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平行世界のその果てに

作者: 安野穏

久しぶりに作ったお話でまとまりなく、駄文の羅列ですかない、つたない文章ですみません。

 この世界は一つの布のようなものだと思う。縦糸と横糸の交わる地点が今現在の自分のいる場所。


 縦糸が本来の世界であれば、横糸はそれとほんのちょっと違った世界。


 ゲームの中の選択肢のように選んだ答えで簡単に横にずれてしまう。


 それがずれと気付かないのは、元の場所との違いがあまりないってことだと思う。それがかなりずれてしまえば、気づく人もいるだろう。


 だが、それは膨大な記憶の中での変異の一つにしかならないことでもある。よって、一つの布の中には似たような世界がたくさんあるということだ。


 さて、世界はたった一つの布でできているわけじゃないと思う。考えてみてほしい。布は一枚でなく、たくさん重ねることができるのだ。まあ、重力の観点からすれば、それにも限界があるのかもしれないが、世界の理の中には重力など関係なく、いくつものたくさんの平行世界があるはずだ。それが重ねられた布なのだとそう思う。


 さて、その重ねられた布の中にちょっとしたほころびがあったとしたらどうなるだろうか?


 たぶん、違う布の中に落ちていくに決まっている。それが異世界トリップというものだと私はそう思っている。


 布の中では大した違いはないものの、重ねられた布はかなり違った世界があると思う。たまたま、重ねられた一つの布で済んでしまえば、そう大した違いはないのかもしれないが、ほころびがたくさんあった場合は、どこまで落ちていくかわからない。つまり、異世界トリップとはそういうことだ。


 ちょっとは似ているけれども全然違う世界。重ねられた布の分、どんどん変わっていってしまう世界。

その世界の果てはどこにあるのだろうかとそう思う。



 ちょっと、そんなことを考えて現実逃避している私。


 私の名前は胡桃沢美花、18歳。やっと有名進学高校を卒業して、頑張って難関の希望大学にも無事合格して、友達とささやかな卒業旅行に出かけた。さあ、これからっていう時にどうしてこうなった?



 不思議の国のアリスみたいに穴が突然現れて、馬鹿みたいにはしゃいでいた私は足元が見えずにその穴の中に吸い込まれてしまったらしい。



 で、今、なぜ、水色の長い髪と同じく水色の瞳のそれはそれは美しい美青年に抱きかかえられているのだろうか?もちろん、それはいわゆるお姫様抱っこと言われるものだ。しかも、ものすごくニコニコと笑顔がまぶしすぎて、あまりにキラキラしすぎて目がつぶれそうになっている。


 小学校時代はいわゆるいじめられっ子だったので男嫌いになった私は、当然のように中学高校と女子だけの学校に進み、ずっと受験勉強に明け暮れていたから、こんな美青年などとお知り合いになることは全くなく、特にこんなイケメンにお姫様抱っこなんて、ものすごく心臓に悪い。もうドキドキしっぱなしで、これは心臓があまりにも動きすぎて壊れてしまうんじゃないかって思うくらい心配になる。


 それで、思わず、この状況からの現実逃避とばかりに異世界と空間の関係について独自に考えてしまったのである。一応物理好きだったし、一応理系に進む予定だったし、何よりもアインシュタイン様が大好きだったし、あの素晴らしい特殊相対性理論、それは宇宙だけでなく異世界にも広げてほしかったかも。そうすれば、この現象が何なのか説明してくれたかもしれない。


 

 いやいや、異世界トリップアはやはり、物語やゲームやアニメの世界でしかなくというか、う~~ん、やっぱり、現実だよね。少なくとも瞳の色はともかく、水色の髪なんて、髪を染めなくちゃ絶対にありえないって。まじまじと髪を触って、思いっきり引っ張って、さらに毛根まで調べてみたらやっぱり地毛としか思えない。


 うん、これは夢だ。妄想の世界だ。現実ではない。



「それで気がすみましたか?」

 

 あ、妄想の住人がしゃべった。そうか、これはやっぱり小説やゲームやアニメの世界のお得設定、自動翻訳ってやつだ。将来科学者になるべく頑張ってきた私にとってこれはとても興味深い現象の一つでもある。なぜ、異世界トリップしただけで、自動翻訳されるんだろうかとか、チート属性とか、やっぱり、小説やゲームやアニメの設定は、無理すぎるでしょう。


 結論、やはり、これは現実ではない。


「いや、いや、いい加減に認めませんかね」


 相変わらず、無駄に美形オーラ満載でニコニコスマイルで(髪を引き抜いてもずっと笑みを浮かべていたなあと思うと反対に怖い)キラキラしている夢の世界の住人がなぜかこっちの考えを読んでいるように話しかけてきた。


