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帰路  作者: キタムラカメラ
3/6

相場

叔父が旅行に行っている間、彼の家の留守を頼まれた。叔父は父の弟で、私が幼いころからよくしてもらっている。叔父の家には何度か行ったことがあるので慣れてはいたが、三日も他人の家で暮らすというのは、なかなか抵抗があるものである。

そうはいっても、友人の少ない大学生の夏休みなど暇を弄ぶだけなので、別に困るわけではないが、一つ問題があるとすれば、独り暮らしの割に広い叔父の寝室に布団を敷いて寝ているわけだが、夜中にふと起き、枕元に男が立っていることぐらいであろうか。

最初の夜は驚いたし、それが人間でないことはすぐに分かった。しかし、何をするわけでもないのでそのうち寝てしまい、翌朝には消えてしまう。二日目も夜中に目が覚め、枕元に男が立っていた。男と判断しているが、顔は見ていない。黒い靴下に男物の白いチノパンを履いている。そしてつま先を私の頭に向けて立っている。しかし、二回目の男の出現には私はあまり驚かなかった。というよりかは慣れていた。そして、そのうちに寝てしまい、翌朝には消えていた。三日目の夜、布団の中で明日には家に帰るのかやら、あの男は今日も現れるのだろうかとか、叔父はこの男のことは知っているのだろうか等考えているうちに男が枕元に立っていた。今日はずいぶん早いなと思いつつ、眠りについた。

翌朝目覚めると、驚いた。あの男がまだ立っているではないか。もう朝、というより昼に近かった。しかし、その男は未だに立っていた。そういうものが現れるのは夜で、朝には消えているというのが、そういうものの相場ではないか。

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