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帰路  作者: キタムラカメラ
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立っている女

私は都内の私立高校に通っているが、住んでいるのは●●県北部のベッドタウンである。なので予備校から帰ってくると、かなり遅くなる。9時頃あちらを出ると最寄駅に着くのは11時頃である。そこから家までは歩いて10分もかからないが、田舎なので街頭もまばらで、高校生になっても少し怖い。ビビりだから。

そんな田舎に住んでいるから、早くに家を出なくてはならない。冬の間は日も出ていない。日が出ていないくらいの夜道(?)をビビりながら歩いている。たとえば、標識にビビったりすることもある。

そんな夜道を予備校帰りに歩いていると、道路を挟んだ向かい側の歩道に誰か立っているの見つけた。明らかにおかしい。一つも動かずに道に突っ立ている。昼夜問わず、道にずっと突っ立ているのは、オカシイと思われてもしょうがない気が…。

と、ずっと向かい側をちらちら見ながら歩いていると。その人が女性だと分かった。まぁ夜中の道に突っ立ている人はおそらく正常な人ではないので、可能な限りあちらに気付いていないようにふるまった。

翌朝、早くから部活があったので、家を早くに出た。いつもの道を歩いていると、昨晩の女が、向かい側の歩道の同じ場所に立っているのが見えてきた。

昨日は暗くて見えなかったが、女の髪は長く、正面からしか顔は見えないようだ。黒い長袖のシャツに白いスカートを履いていた。昨晩と同じように微動だにせず、突っ立ている。

そのまま歩き続け、どんどん女に近づいていく。すると何か黒いものが女の周りを飛んでいるのが見えた。蠅だった。そして、ちょうど女の正面の所まで歩き、女の顔をのぞこうとすると、明らかに女の顔は死んでいた。

私はそのまま、駅へ向かった。今まで、死人を見たことはなかったが、明らかにアレが死んでいることはわかった。しかし、警察に通報するのも面倒だし、そのまま駅へ向かった。

昨夜からアレは死んでいたのか。とういうか、立ったまま死んでいるということが信じられない。弁慶か。

夕方に帰ってくると、女が立っていたあたりに、警官二人が何かしていた。通報した人がいたのだろう。その後母から聞いた話では、母が出勤する8時ごろに大勢の警官がブルーシートを張っていたという。

それから、予備校帰りで遅くなる夜は、時々女を見かけるようになった。いつもあの場所に突っ立ている。そして、翌朝にはいない。私は、まぁあそこに立っていたいんだろうなぁ程度に考えている

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