 やはり、現実じゃない。


「ですから、いい加減あきらめて現実を見ましょうね」


「やっぱり」


「ええ、申し訳ないのですが」


 そうか、現実か。やっぱり現実なのかよ。チッと思わず舌打ちをしてしまった。


「で、説明を求む」


 抱きかかえていたイケメンお兄さんがいきなり大笑いし始めた。


「これは初めてのパターンですね」


「何が?」


「普通、異世界から来た人たちは泣くか、喚くか、ほとんどは大抵の方はこの二通りの場合が多いのですが、あなたは全く泣くことも喚くこともせず、理路整然と世界の仕組みについて考えた挙句にこれは夢だの妄想だのと自分に言い聞かせながらも、現実的に私の髪を引き抜き、調査されている」


 うん、そういえば、この現象が何なのか、将来の科学者の観点に従って考察していただけで、これは夢か妄想かとにかく非科学的な現象であるが、現実というにはあまりにもおかしすぎる設定だったために反対に冷静になりすぎた気もする。


 


 つまり、この世界のトゥトテールという神様は、なぜか他の世界(いわゆる異世界)から気に入った人を誘拐してこの世界に落とすらしい。


 そう、本当に情け容赦なく、穴に落ちた後にいきなりピンク色の空に放り出されて、落下傘もなく安全ベルトもなく自由落下って何の恐怖イベントかと思ったもの。絶対に地面に激突して死ぬと思ったよ。


 まあ、途中でいきなりふんわりとした風に包まれて、この水色の髪の男の人にお姫様抱っこされたわけなんだが。と思うと、無性に腹が立ってきたなあ。勝手に誘拐していきなり自由落下の恐怖に怯えたのも全部その神様のせいなのか。


 しかも、一応ご神託があるらしく、どこそこに落としたから後よろしくってそんな感じらしい。なんともアバウトな神様だ。


 一応、お姫様抱っこしている人は、今のこの世界の神官様で、神様が勝手に放り出したお気に入りの異世界人を保護する役目にあるらしい。かといってたくさんの異世界人を一度に誘拐するってわけではなく、100年から200年くらいに一回の確立なので、最初は怒っていた他の世界の神様もいい加減あきらめているらしいが。


 って、うちの世界にも神様っていたんか?一応いくつもの神話はあるからいたんだろうなあと思うが。


 おい、勝手に自分の世界の人間の誘拐を許すんじゃない!!


 私の未来はどうしてくれる。これでも将来は科学者になって世界の謎を解き明かすつもりだったんだが。アインシュタイン様とはいかないまでも、絶対に歴史に名を遺すっていうのが野望だったんだが。


「あの、帰れますか?」


「無理ですね」


 相変わらず無駄にニコニコキラキラしている神官様。即答ですか。


「なぜ無理なんですか?」


「神様のお気に入りですよ。帰すわけないじゃないですか」


 はあっと大きくため息をついた。


「あの、何か、理由でも」


「はい、神様の選んだ花嫁としてずっとこの世界にいてもらわないと、この世界に神罰が下るんですよね」


 ニコニコと張り付けたそのイケメンの笑みがどんどん嫌になってくる。


「私の意思は?」


「神様がすべてです」


「はは、そうですか」


 私もひきつった笑みで答えるしかない。


 もしかして、100年か200年に一度の誘拐された異世界人の寿命が尽きたころってことか?


 

 諦めた。そうだ、あきらめるしかないと思ったら意外と気分は高揚してきた。



 このピンク色の空、それだけでも十分におかしい現象だ。光の反射や屈折率やいわゆる色彩を決める光の三原則なるものと全く違うこのどこのお花畑かっていうくらい甘ったるい色でしかないピンクの空。この現象を引き起こすのは、やはりこの世界の光粒子が元の世界と違うからなのだろうか?スペクトルとかいろいろと調べたい。調査したい。


「それは神様の気持ちで」


 まるで私の疑問に答えるように、笑いをこらえるような声が聞こえた。


「はあ?」


 思わず、間の抜けた声を上げた。神様の気持ちで空の色が変わるんかいと思わず突っ込みたかったが、一応やめた。なんにしても、異世界。今までの常識は通じないと言ったところか。


