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8話目

元魔王様は幼女になっても強いままでした

無邪気に剣を振り回すネィル。その光景を少し離れた茂みの中で除いてるクーネとエルミスなのだが、


「ねぇ、エルミス。納得してないとか言ってた割には幼女姿でノリノリなんだけど・・・。ネィルってそんな趣味が・・・?」

「いえ、お父さ・・・じゃなくてネィルさんは雰囲気に流されやすいんです。お父様だった頃に魔王を演じてたと言うのも、きっとそうなんじゃないかと予想してます。」


少し呆れた感じに答えるエルミス。


バルギスが魔王を演じるようになった理由は、力が飛び向けて強く、統率力、カリスマも兼ね備えていたというのも理由ではあるが、周りにおだてられ、尊敬され、敬愛されていくうちに雰囲気に流されて魔王を演じるようになっていたのだ。


納得し苦笑を浮かべつつネィルのほうへ視線を戻すとすでに半数以上が死に絶えていた。


「エルミス、そろそろ行くけど大丈夫?」

「は、はい。大丈夫・・・です!」

「怖かったら私の後にいていいから、無理しちゃダメだよ。」


こくんと頷くと、ネィルの方へ視線を移す。最後の一人が4分割されて息耐えたところだった。

クーネが立ち上がり入り口を目指すために行動を開始しようとすると、ネィルがこちらを手で制し、


「お兄さんたちー、まだいるんでしょー?私と遊ぼうよー!!」


声をかけ待つこと十数秒、さらに10人ほどの男たちが現れる。それを見たネィルはクーネたちにゴーサインを出す。


「さぁお兄さんたち。私とあそぼ?」


といいながら、少しずつ入り口から離れるように移動していく。それにあわせ男たちもじりじりとネイルとの間合いを取りながら入り口から離れていく。


「おいで、お兄さんたち。いっぺんに来てもいいよ?」

「なめるなっガキがぁぁ!!」


男たちがいっせいにネィルへと襲い掛かる。その隙を突いてクーネとエルミスは洞窟内へと侵入した。


クーネの記憶にあるここの連中は20人より少し多いくらい。つまりほとんどがネィルの元へと向かい、洞窟の中には数人しかいないはずだった。

ゆっくり慎重に洞窟内を進み、途中の部屋を確認しながらゆっくりと奥へと進んでいく。ひときわ大きな入り口の部屋の前へ忍び寄り、そっと中を覗くと・・・


「・・・いた!リーダーと・・・クーネを騙した男!」


リーダーの顔を見たときはまだギリギリ理性を抑えられたが、クーネを騙してさらってきた男を認識した瞬間、いても立ってもいられず際奥の部屋へと飛び込んだ。

咄嗟のことに付いて行けず、「あっ」と言う小さい悲鳴とともにエルミスを残したままにして。

突然現れた女性に一瞬警戒するリーダーと男だがクーネの姿を見て、さらに警戒を強める。


「お前!あの時の娘か!!何故生きている!あの後ちゃんと確認したんだろうな!」

「は、はい・・・。ちゃんと首を絞め落とし、息の根が止まったのを確認しております。死んでる女が好きなあいつも確認して楽しんだのだから間違いありません!」

「なら何故この娘がここにいる!」


二人の言い合いを聞いていたクーネだが、その中にどうしても許せない、自分の記憶にもない事実が見つかり、怒りのあまり意識が飛びそうになる。


「そう・・・、クーネを・・・、私をあんな目に合わせただけじゃもの足らず、死んでからも滅茶苦茶やってくれてたんだ・・・。」


力の限りの握り拳を作る。それは血が滲むほどの力と、怒りを込めて。


「許せない・・・。許さ、ない・・・!許すわけには・・・いかない!!殺す!!絶対に殺す!!殺す、コロ・・・、殺してやるぅゥゥゥ!!!!」


クーネの咆哮に草原で騙した男が慌てて剣を抜こうとするが、一瞬にして間をつめられる。お互いがゼロ距離の中、見つめあい、男はおびえの目を、クーネは怒りの目で涙を流し、


「ひぃっ!」

「ころっ・・・すぅぅあああああああああ!!!!」


チートステータスの手加減無しの全力の一撃。それはあまりの威力と衝撃。男の腹をとらえたはずの一撃はたやすく肉を突き破り、貫通し、その余波で男の体は吹き飛ぶことすらなく文字通り消滅する。

それだけでは飽き足らず男の後にあった岩壁にも、その拳圧だけでひびが入り、それが部屋全体にへと広がる。


「うわあああああああぁぁぁぁぁ!!」


クーネは涙を流しながら雄叫びを上げる。その間にそっとリーダーと呼ばれる男は出口の方へと向かうが、もう少しで出口と言うところでエルミスと目が合い、お互いに「あっ」と声を上げてしまう。

その声に気づいたクーネはリーダーを睨みつけ、「逃がさない!」と一気に跳ねた。その勢いのままに殴りかかるクーネだったが、怒りのあまり手元が狂い、そこでリーダーも伏せてしまったことも重なりパンチが空振ってしまった。

しかしその風圧だけでリーダーは吹き飛び・・・、そしてエルミスも巻き込み、二人とも通路を転がる。ゆっくりとクーネがリーダーの方を振り向いた時、


「う、動くんじゃねぇ!こいつがどうなってもいいのか!?」

「エルミス!!」

「い、いや・・・。触ら、な・・・。力が、入らない・・・。」


エルミスを人質に取られ、動きを止めるクーネ。形勢逆転とばかりに強気になるリーダー。怯えてしまって動けないエルミス。


「いいな、俺が洞窟を出るまで動くんじゃねえぞ!」

「エルミスに少しでも何かして見なさい!その瞬間にお前を吹き飛ばしてやる!」

「威勢がいいな、やれるもんならやってみろよ!その時はこいつも道連れになるだけだぜ!」

「く・・・、何で私はこんなクズを作ったんだ・・・。」

「はぁ?何をわけのわからないことを。いいな、とにかく動くんじゃねえぞ!」


リーダーがクーネから視線をそらさないようにゆっくりとエルミスを引きずりながら下がっていく。リーダーが数歩ずつゆっくりと下がり、もう一歩下がろうとした瞬間、側頭部の鈍い痛みとともに吹き飛んだ。


「平気かエルミス?まったく何をやってるんだクーネは。」


吹き飛んでうずくまるリーダーの元へゆっくりとクーネが近づき、そして拳を振り上げ


「死になさ・・・」

「待てクーネ!まだ殺すな!」


静止したネィルのほうを睨むクーネ。


「なんで!何で止めるの!?こいつらは、私を、私を殺し・・・っ!!!」」

「なるほど、怒りと恐怖で記憶が混同してるのか。まったく。だから落ち着けといったのにな。」


やれやれ、と言った様子でゆっくりと歩み寄っていくのだった。

クーネ、壊れた・・・

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