愛梨編1
家族7人のうち一番上の兄の博士は研究で忙しいので不在だが、
それ以外の6人で食事をしていた。
すると姉さんがいきなり口を開いた。
「私小説家になる。」
その一言で家族5人のごはんを食べる手が止まった。
それから少しして最初に口を開いたのは父だった。
「愛梨、本気で言ってるのか?」
すると姉さんは、
「本気だもん!」
と答えた。
続けて姉は事情を説明しだした。
簡単に説明すると
とある携帯小説サイトに小説を趣味で投稿していたら、
ある作品がランキングに載り、人気が出ていたら
それがある大手出版社の編集者の目にとまり
ぜひ私共の会社で小説を出版しないかと言われたらしい。
俺と千夏と正志はみんな驚きすぎて目が点になっていた。
しかし父は違った。
父は姉が小説家になるという夢を否定はしなかった。
だが逆にそれは姉に対して厳しい条件を提示するということだった。
父は姉に対し、
「5年以内にミリオンセラーorアニメ化すること」という
むちゃくちゃな条件を姉に提示した。
俺は内心姉はあきらめるだろうと思っていた。
しかし姉はあきらめず、条件を受け入れた。
夕食が終わり家族みんなが寝静まったころ俺は
2階の自分の部屋でアニメを視聴していた。
そのアニメが終わったころ俺は尿意を催し、
自分の部屋を出てトイレに向かおうとしたとき
姉の部屋から光が漏れているのに気が付いた。
俺はとっさに状況を把握した。
姉は今頃小説の原稿を書いているのだろうと。
俺はトイレからキッチンにより、姉の大好物なコーラをコップに注ぎ
お盆の上にのせて姉の部屋に持って行った。
コンコンと部屋をノックするが返事はない。
そっとドアを開けると姉が机の上に突っ伏して寝ていた。
その机の上にはPCがあり、画面には書きかけの小説があった。
俺は毛布を姉の上にかけて、持ってきたコーラとお盆を持ち、
部屋を出ようとしたときに偶然姉の寝顔が目に入った。
目に入った姉の顔はやはりアイドルの姉なので
相当美人だ。もし姉でなければ付き合ってみたかったと
一瞬後悔した。