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第一話 事の始まり



 とある世界にある、ヨーロッパ風の小さな町。時代レベルは平均年代1910年の世界であるが、この町に至ってはあまり近代化が進んでいない。よって街道は、古くからある凹凸の多い石畳であり、それに沿うようにて立ち並ぶ家々は、どれも石材や木材でできた、古く背の低い物ばかり。背の高い建物といえば、町外れに建つ古い教会くらいだろうか。

 この町は元々、都市と都市を繋ぐ馬車道の途中にあった為、宿屋や飲食業が盛んであると同時に、農業も盛んな所であった。しかし、ある時自動車という物が産まれた。自動車は馬とは比べ物にならない程速い上に、途中で補給を必要としない。最初の頃は自動車が高価だったため、馬車が多くいた。しかし、時が経つと共に自動車の値段は下がり、それに釣れて皆は馬車を使わなくなった。そして、自動車の為に新しい道も敷かれた。

 観光地も何も無いこの地に、わざわざ人が訪れるわけも無く、町は徐々に廃れて行った。しかも運が悪いことに、同時期に国が戦争に巻き込まれたのだ。戦場はこの町から遥か遠かったが、時間が経過すると共に、町の若い男達は次々と兵隊にとられ、町で唯一の産業である農業ですら危うい状態である。


 そして、今日も活気も賑わいも無い街道には冷たい風が駆け抜け、数少ない通行人の襟首を立たせている。そんな中、皆とは逆の方向へと、街道を足取り軽く歩く男がいた。

 

 それは、全ての世界の『兵器』を司る神。

 ダクワーズ・デフォルト


 地獄界に属する彼が、なぜこのような、どこにでもあるような世界の、どこにでもあるような小さな町を、心昂らせながら歩いているのか。その理由は1ヶ月前にあった、ある出会いにあった。




 ダクワーズは兵器の神であるため、基本的に地獄界にいなければならない。しかしながら、いくら神と言えど元は人間。ずっと変わりの無い地獄界にいては、流石に飽きが回ってくる。当然、その場に居る事が仕事と言えば仕事であるのだが、聖戦が終わった今では特段する事が無く、負の遺産『神意石』の回収も亜神達が担当。神の一人であるダグワーズと言えば、ただただ全ての世界の『兵器』の要素として、世界に存在してさえいればいいだけなのだ。

 なので、たいへん暇であるダグワーズは、ふと思いついた。『私は、どこかの世界に存在してさいいればいい。だったら少し位、どこかの世界に出掛けてもいいのでは』と。

 地獄界規定には、神が理由無く世界を渡る事に制約を掛けてはいない。ただ単に職務をまっとうする事と、その世界にある物を他の世界に持って行かない事。自分の『神』の力を無駄に世界で使わない事さえ守れば良いのだ。

 ダグワーズは早速支度をした。支度と言っても、泊まりに行く訳でも無ので、聖装登録をした大きな黒いトレンチコートを羽織り、ポケットには転移用の懐中時計。亜神達のように武装する事もなく、散歩程度の軽い格好で自分の部屋を出た。

 後は転移する世界を決めるだけであったが、世界というのは星の数ほど存在する。過去に訪れた世界に行くという手もあったのだが、それらは、彼が過去に殺戮を行ってきた世界。旅行するのに余計な事を考えたくは無い。大淵図書館に行って座標を調べても良いのだが、それも手間がかかる。

 そう考えたダグワーズは懐中時計を取りだし、適当にダイヤルを回した。存在する座標に当たれば転移できるが、そうであっても生命が居ない世界である可能性はある。しかし、彼は『それもそれで、一興か……』と文字盤も見ずにダイヤルを回し回し、適当なところで止めて摘まみを押し込み……

 偶然当たったこの世界の、たまたま転移石のあったこの街の近くに、下り立ったのであった。



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