 そこで改めて、周囲を見回してみた。


 赤茶けた土、周りに人影もなく、上に広がるピンクの空と眼下に広がる白い雲。うん、雲はやっぱり白なんだね。ということはここは相当な山の上?緑もないってことはかなり上の方にあるってことだよね。植物の生息範囲は決められている。ああ、でも、常識が違うとこれも違うのかもしれない。だけど、寒くはない。かなりの高度の山なら、絶対に雪とかが積もっているし、エベレストの山頂は過酷な氷の世界だ。なのに、ここは赤茶けた土のみ。植物らしきものはない。この世界の植物の生息範囲が狭いのかもしれない。


「ええ、ここは特別な場所なんですよ」


 また、心の声に答えてくれる。



 つまり、この世界の神様は実に愉快犯らしく、自分の気持ちの赴くままにこの世界を作り、生息する者たちもすべてお気に入りの種族(ファンタジーにありがちなエルフやドラゴン、ドワーフにホビット、妖精など何でもありだったらしい)で飾り、その知識は何と各異世界の面白いものを参考にしたって開いた口が塞がらないってこのことか。しかも、この世界の神様は、各世界の神様の一番下の弟らしく、みんなに甘やかされたって、神様の世界もそれなんだと思わず苦笑。末っ子ってお得ってどこの世界も共通事項なんだね。


 遠い目で生温かく見守ってあげようか?



 ふと我に返る。この未知なる異世界。ここの謎を制覇するのもまた楽しいかも。心の底からの喜びが身体いっぱいに満ち溢れてくる。これこそ、元の世界では決して得られることのない冒険ができる。


 そうだ、旅に出よう。元の世界に帰れないなら、このファンタジーっぽい世界を思いっきり堪能しよう。


 いつまでお姫様抱っこしてるんかいと目の前の男に怒鳴りつけ、根世界の案内人として任命し、この世界を堪能すべく私は旅に出ることにした。


 


 そうだ、この時の私は目の前に広がる世界にワクワクとした気持ちでいっぱいになり、好奇心の赴くままに神官だという男とともに世界を回ることにした。旅費に経費そのたもろもろ全て、もちろん全部男持ち、神官とかいうくらいだから、当然、いろいろと要求してもいいだろうと、なんせ、この世界に誘拐されたんだから、しかも、私が死ぬまでこの世界で過ごさなければ、この世界に神罰が当たるというのなら、使えるものは何でも使おうという姑息な気持ちもあった。



 今にして思えば、なんと恥ずかしい行いであったかと後悔もしている。


 冒険の先に、知りえた真実。それはもうストーカーもどきの神様の実態。


 この世界を作ったトゥトテール様は人間の中に混じって生きることを望み、たった一人の愛しい伴侶のためになら何でもするという実に恐ろしい性格の持ち主だった。


 この世界になぜ異世界人がやってくるのかを知れば、当然気が付くべきだ。


 最初に紙に選ばれた花嫁と言われたのをすっかり忘れていた。


 そう、この世界の神様は他の世界に逃げた伴侶を強引に引き戻すストーカーだった。それを知っているからどこに逃げても、おのれの伴侶の魂に深く刻み込んだマーキングをたどって、自分のもとに手繰り寄せる。他の世界の神様も弟かわいさに誘拐をもとい生贄をささげるのだ。じゃないと、自分の世界が弟によってめちゃくちゃにされてしまうらしい。


 ちなみに私の元いた世界でこの世界の神様がしでかしたことは、有名なノアの箱舟という神話で分かるだろう。


 神罰はこの世界に下るのでなく、元いた世界に下るのだ。それが嫌で、弟の嫁認定されるとこっちの世界に強制転送される。ご神託とはよその世界の神様が、こっちの世界の神様に弟の嫁を見つけたからそっちに送るから後の回収はよろしくという暗黙の了解。


 恐怖以外の何者でもない。ストーカー男。それが目の前で無駄にキラキラしている笑顔を張り付けた水色の髪の男の正体だった。


 あいつは私の背中から両手を回してささやいた。


「もう二度と離しませんよ。あなたもいい加減あきらめなさいね。この世界にはまだまだたくさんの謎を作っておきましたから。いろいろと興味があるでしょう」


 満面の笑みを浮かべたトゥトテールの言葉に心がざわめく。ああ、まだまだ知りたいことはたくさんある。世界の理、各種族の調査。その他もろもろ。


 彼の魅惑の微笑みにこれはもうあきらめるしかない。今世の私は興味深いことを解き明かしたくてたまらない。気になることはとことん解き明かしたくてたまらない。なんでこんな難儀な性格に生まれ変わってしまったんだろうか?


 いや、違う。これも絶対にあの男の罠だ。罠だとわかっていても惹かれずにいられない。私には魅力的な誘いを断ることはできない。


なんとなく、誰かに読んでほしかっただけです。すみません。

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