第1話 ただいま〜
お久しぶりです。
連載は、ほぼ一年ぶりとなります。
読み切りも含め、半年以上になるので。
勘がだいぶん鈍っていて、内容がオカシイかもしれませんが。
良ければ、最後までお付き合い下さい。
「ふんふんふん、ふん、ふ〜ん〜♪」
日も傾いた、平日の夕方。
淡くなった陽の光を受けて、一人の少女が路地を歩いていた。
少女は白い夏用の半袖セーラー服に、濃紺の短いプリーツスカート姿で。
足元は黒いローファーに、白のハイソックスを履いていて。
左肩には布製のバックを掛け、右手には買い物をしたのか、スーパーの袋を持っている。
年の頃は外見からすると、恐らく高校生だろうが。
全体的にスリムな体型だけど、出ている所と引っ込んでいる所のメリハリは、それなりにあり。
この年頃にしては、かなり良い方に入る位のスタイルであろうか。
髪は、切り揃えられた前髪と、後ろは肩までの長さで。
顔立ちの方は、整っていて綺麗だが。
大きな瞳が、わずかに垂れていて優しそうな上。
上品だが、全体的に穏やかそうな雰囲気と相まって。
どちらかと言えば、可愛い系に分類されるような美人である。
そんな少女が、何か嬉しい事があるのか。
小さく鼻歌を歌いつつ、軽くスキップしながら歩いていた。
「(だいぶん、脚がスースーする感覚には慣れたかなぁ…)」
腰から下の頼りなさに、そんな事を考えていた少女が。
遠くの方で、一人の子供がサッカーボールをリフティングしているのが見えたので。
気分の良さに、つい自分が短いスカート姿なのを忘れ、エアーリフティングをしてしまう。
「(フ〜ウ〜!)」
しかし、悪いタイミングで、急に突風が吹き込んだ。
「キャッ!」
当然、その短いスカートが捲り上がりそうになった物だから。
彼女は、慌ててスカートの前を左手で押さえる。
少女が小さく悲鳴を上げた後、スカートを押さえたまま、急いで周囲を見渡したが。
運が良い事に、少女の周りには彼女以外に誰もいなかったし、遠くの子供も気付いていなかった。
「(はあ〜、危ない危ない〜。
今の自分の格好に気を付けないと、もう昔とは違うんだから…)」
少女は、そんな事を思いながら反省すると。
こんどは、少し、お淑やかに歩き始める。
しかし、それでも、気分が良い所為だろうか。
その足取りは、次第に先ほどまでも無いが、軽やかな物に変わって行った。
************
しばらくの間、少女が軽やかな足取りで歩いていると、急に角を曲がり。
とある一件の家へと入る。
彼女が入ったその家は、若干、古そうに見えるが。
周囲の家並みとは、そう大して変わりは無い、何の変哲もない普通の家であった。
そうやって門柱を通り、玄関で一旦止まり。
玄関の鍵を開けたら。
「ただいま〜!」
玄関のドアを開け。
建物の奥に向かい、そう叫ぶ。
「(パタパタパタ〜!)」
少女が叫んでからワンテンポ遅れて、家の奥の方より。
スリッパをバタつかせて、誰かがやって来た。
「おねえちゃ〜ん!」
家の奥から、一人の男の子が飛び出す。
その男の子は、ショートパンツに、半袖のプリントTシャツを着ており。
顔は、少女と良く似た穏やかなタレ目をした、とても可愛い男の子だ。
「おねえちゃん、おかえり〜!」
そう言いながら男の子は、笑顔で少女に突っ込んでいく。
一方の少女の方も、荷物を脇に置き。
優しく微笑みながら、大きく手を広げている。
「(パタパタパタ、ドシン!)」
男の子がスリッパの音をさせながら。
勢いを全く緩めないまま、少女へと飛び込む。
その勢いに少女も一瞬、後ろにヨロけてしまったが。
何とか、男の子を受け止める事ができた。
飛び込んだ男の子の方は。
同年代と比べ豊かな少女の胸に顔を埋め、頬ずりしながら甘える。
「もお〜、ケンちゃん。
危ないから、ダメでしょ〜!」
「えへへへへ〜」
少女は、そう言って男の子を軽く叱るが。
男の子は、バツが悪そうに笑って誤魔化す。
「お姉ちゃんはケンちゃんの前から、居なくならないんだから。
そんなに、慌てなくても良いんだよ」
「…おねえちゃん…」
そう言って少女は、男の子を胸に抱き締めながら、頭を撫で始める。
「(ぎゅっ…)」
「(……なで……なで)」
少女の柔らかい手が頭を撫でる感触に、男の子は少女の胸に甘えたまま目を細めた。