

やっぱり明菜は、魔法とかが好きなんだな。

そんな所も、可愛いと思った。


池の上で、蜘蛛がはしゃいでいる。

夜だからか、透明な身体にマナ的な何かが揺蕩い、光っている。

糸にたくさんの人が引っ掛かり・・・死んでいる。


・・・おいおい。

あれは・・・助けられないな。

と言うか、俺自身が危険だ。


そもそも、あの池、うちの神社の私有地、俺ですら入った事がない禁足地だよな?

彼奴等、どっから入ったんだ?


「やれやれ、また侵入者ですか・・・困るんですよね・・・」


犬が困った様に言う。


「侵入者って・・・ガチガチにフェンスで固めてあるんだぞ?時々何故か破られるが」


俺のツッコミに、犬が、


「ええ。奴等はフェンスや有刺鉄線等、意味を持ちません。むしろ、障害が多い程、燃えるのです」


あ、フェンスが派手に破られてる。

また補修しないと・・・


「侵入者がいたの?龍生の私有地なら、警察に連絡して・・・」


明菜の意見に、


「無駄だよ」


頭を振って答える。

だって、死んでたし。

時々行方不明者出るのは知ってたが・・・


「ねえ、龍生。あそこって、侵入して何か有るの?フェンスを壊してまで侵入するなんて・・・」


「いや、何もないぞ?」


まさか、蜘蛛が人を操って・・・いや、毒され過ぎか。

巨大な蜘蛛なんていないぞ。


「実は、あの蜘蛛が・・・」


犬が、苦しげに呻く。

まさかの予感的中。


「え、蜘蛛??」


明菜には見えていないので、混乱している様だ。


「蜘蛛が・・・インスタ映えする、と、SNSに投稿し・・・それを見た若者が定期的に入って来るようです」


「私有地だぞ?!」


犬の解説に、俺が全力で突っ込む。

禁足地を何だと思っているんだ。

と言うか、どうやって投稿した。

実はスマホユーザー?


「あー、有る有る」


明菜が頷く。

ねえよ。


--


深夜、明菜のマンションに帰宅。

犬は、隣の部屋使わせて貰いますね、と言って入っていった。

1部屋使うんかい。


翌日。


寝ている犬を放置して、登校。


「・・・まあ、学校で助力が必要になる訳は無いからな」


俺が言うと、


「でも・・・他の契約者が、平和ボケするなって怒って襲って来るかも知れないわ」


明菜が低い声で言う。

契約者?


「きっと、呪いの魔弾とか撃たれて、逃げ回るのよ」


「・・・厨ニ界隈では、そういう事が起きるのか・・・」


奥が深い。


「見つけた!」


雪華の叫び。

だから、反対方向だと。

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